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仕事の達人

ベリングポイント株式会社/代表取締役社長 内田 士郎氏

世界で負けない強い日本企業を支えたい。

ベリングポイント株式会社/代表取締役社長 内田 士郎氏

PWCコンサルティングでのロンドン時代にも、内田氏を信頼する仲間と共にビジネスを推進した

「一度会ったら忘れられない」そんな存在になりたい

日本時代の仕事ぶりが目に留まり、念願の海外勤務の話が舞い込んだ。86年、米国カリフォルニア州シリコンバレーの中心地であるサンノゼ事務所に赴任。意気揚々と海を渡った内田氏ではあったが、異国での経験は戸惑いの連続だったという。

「米国に行って驚いたのは、自分にバリューがなければ誰も相手をしてくれないということ。クレジットの支払実績もないので、最初に作ったカードの与信限度はなんと500ドル。ショックでしたね、またゼロからスタートしなければならないのかと思いました」

だが、折しもハイテク産業の勃興期を迎えていたシリコンバレーには、チャンスの鉱脈が豊かに広がっていた。内田氏は「ジャパン・プラクティス」という日本企業の支援プロジェクトを発足させる。現在の内田氏を形作る「一度会った人には絶対に忘れられない存在になる。そして、何か困ったときには、自分の顔を思い出してもらえるように」というポリシーはこのときに生まれた。

現地法人開設の手続きから人材採用、ビジネスプラン作成に至るまで、どんなことでも相談に乗り、支援を続けた。自分の守備範囲ではない案件についても決して断わらなかった。自らのネットワークを活用して情報収集したり、その分野の専門家を紹介して、なんとか顧客の役に立てるよう誠心誠意努力した。

これが大きなビジネスチャンスを生んだ。顧客は米国進出で苦楽を共にし、「同じ釜の飯を食った」内田氏に絶大な信頼を寄せ、じきに会計監査も任されるようになった。最初は二、三人でスタートした米国支社も、米国での事業が軌道に乗ると、社内でも屈指の優良顧客に育っていく。こうして内田氏は、社内でのプレゼンスを大いに高めていった。

「僕と組むと日本企業の仕事や昇進のチャンスが増えるというので、じきにサンノゼ事務所のメンバーたちも協力してくれるようになりました。周囲に多様な能力を持ったメンバーが集まり、“善の循環”が回り出したわけです。人種や文化が違っても人間の本質は変わらない。『あいつはインテグリティ(誠実さ、首尾一貫性)がある』と認められれば賛同者も増えていく。異文化コミュニケーションには苦労させられることも多かったけれど、同じビジョンを共有することの大切さを学びましたね」

米国における13年間が、彼のビジネス哲学に多大な影響を与えた。「決してあきらめず、必ずやり遂げる」それは、内田がリードするベリングポイントのコンサルティングに表れている。どんなに困難なプロジェクトに直面しても決して逃げ出さず、常に顧客の視点に立って、その成功を実現するまで共に苦労を分かち合う。

こうしたサンノゼ事務所での活躍が認められ、92年に36歳という異例の若さでパートナーに昇進。その翌年、ライバルの大手会計事務所プライスウォーターハウスから誘いを受け、シカゴ事務所にパートナーとして赴任した。99年に日本に帰国し、PWCコンサルティングの取締役常務執行役員に就任。その後、事業統合したIBMビジネスコンサルティングサービスの取締役などを経て、昨年10月、ベリングポイント代表取締役社長に就任した。

コンサルタントは“プロデューサー”

「今度は、日本の企業がグローバルに価値を発信していくお手伝いをしたい」と抱負を語る内田氏。顧客が成功してマーケットから高い評価を受けることが一番の喜びだ、とコンサルタントの仕事の醍醐味を語る。「コンサルタントは主役になってはいけない。舞台で言えばプロデユーサーなんです。顧客が舞台の上で観客に喝采をあびるのがコンサルタントにとっての最高の賛辞なんです」

内田氏は海外で数々の経験を経た今、日本に対する誤解を正し、正確な情報を世界に伝えていく責任も痛感し、日本企業がグローバルで活躍するための支援をしていきたいと熱く抱負を語る。

「日本も昔とはずいぶん変わりました。僕の帰国当時は、時差≠利用して海外のベストプラクティスを日本に導入するアプローチも可能でしたが、もはやそういう時代ではない。豊富なベストプラクティスやキラーソリューション、グローバルネットワークを持つ我々なら、日本企業がグローバルにマーケットを攻略するお手伝いができると自負しています」

それにしても、内田氏の半生の振幅の大きさには驚くほかない。露天商ビジネスで成功した後、同級生に溝を空けられた感があったが、一念発起して公認会計士となり、世界的なコンサルティング・ファームの日本代表にまで昇りつめた。彼をここまで駆り立てた原動力とはなんだったのか。

「自分を信じることでしょうね。大切なのは、自分の内側から湧き出てくる“想い”を徹底的に追求することです。僕自身も『海外に行きたい』『尊敬されたい』『記憶に残る仕事をしたい』という思いでここまで来ました。自分が好きなことをわかっている人は、成功する確率が高い。自分の好きなことをギブ・アンド・ギブの精神で行えば、情熱は必ず相手にも伝わるはずです」

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