ヘッドハンターに注目される有力候補者になるためには?

ヘッドハンターが主に狙うのはエグゼクティブ層。出会った将来有望な人材も欠かさず記憶に留め、成長を後押ししながら接触を続けている。将来ハンターの注目の的になるためには今から何をしておけばいいのか、そのノウハウを伝授しよう。 《2006年6月号より抜粋》

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ヘッドハンターが動くとき、それはやはり普通の採用活動では見つけにくい重要なマネジメントが可能なエグゼクティブや、特化した分野のスペシャリストなどを企業がどうしても必要とする場合だ。有望ビジネスマンたちにとってヘッドハンターと早くから接触することは、将来の転職の布石を打つことにもなる。ではどんな人材が、ヘッドハンターに注目されるのだろうか?

ポジションやニーズによって求められるスペックは違うが、「まずは強みが何か、が分かりやすい人にはより注目度が高く、必ず会う」と語るのは前出のボイデン・ジャパンの三宅氏だ。 「専門分野・得意分野・経営能力が明快で、その分野での第一人者と周囲が認める人は、有力な候補者になりやすい傾向にあります」。 同じく前出のラッセル・レイノルズ・冠城氏も「突出した実績がある人材など、企業への貢献が分かりやすい人を、我々は“強い候補者”と呼んでいます」と語る。

つまり、経営実績や営業成績、技術力などで「この人を取ったら自社にどんな付加価値を与えるか」が明確な評価基準となる。


現状への不満が少なく
転職の必然性がない人に注目



また、「企業側が欲しがる人材に共通しているのは、現在現役で活躍中の方」(三宅氏)のようだ。三宅氏によると、転職したいと思っている人材だけではなく、責任ある仕事を任され、その実績を確実に挙げつつある現役真っ最中で、他社への転職の必然性に迫られていない人材こそが、時間をかけてでも獲得したい宝≠ノなり得ることに間違いないようだ。


業界
職種
クラス
年収
金融 法人営業 マネジャー以上 800〜1300万円
コンプライアンス 部長以上 1200〜150万円
コンサルティング コンサルタント ジュニア 700〜1000万円
パートナー 1300〜6000万円
IT 営業 マネジャー以上 600〜1000万円
医療 MR 若手 700〜1000万円
経営陣 2000〜3000万円
自動車 アプリケーションエンジニア プレイングマネジャー 700〜1200万円
マネジャー以上 800〜1500万円
では、具体的にどのような行動を取れば、ヘッドハンターの目に留まるのだろうか。人と人とのつながりが情報に活きてくるのが、ヘッドハンティング業界。人脈作りの重要性は、ビジネスの現場でも、キャリア構築でも変わらない。ヘッドハンターの縁を結ぶか、ヘッドハンターを知る人物と知り合いになることが、確率の高い方法といえる。人から人へとツテをたどれば、ヘッドハンターと接触するチャンスも生まれる。

ヘッドハンティングされる人材のトレンドを探ると、スペシャリストが求められていることも少なくないようだ。専門性を極め、「この世界では自分が第一人者」といえるくらいの実力を身につけることで、業界内の有名人となり、ヘッドハンターの目にも留まりやすくなる。まずは自分の核となる専門分野が何なのかを見極め、それを伸ばすことに邁進することがカギになるだろう。もちろん、経営能力の高いゼネラリストも有力な対象である。

また、ローカルエリアでも、業界である程度名前が知られている人も注目される。他社も注目する画期的なプロジェクトのリーダーや実行責任者、ヒット商品のプロダクト開発者など、業界内の著名人は、推薦人の口から名前も挙がりやすく、企業側が名指しで欲しがる率も高くなる。

冠城氏が挙げる狙う人材とは「マーケットで目立つ人。調査部と連携して発掘することが多いのですが、他人にできない仕事をする、代替の効かない人材はどうしても目立つ。そういう人こそ企業は欲しがります」。取引先や業界内で「あいつはやる」と一目おかれる、社外評価の高い人こそが、ハンター垂涎の人材といえる。

限られた有能な人材の探索活動中に出会う、「候補者として企業側に提案するまでには至っていないが、将来同レベルにまで上りそうな若手」たちの存在は、ヘッドハンターたちの注目の的でもある。



市場で目立つ
  記憶に残るプロジェクトや突出した営業実績を挙げるなど、業界内で目立つこと。雑誌取材などには積極的に応じ、社内HPでも顔出しで登場するなど、名前と顔を印象づけるのも手
ゼネラリストよりスペシャリスト
  経営陣以外で狙い撃ちされるのは、突出した専門性を持つ人物。ハンティングされたいなら誰にも負けないスペシャリティを磨こう
ハンティングされた人と知り合う
  ヘッドハンターの情報源はほとんどが口コミ。ハンティングされて移籍してきた上司がいたら、自分を売り込むこと。日ごろから進みたい方向を周囲にも明らかにしておこう
ハンターと会う
  ハンターからアプローチがあれば、転職意向がなくても必ず面談に応じよう。案件に不足な人材と判断されても、成長への期待値コミで売り込むことが重要
英語力を磨こう
  ビジネス英語は身につけておいて損はない。ハンターが刈り時と見る40歳くらいまでに、一通りの英語力を身につけておくと可能性は広がる
青田刈りされる若手は
可能性を感じさせる人材



求人企業依頼でのサーチにより一度でもヘッドハンターがインタビューをし、「これは有望」と見込んだ人材をハンターたちは忘れない。細く長く接触し、成長を見守りながら、スカウト時期を待つ場合も少なくない。では、ヘッドハンターに「青田刈り」される若手とはどんな人材か?

ラッセル・レイノルズでは、Webからの登録も受けつけているが、「月に平均100件ほどある登録の中から、会いたいと思える逸材は1〜2名ほど」(冠城氏)と、かなりハードルは高い。厳しい真否眼に叶う若手の特徴について、冠城氏は「特定フィールドにできるだけ長くいる、専門性の高い人材」と語る。

その一方で「業界・商品知識が分断されるような異業界転職は勧めません」という冠城氏。一つの業界や職種でパフォーマンスを挙げた人材だけが、エグゼクティブ層へのパスポートを手にできると言っても過言ではない。特定知識や業務スキルが身につかないアマチュア的な仕事をしている人、漫然と日々の仕事に追われている人は、一刻も早くキャリアの建て直しを図ることが、ヘッドハンターの目に留まり、ステップアップ転職を可能にする方法だろう。

また、候補者インタビューや候補者探しを進めている間でも、優秀な若手の情報はすかさずゲットしているハンターがほとんど。もし実力も意欲も十分で「デキる若手」という評価を得たいのであれば、取引先や仕事相手の中にエグゼクティブが含まれることが最短距離。大きな組織の中で埋もれるより、比較的小さな組織の中で、クライアント企業のトップやエグゼクティブと直接商談を行なうことが近道となることもある。

出世のための社内人脈に腐心したり、数カ月後のボーナスのために社内評価だけにとらわれないで、社外評価を追求することが、10年後の成功に着実につながることを心に留めるべきであろう。


ヘッドハンターから頻繁に声がかかっていたのは、今から5〜6年前。1999年の年末、前職退職まで有給休暇を消化していた3カ月間を含む約半年に、合計5社のサーチ会社から接触がありました。

ある日突然、「◎◎社に興味はありますか?」と英語で電話がかかってきてびっくり。会計系コンサルタントをヘッドハンティング中だったようです。とりあえず面白そうだと思って、話を聞くだけは聞こうと面談日を約束。会ってみるとなかなか興味深い仕事内容で多少は食指が動き、面談を進めました。

案件の後半では「旅費はこちらで持つから本社のイギリス・ロンドンまで面談に来い」という話になり、かなりおいしい思いもしました(笑)。結局最後のほうで、リレーションがうまくいかなくなり、不信感が出てお断りしたんですが、当時接触があった人の仲には、未だにクリスマスカードが送られてくるなど、やり取りが続いている人もいます。

ヘッドハンターが私に接触してきたきっかけは、有給消化中、「まだ次が決まってない。何かいい話があったらよろしく」と知人にポロっと言ったことでした。その知人がヘッドハンターと接触があった人で、その人があちこちのヘッドハンターに宣伝してくれたようなんです。それに、私宛てに「こういう人を知らないか」と問い合わせがあるなど、スカウト情報はほぼ口コミの様子。ハンティングなどで表に出てこない採用情報を手に入れたい、よりいいポジションに抜擢されたいという人は、ヘッドハンティングされたことのある人と知り合いになると、可能性は高まるのではないでしょうか。

退職前後の半年間には、普通には会えないような経営トップ陣などとじかに会えて、非常に面白かった。自分の実力が世間にどう評価されているのかも理解できましたし、上を目指すビジネスマンにとって、プロ意識の高いヘッドハンターは、一生つき合えて定期的に実力査定もしてもらえる、ホームドクター的な存在になると思いますよ。

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