【第１問】優しい上司は優柔不断！？　～「判断」「指示する」ということ～｜実践！問題解決力テスト

【第１問】優しい上司は優柔不断！？　～「判断」「指示する」ということ～

港君は最近悩んでいます。直属の上司である加藤課長のことです。加藤課長は港君を可愛がっており、一緒に飲みに行くことも多く、意見を聞いてくれる優しい上司です。しかし、港君をはじめとする部下の意見、部長の意見によって自分の意見をすぐに変えてしまう困ったところがあるのです。

つい先日も、こんなことがありました。加藤課長が部長の部屋から戻ってきた後、こういったのです。「部長から今期の売上は前期の150％増と目標を言い渡された。ここで達成できるかが会社の大きな岐路となる。絶対みんなで達成しよう！そのためには、社内の規則なども柔軟に見直すと言ってくださった。何か変更したい部分がある者は、遠慮なく言ってくれ！」

そこで一番に手を上げたのが、片山君。「月末の申込書をもらってくる締め切りを延ばして欲しいです！そうすれば月あたりの売上も上がるし、会社もハッピーですよね！」加藤課長は大賛成。「そうしよう！最終日の20時まで大丈夫だろう。今月からそうしよう！」

実際やってみると、現場の営業は遅くまで営業活動を行わなければならなくなり、不満の声が。そのことを港君が加藤課長に伝えると、「そっか。ならば定時の18時までとしよう！」と変更。すると翌月は、20時までと思っていた社員は、１８時を過ぎても帰社せず、経理も申込書の精算が出来ず、社内は大混乱。

加藤課長は部長に呼び出され、こう言われたのです。「経理の精算は最終日中に報告せねばならんのだ！経理部は徹夜で対応しろというのか！しっかり考えて施策をしろ。社内規則を変えてもいいとは言ったが、他部署に迷惑かけてもいいとは言ってないぞ。」とのこと。

結局、今まで通りの１５時までというルールに戻ったのです。港君はたまりかねてしまいました。「ちゃんと結論を出してから指示してください！」

【質問】加藤課長はどのように行動すべきだったと考えますか？

1.コロコロ変わると現場が混乱する。しばらく経過を見守るべきだった
2.部長の指示の出し方が曖昧だった。加藤課長は悪くない
3.もっと広い視野を持って対応を考えるべきだった
4.ときには臨機応変な対応も必要。加藤課長の行動は正しかった

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「木を見て森を見ず」は誤った判断の原因になる。
「会社全体から見て正しい判断か」を検討することを忘れないようにすることが大切。

正解は３　「もっと広い視野を持って対応を考えるべきだった」

加藤課長がダメだったことは何でしょうか。

今回のポイントは「部署内での最適」と「会社全体での最適」が異なる点にあります。部署内ではみんなが満足し、上手に運用できると思われることも、会社全体（他部署）から見ると正しい判断ではないケースが良くあります。

現場の意見や要望を汲み取り、スピーディーに施策を実行することはとっても良いこと。しかし、現場の不満を解消するために、その場しのぎの対応になることも起こりがちです。

本当の意味で解決するためには、起きている問題の本質（原因の根本）を見極めることが必要です。今回であれば、「申込書の締め切りを延ばしたい」は方法論。その裏側にある要望は、何だったのでしょうか。「当月の売上を加速したい（会社の目的）」「締切に追われたくない（現場の不満）」ですね。

ここまで分解し、それぞれに対して施策を決めるのです。例えば前者に対しては、「毎週に売上目標を掲げ、細かい達成目標を設計する」、後者に対しては「現場の意識の改善」という形です。

問題が起こると、起きていることだけに目がいき、本質を見失いがち。そうならないように心がけながら根本の原因は何か、何かを変えるのであれば変更をすることによるリスクはないか、関係する部署に報告したか、社内規定に反しないかなどを確認した後で決断することが大切ですね。

皆さんも加藤部長のように判断していませんか・・？

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