Vol.41

「昔とは欲求の矛先が変わっただけ」――さとり世代の名付け親が語る20代営業マンが活躍できるワケ

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さとり世代

営業マンといえば、ガツガツしてて、泥臭くて、お金に貪欲で、遊び上手……そんなバブルの頃のイメージはすっかり合わなくなっている現代。“草食男子”や“さとり世代”と呼ばれ、上昇志向や根性論の枠にははまらないイマドキの20代にとって、営業職で活躍するには、何が武器となるのか。各界の著名人たちの目に映る「イマドキ20代営業マンの強み」とは何か、本人たちも自覚していない、周りの大人たちも分かっていない、彼らの武器を探る。

今回は、長年に渡り若者研究に取り組んできた博報堂の原田曜平氏が唱える、最近の“男性の女性化”について本人に話を聞いた。上の世代が口をそろえて言う「最近の男は大人しくて元気がない」は本当なのだろうか。

さとり世代
博報堂
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー
原田曜平氏
1977年、東京都生まれ。慶応義塾大学卒業後、博報堂に入社。15年近くに渡り、若者を対象としたマーケティングや商品開発に携わる。若者世代の特徴をとらえた「さとり世代」「マイルドヤンキー」などの言葉を世に広く伝えた人物でもある。最新著書は『女子力男子』(宝島社)

「さとり世代」で「女子力男子」だけど上昇志向がゼロなわけじゃない

原田曜平氏は、現在の20代の特徴について、消費をせず、お金にも執着せず、出世や金儲けといった上昇志向もそれほど強くない点をとらえて「さとり世代」と称した人物だ。

「2009年に『草食男子』が流行語になって以降、『弁当男子』『乙男(オトメン)』『日傘男子』など、若い男性の女子化を伺わせるキーワードがメディアで取り上げられるようになりました。これは同じ世代が消費や恋愛に消極的な『さとり世代』と呼ばれたり、上京志向がなく地元の仲間や家族だけで強固な人間関係を築く『マイルドヤンキー』と呼ばれる層が増えていることとも関連しています。いずれも背景にあるのは、日本経済が成熟期に入り、国民全体で経済成長を目指す“男性型”の競争社会が終わって、調和を重視する“女性型”の協調社会に変化したこと。ですから若者世代は、他人と競い合うよりも、周囲とのつながりを大事にし、生活の質やワーク・ライフ・バランスを重視するようになっているのです」

ただし原田氏は、若者世代を「上昇志向がない」と決めつけるのは正しくないと話す。上昇志向という言葉が、ひと昔前のように会社で出世することや大金を稼ぐことを指すなら、確かにそう言えるかもしれない。ただし、「職場の人たちと仲良くコミュニケーションしたい」とか「自分のプライベートや健康を大事にしながら働きたい」といった欲求は彼らにもある。「欲求の方向性が変わっただけで、それに向けて努力する量は、昔も今もあまり変わらないのでは」と原田氏は分析する。

「仕事に対しても、決してモチベーションが低いわけではない。今の若い世代は生まれた時から不景気の時代を生きてきて、その厳しさを肌で感じているので、働いて収入を得なくてはいけないことは分かっています。仕事をさぼってもいいと考えるほど、彼らもゆるくない。ただ同時に、仕事で夢や理想をかなえたり、自己実現できるわけではないとも考えている。だから、仕事はきちんとこなすけれど、自分にとって快適な生活を維持することも大事にしたい。それがオジサンたちからすれば『上昇志向がない』と見えるのでしょうね」

営業としての武器は「共感性の高さ」や「場の空気を読む力」

さとり世代

そして彼らの考える“快適な生活”も、上の世代とは大きく変化している。原田氏の著書『女子力男子』で紹介されているのは、上の世代が驚くような若者世代の実態だ。スイーツが大好きでパティシエ並みの本格ケーキを手作りする男子に、肌の手入れに余念がなく化粧ポーチを持ち歩く男子など、稼いだお金でパーッと飲みに行ったり、車やブランド品など高価なものを買うことで満足していたオジサン世代とは、価値観がまったく異なることがよく分かる。だからこそ、上司から「最近の若手は覇気がない」などと言われてしまうのだろう。だが原田氏は、「この女子力こそ、営業マンとして大きな強みになるはず」と断言する。

「分かりやすいところで言えば、化粧品や生活用品など女性向け商材の営業では、女子力は強い武器になるでしょうね。女性客の気持ちを理解しつつ、『異性から好感を持たれるのはこんなメイクですよ』といった男性目線からもアドバイスできる。これは上の世代にはない能力です。もともと女子力男子は、他人への共感性が高いという強みがある。彼らはソーシャルメディアでたくさんの人とつながっている世代なので、他人と意見をぶつけ合うより、相手の考えに『いいね!』と共感するコミュニケーションが得意です。だから、クライアントの悩みに寄り添った営業ができるでしょうし、空気を読むのがうまいので、『あの人がいると場が和むね』と言われて重宝される存在にもなれるかもしれない。これはどんな業界や業種でも必ず役立つスキルだと思います」

一方で、営業職は数字がすべてという現実もある。売り上げを達成するために、時には多少強引にクライアントを説得するような“男性らしさ”が求められることもあるのではないだろうか。だが意外にも、女子力男子はそうした場面への適応力も高いらしい。

「実は女子力男子を取材すると、必ずしも全員が心の底から女子化しているわけじゃないんですよ。中身は男性的だけど、スイーツが好きだったり、料理が上手だったりすると女子ウケがいいから、あえて女子力を磨いている男子もいる。つまり、その方が得だという判断に基づいて行動しているわけです。ということは、『営業する時は、やはり男性的なほうが得だ』と判断すれば、あえて戦略的に“男性らしい営業マン”として振る舞うこともできるはず。場面によって男性的な面と女性的な面を使い分けられるのも彼らの強みといえそうです」

周囲の目を意識するという特徴を生かせば数字達成に向けての努力もできる

となれば、上司の側も自分の古い価値観を押し付けず、若者世代の強みを生かす方向へ意識改革が必要となる。ノルマを与えれば自動的に頑張る世代ではない以上、彼らの意識を数字の達成へと向けさせるための工夫や配慮は欠かせないだろう。

「女子力男子は美容やダイエットに関心が強く、美意識が高いのが特徴。つまり、周囲の目を非常に気にするのです。だったら、自分が同僚たちからどう見られているか、気付きやすくしてあげるのもひとつの手。ある進学塾では、一人一人の成績で順位付けをしてもさほど全体の成績が伸びなかったのに、数人ずつのグループを作り、その合計点で競わせたところ、生徒たちが熱心に勉強するようになったそうです。他人の目を気にするから、『同じグループの仲間に迷惑をかけたくない』と思って頑張るわけですね。若い営業マンたちも、個人ではなく団体で競わせるなどの工夫をすれば、きっと目標に向けて努力すると思います」

オジサン世代にはない女子力や共感力を磨きつつ、営業として数字へのモチベーションをいかに高めていくか。そのバランスをうまく取れれば、20代営業マンは無敵の存在になれる可能性を秘めている。その自信を糧にすれば、より大きな成果を出せるに違いない。

取材・文/塚田有香 撮影/赤松洋太

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