スキルアップ Vol.241

新規開拓営業では時代遅れの上司の言うことは聞くな。新時代の無理しない売り方「見込み顧客ネットワーク」の方法

多くの若手営業マンが悩まされるのが、上司のアドバイスと実際の営業現場とのギャップだ。

「俺は毎日数百件電話をしていた」
「片っ端から飛び込んで営業してみろ」

現場に出てみろ! あんたが現役だったバブル期の頃とは状況が違うんだ!――そう叫びたくなる気持ちを抑えている若手営業マンも少なくないだろう。

事実、バブル期のように商品の説明のために訪問すればすぐ売れたような時代もあった。しかし、そんな時代を経て、多くの企業が営業に力を入れるようになり、営業ツールは多様化。会社には営業電話が毎日掛かってくるようになり、プライベートでもDMやメルマガはひっきりなしに届くようになった。中にはそんな営業をうっとうしいと思う人もいるだろう。良くも悪くも消費者が営業に「慣れた」のだ。

そんな万人が営業慣れした現代で「営業マネジャーとのやりとりの時間が一番無駄」と一蹴する人物がいる。『トップセールスはお客さまの何を見ているのか?』の著者、杉山彰泰氏である。

彼曰く、ことあるごとに「俺の若い頃は~……」と自分の過去の栄光にすがっているような時代遅れのマネジャーのアドバイスに耳を貸す必要はないという。では、現代に即した営業方法とは一体何か。杉山氏に聞いた。

プロフィール画像
プロフィール画像

株式会社A&S 代表取締役 杉山彰泰氏1973年生まれ。青山学院大学卒業後、大手消費者金融会社に就職。債権回収などの業務を手がけ、約2年6カ月在籍した後に転職。外資系保険会社および国内大手保険会社でともにトップセールスに。5万件超の飛び込み営業で培った独自の営業スタイルでOA機器販売会社へ転職し、30歳の時に独立を果たす。以後、現役の営業マンとしての本業のほか複数の企業経営や税理士・社労士と連携する独自のビジネスモデルを展開中。近著に『トップセールスはお客さまの何を見ているのか?』

「若者が営業という仕事を嫌いになるのは上司のせいなんです」と、経営者となった今でも現場で飛び込み営業をしている杉山氏は言う。

「営業が嫌いになる一番の原因は相手に断られることです。それは相手に断られるような営業を上司が教えているから。『気合で行け』とか言われても意味分かんないでしょ。たぶんその上司が、今現場で営業やったとしても売れないですよ」

しかし、営業とは断られることを避けては通れない仕事でもある。どのようにして「断られない営業」を成立させるのか。

「方法は二つ。一つ目は売る気満々で訪問しないこと。二つ目は誰かと組むことです」

一つ目の「売る気満々で訪問しないこと」は、一度目の訪問は情報取集に徹し、脈がなさそうならばリストから削除すること。これだけで、次回訪問の無駄を減らし、断られる回数も減らすことができるのだ。

二つ目の「誰かと組むこと」は杉山氏自身がトップ営業マンを研究して出した一つの答えでもある。

「年間数億円を稼いでいる保険のトップセールスの女性を研究したら、多くの企業を顧客に持つ、税理士と懇意にしていることが分かったんです。自分の商材が食い込めそうかどうかをその税理士に判断してもらい、あわよくば節税対策の商品として紹介してもらっていたのかもしれませんね」

自分の商材の販売先を第三者に見つけてもらい、あわよくば決裁者に紹介してもらう。この方法なら営業スキルがそこまで高くない若手の営業マンでも、断られることなく営業成績を伸ばせると杉山氏は考える。

営業は一人でやるもの、とは限らない

「まずは同じ営業エリアを持つ、他社の営業マンとネットワークを作ることです。ある企業とすでに契約を結んでいる営業マンならその企業が抱えている問題について、担当者から相談されることもあるかもしれません。そんな時、ネットワークを結んでいると、その解決方法として自社を提案してくれるかもしれないのです」

そのネットワークの中には同業他社があってもいいと杉山氏は言う。

「自社の商品を導入してもらえなかった企業でも、ニーズがあるのであれば他社の商品なら導入するかもしれません。自社の商品を導入してもらえなかった原因はどこにあるか分かりませんから」

最後に杉山氏はこのようなネットワークを作るメリットをサッカーに例えてこう話した。

「自分一人でドリブルして、シュートしようとするから点が取れないんです。自分以外に10人いれば点は取りやすくなる。20人いればなおさらです。ネットワークを作ることはまさに本人がゴール前に立っていて、センタリングがガンガン上がってくる状態。本人はヘディングを当てればいいだけなんです。それは結局、自分だけの利益ではなく、他社の営業マンにとっても、顧客にとっても良いこと。若手にはこの方法をおすすめします」

取材・文/佐藤健太(編集部)

>>【ノルマがきつくない営業求人】を見る
>>【『年間休日120日以上』 または 『完全週休2日制』 の 『正社員』 求人情報】を見る


RELATED POSTSあわせて読みたい


記事検索

サイトマップ