Vol.364

「100対0の試合でも、勝てると信じる」アドウェイズ岡村陽久氏を、人として、経営者として、大きく成長させた3冊【連載:トップ営業マンの本棚】

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キャリアの壁を壊す3冊
トップ営業マンの本棚
ソクラテスは言った――「書物を読むということは、他人が辛苦してなしとげたことを、容易に自分に取り入れて自己改善をする最良の方法である」と。豊富な読書体験は、時として行く手に立ちはだかる数々の難局を乗り超えるためのヒントをくれる。そこで、この連載では営業マンとして輝かしい実績を作ってきたビジネスパーソンに、これまでのキャリア上で直面した壁と、それを乗り越える上でヒントになった本を紹介してもらう。きっとこの中の1冊が、今、目の前の壁にもがき苦しむあなたの突破力となるはずだ

自ら興した株式会社アドウェイズを、26歳で東証マザーズに上場させた岡村陽久氏。これは当時の最年少上場記録である。そう聞くと順風満帆のように聞こえる彼の人生だが、浮き沈みの激しい局面の連続でもあった。

高校を中退して、営業マンデビュー。売上を上げるため、日が昇れば汗をかいて走り回り、夜には片っ端からノウハウ本を読み漁った。起業してからも個人向け営業と法人営業の違いに苦しみ、上場後も業績急落を経験している。

しかし、彼は折れなかった。壁にぶつかるたびに、本がその壁を破ってくれた。そんな彼が人生のヒントにした3冊の本を紹介する。

株式会社アドウェイズ 岡村陽久(おかむら・はるひさ)氏

株式会社アドウェイズ 代表取締役社長CEO
岡村陽久(おかむら・はるひさ)氏

1980年埼玉県生まれ。高校中退後、訪問販売会社に入社。20歳でアフェリエイト広告の魅力に惹かれ、アドウェイズを設立した後、設立5年目で東証マザーズ市場に上場を果たした。「人から感謝され喜ばれるサービスを提供したい」という信念のもと、持ち前の行動力と情熱で経営を進める

岡村氏の“キャリアの壁”を壊した3冊

【1】『戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ』(日経ビジネス人文庫) 三枝匡 著

この本は、起業してしばらくしてから読んだ本です。その頃、僕はそれまで自分がやってきた個人向け営業のノウハウが、法人相手の営業で通用せず、頭を悩ませていた時期でした。

起業する前に僕がやっていたのは、換気扇のフィルターの営業。当時の営業スタイルは、とにかくしらみつぶしに個人宅に飛び込む、文字通りの軒並み営業でした。戦略よりも、とにかく根性が重要、というその営業スタイルを信じていました。

アドウェイズを創業してから、法人向け営業でもそれをそのまま踏襲していました。当時のアドウェイズではWeb広告が主商材。アフェリエイトを出してくれる媒体のジャンルも絞らず、とにかく手広く営業をかけていたんです。広告のクライアントはゲーム会社だったり化粧品会社だったりと、当時で100業種くらい。掲載するメディアも多数あって、片っ端から営業をかけていました。

しかし、なかなか利益を上げることができなかったんですよ。

そこでこの本を読み、法人営業には、事業戦略から逆算した営業戦略が必要であることを学んだんです。僕は、それまでの手あたり次第の営業をやめ、広告掲載媒体とアフェリエイトのジャンルに着目するようにしました。すると、相性のいい組み合わせを2種類見つけたんです。その後はその組み合わせだけに絞り、営業をかけてみました。すると面白いように利益が出るようになったんです。

当時、アドウェイズはアフェリエイト業界では最小規模の会社でしたが、金融と会員獲得系のクライアントの数では、業界一位でした。そこに絞ったことで、利益が出るようになったんです。顧客のニーズをくみ取り、そこにリソースを集中投資して、利益を最大化するという営業戦略が必要だと、身を持って体験しました。

【2】『人を動かす 新装版』(創元社) デール カーネギー 著

個人向けの飛び込み営業時代はとにかく情報に飢えていました。営業っていうのは本当に細かい心理戦ですから、知識があればあるほど売れると思っていたんです。実際にその時期は営業や心理学に関する本は全てと言っていいほど読み漁りました。この本もその中の一冊です。

この『人を動かす』の本の中で一番印象に残っているのは、「盗人にも五分の理を認める」という一節。他人には理解されないことでも、相手が取った行動にはなにかしらの正義がある。僕はこれを「相手の気持ちを考える」という意味で捉えました。

アドウェイズ岡村陽久氏

他にも売り上げを上げるためにいろいろな本を読みました。それらの本では、チャイムを押して、その家の奥さんが出てくるときに、どんな第一声を発するのか、どんな声のトーンで話したら安心してくれるのかなどを徹底的に研究したんです。

いろいろな本を読んだ中で、僕が実践して一番効果があったのが、「やる気が相手に伝わらないようにする」ということですね。会社に掛かってくる電話でも、一言目で「あ、これ営業電話だ」って何となく分かりませんか? 電話越しに“営業オーラ”が伝わるんですよね。だから僕は営業オーラを消すように努めました。

相手を動かしたければ、まずは「自分をコントロールする」こと。僕はとにかく訪問営業で結果を出すために、本を読み漁りましたが、これって営業だけではなく、全てにおいて通ずることだと思います。

【3】『逆境ナイン』(小学館) 島本和彦 著

この漫画は、弱小野球チームのコメディです。僕は映画で見たんですけど、野球のよくある話だと「3対0で負けていたけど、逆転満塁ホームランでフィナーレ!」がセオリーじゃないですか。なのに、この映画では、112点も点差を付けられても諦めずに戦うんですよ。初めて見たときは、逆境過ぎるだろ、って思わず突っ込んで笑っちゃいました。

でもよく考えてみると、現実の世界だって「これ、どうやって勝てばいいんだ!? 」っていう想像できない逆境だらけ。それでも勝てると信じて、果敢に戦う姿勢って大事だなと思えた作品ですね。

実際にこの作品を見たのは、ちょうど2007年。アドウェイズでは「07(ゼロナナ)ショック」と呼んでいますが、上場したばかりのこの年に、当社の業績が急落したんです。ちょうど事業を拡大しようとしていた時期だったので、4月には日本で70人、中国で80人、計150人の新卒を迎えることになっていました。

業績が悪いのにコストだけが膨らんでいる状態で、ベテラン社員でも辞める人が後を絶たなかった。新人教育どころか事業の運営もままならない状態で、社内は大パニック。本当にヤバい、としか言いようがない状況でした。僕自身も、給与をカットして風呂なし4畳半に引っ越したくらいです(笑)。

社員はどんどん辞めていき、残ったのは「会社を何とかしなきゃ」という思いが強いメンバーと、何も知らない150人の新入社員。苦しいけど困難に立ち向かおうと必死で今と向き合う社員が残ってくれていたので、心強かったですね。

でも、今振り返ってみると、実はその時が一番楽しかったんですよ。皆でひとつになって、困難を乗り越えていくって、なかなか無い経験ですから。当時のメンバーとはいまだに、「あの時は大変だったけど楽しかったな、最近はなんだか安定してきてつまんないなぁ」とか話したりしますもん(笑)。あ、冗談ですよ、もちろん!最近広報にも発言に気をつけなさいと言われてるので(笑)もう二度と07ショックは繰り返しません!

どんな状況も、逆に“楽しんだもん勝ち”

「人生も、物語も、逆境に立ち向かっていくストーリーが好きです。自分の逆境なんて大したことないと思えるような。どんなピンチも乗り越えられるんだと思えると、もっとチャレンジしてみようってワクワクできますよ」

そう目を輝かせながら語る岡村氏。今回紹介した作品は、スキル的にも、精神的にも、悩める営業マンにとって、特効薬になりそうな本。どんな窮地に立たされていても、岡村氏のようにその状況を楽しみ、チャレンジしていく。キャリアに悩んだり、仕事で失敗して肩を落とす前に、目の前の壁を打破するためのひとつのヒントとして参考にしてみてはいかがだろうか。

取材・文/大室倫子、佐藤健太(ともに編集部) 撮影/佐藤健太(編集部)

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