Vol.383

野球も営業も、“キモティー”!? G.G.佐藤が語る、プロ野球経験が営業に活かされている理由

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プレッシャーに打ち勝つ精神力、礼儀を大切にする人間関係。そして、辛い練習に耐え忍ぶ根性。体育会系と営業職には、一見すると共通するスキルが多いように見える。

しかし、スポーツで好成績を収めた者が、必ずしも営業でもトップになれるとは限らない。どうすれば、「体育会系脳」をうまく「営業脳」に切り替え、成果をあげることができるのだろうか。

西武ライオンズで打線の主軸を担い、オールスター投票でトップの票数を集めるなど、“G.G.佐藤”として多くのファンに愛された佐藤隆彦氏。引退後、36歳で営業マンとして第2の人生を踏み出して以来、営業として着実に成果を上げてきた彼に、スポーツ経験で身に付けた力をうまく営業に活かす方法を聞いた。

株式会社トラバース 佐藤隆彦氏

株式会社トラバース 佐藤隆彦氏

1978年生まれ。法政大学法学部卒業後、米フィリーズ1A入団。2003年、西武ライオンズ(現・埼玉西武ライオンズ)入団。その後、千葉ロッテマリーンズなどを経て14年に引退。15年、トラバースに入社し、36歳にして初めて営業の仕事に就く

ビジネスの世界は、“G.G.佐藤”の名前だけでは通用しない

現在、佐藤氏が勤めるトラバースは、彼の父親が社長を務める会社でもある。しかし、「身内の会社なら働きやすいだろう」といった安易な考えで就職先を選択したわけではない。

「僕が36歳まで野球を続けられたのは、父の支えがあったから。小学生の頃から毎朝父が野球の練習に付き合ってくれたりと、いつも僕の力になってくれたんです。だから、『いつか父に恩返ししたい』という気持ちがあった。野球を辞めて、次に何をしたいか考えた時も、『父にとって一番大切なものであるこの会社を、自分も一緒に守っていきたい』という思いが真っ先に頭に浮かびました。それが入社を決意した理由です」

ただ、営業に配属されたのは、佐藤氏にとっても予想外だった。測量や地盤改良の仕事は、建築や施工の現場を知らなければ務まらない。「だから自分も、まずは施工現場で働くことになるだろうと考えていた」と話す。

「でも社長から、『せっかくプロ野球選手としてG.G.佐藤の名前を残せたのだから、皆さんが覚えてくださっているうちに、そのネームバリューを使って営業をやってみろ』と言われたんです。僕も人と会うのは好きだったし、営業はお客さまから仕事を頂くという大事な役割を担うのだから、やりがいもあるだろう。そう思って、営業の仕事に取り組み始めました」

現在は、大手ハウスメーカーの支店や営業所を回って、住宅を建築する際に必要な地盤調査や工事を提案する日々。社長が見込んだ通り、“元G.G.佐藤”を名乗ると初対面の相手でも話が盛り上がることは多い。本人も「お客様のお子さんが野球をしていると聞けば、『教えに行きましょうか?』なんてズルい手も使っていますよ」と笑う。だが、「元プロ野球選手」の肩書きだけで通用するほど、営業の仕事は甘くなかった。

「野球ひと筋でやってきたから、仕事のことは何もわからない。お客さまから『お前はこんなことも知らないのか、もっと現場を勉強してこい!』と怒鳴られたことだって何度もあります。もちろん、すごく悔しかった。でも僕は、失敗を人のせいにせず、自分に原因があると考えるタイプなんですよ。だから『確かに勉強不足の自分が悪かったな』と相手の言葉を受け入れて、『だったら次はどうすればいいか』を考える。その繰り返しですね」

対戦相手=お客さま。試合=商談。
野球も営業も「失敗からいかに学ぶか」で差がつく

佐藤氏が素直に自分の失敗を認め、そこから学ぶことができたのは、野球選手時代からの習慣があったからだ。「自分自身と会話をしながら、その日の試合を振り返るのが好きだった」という佐藤氏。常に「今日のバッティングはどうだったか?」「あそこで打てなかったのは、何が悪かったんだろう?」と自分に問いかけながら、失敗から学ぶクセがついているという。

株式会社トラバース 佐藤隆彦氏

「野球は“失敗のスポーツ”なんです。一流と呼ばれる3割バッターでも、10回中7回は失敗する。これだけたくさん失敗するのだから、その経験を活かせるかどうかで成績に大きな差がつきます。営業も同じですよね。『対戦相手=お客さま』『試合=商談』と考えればわかりやすい。まずは対戦相手のことを調べて、対策を練り、試合に臨む。その結果を振り返り、良かった点や改善すべき点を明らかにして、『次は相手をこんなふうに攻略しよう』と対策を練り、練習して、また次の試合に臨む。このサイクルは、野球も営業も変わりません。このサイクルを人より多く回せる者が、野球でも営業でもトップに立てる。今はそう思っています」

また、「成績が良い人の行動をまねる」というのも、選手時代から変わらぬ習慣だ。営業を始めた当初、右も左も分からなかった佐藤氏は、セールスをしている友人たちに仕事のやり方を聞いてリサーチを重ねたという。

「やり方が分からない場合は、成果を出している人をまねるのが上達への一番の近道。僕は選手時代も、打てる選手の行動を逐一観察して、徹底的にまねしましたから。野球選手で成功するのは、さまざまな人から意見を聞いて、良いものを柔軟に取り入れられる人です。逆にこだわりが強すぎて、何度失敗しても自分のやり方を変えられない人は、なかなか成功しない。これも野球と営業に共通する点です」

そうしてセールスの先輩たちに話を聞き、まねすることで、徐々に実績を残せるようになってきたのだという。

「僕も最初は、自分の会社や商品のアピールをするのが営業の仕事だと思い込んでいました。でも、営業成績が良い人たちの話を聞くと、自分が話すことより相手の話を聞くほうが大事だと誰もが口を揃える。だから僕も、お客さまは何を知りたがっているのか、どんなことで困っているのかを丁寧に聞くようになった。おかげで今は、お客さまのニーズに合わせた提案ができるようになりました」

頑張れるのは根性があるからではなく、やりがいを感じるから

そう話す佐藤氏を見ると、「もともと前向きな性格だから、失敗も乗り越えられたのでは」と思うかもしれない。だが本人は「そう思うでしょ? でも僕、超マイナス思考なんですよ」と苦笑する。

「体育会系は『根性があって打たれ強い』というイメージがありますが、表向きはそう見えても、裏ではどの選手ももがいている。スーパースターと呼ばれる人たちがベンチ裏で緊張しまくっている姿を、僕も幾度となく見てきました。僕だって北京五輪では、大事な試合で落球して死にたいくらいに落ち込みましたけど(笑)、結局は挫折を乗り切れた人だけがプロ野球選手として活躍できるんですよね。もしスポーツの経験を営業に活かすとしたら、挫折を乗り越える力こそ、ものすごい強みになるんじゃないかと思います」

佐藤氏の入社以降、トラバースでは元プロ野球選手を積極的に採用し、現在は営業と現場担当を合わせて7名が在籍している。それでも仕事が続く人ばかりでなく、中には辞めていく人もいるという。その違いを、佐藤氏はこう分析する。

「体育会系は根性があると言われますが、なぜ厳しい練習や上下関係に耐えられるかといえば、『野球が好き』という思いがあったから。だから営業も、仕事の楽しさややりがいが感じられなければ、いくら体育会系出身者でも続かないんじゃないでしょうか。僕の場合は、お客さまから受注を頂いたり、感謝されたりすることももちろん嬉しいのですが、やはり『父が作り上げた会社を支えていきたい』という使命感が大きなやりがいになっていますから」

「根性さえあれば、どんな辛いことでも乗り越えられる」と、とにかくガムシャラに立ち向かっていては疲弊してしまう。なぜなら、体育会系出身者がスポーツで身に付けてきたのは単なる根性ではなく、「辛い時を乗り越えるほどのやりがいを見つけられる力」なのだ。それを営業に置き換えることができれば、スポーツ経験で培った挫折を乗り越える力や、PDCAを素早く回す力などを、最大限に活かせるようになるのだろう。

取材・文/塚田 有香 撮影/大室倫子(編集部)

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