Vol.407

「見せかけの労働時間規制」に巻き込まれるな! 営業現場の働き方改革に本当に必要な“イクボス”思考

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世の中全体が「働き方改革」に向けて動いている。脱長時間労働や、柔軟な働き方推進という考え方が世間に浸透してきているように思えるが、営業職にフォーカスしてみるとどうだろうか。

営業マンがクライアントの都合に合わせすぎる必要はない、と考える企業も増えてきてはいるものの、未だに「都合良く動ける営業マンが重宝される」、「営業は足で稼ぐもの」、そんな従来の考え方が根強い現場も少なくないのが現状だ。

そのような環境下で、個人で柔軟な働き方を実践したとしても、お客さまに迷惑が掛かるのではないか、出世に響くのではないか、と引け目を感じるものだ。「営業現場に働き方改革が完全に浸透するのは難しい」と感じてしまうのも無理はないが、従来の働き方はもう持続可能性がない。では、現場にいる営業マンにできることはないのだろうか。

そのヒントを探るべく、2017年4月19日(水)にグラントウキョウサウスタワーで開催されたイベント『「本気のイクボス」はココが違う~意識ではなくトレーニングの時代へ~』の講演の一部を紹介しよう。

飲酒運転に路上喫煙……法規制が進むと人々の意識も変わる!労働環境の法整備も急務

イベント冒頭では、 少子化ジャーナリストで、経産省の「女性が輝く社会の在り方研究会」委員を務める白河桃子さんが、働き方改革における国の取り組みについて語った。今や国家レベルで、本気で労働問題を解決しようとしていることが分かる。

少子化ジャーナリストで、経産省の「女性が輝く社会の在り方研究会」委員を務める白河桃子さん

「労働者に多様性がある今の世の中で経済が発展するためには、労働環境の整備が急務であると国が判断したのです。また電通問題に見られるように、ハードワークはただの労使問題ではなく、社会問題として取り上げられるようになってきました。今は国会で、残業時間の上限が協議されていますね。きっと政府が動き出せば、こういった労働の問題は是正されていくでしょう。

かつては暗黙の了解で多くの人が規則を破っていた飲酒運転も、政府が規制を厳しくしたことによって今や『飲酒運転は犯罪である』という意識を人々に根付かせることできました。路上喫煙禁止や、CO2削減問題なども同様で、政府の規制によって人々の意識が変わりましたね。このように、法で労働環境に規制をかけることで人々の意識に働き方改革を根付かせることは可能でしょう」

しかし法が規制されることで、現場レベルでは今以上に“環境破綻”が生じる危険があると白河さんは予想する。

「法規制だけではきっと『見せかけの労働時間規制』が横行してしまうでしょう。早く帰れ、と言われるだけで仕事量は変わらず持ち帰り残業が増えたり、若手を帰らせて管理職だけがオーバーワークをするという現象が起きてしまう。誰もが自分の仕事と効率だけを考えるようになれば、イノベーションも起きづらくなるでしょう。つまり法規制と同時に必ず必要なのは、現場レベルでいかに仕組みをつくれるかということなのです」

国をあげて「私生活と仕事の両立」に向けて制度を整えている一方、現場レベルではいまだ浸透していない企業も多い。社内で制度はあるものの、個人的な事情で休暇を取れるような雰囲気ではなかったり、営業であればお客さまの都合も考慮しなければならないだろう。

そして、そんな時に現場に必要なのは「イクボス」の存在なのだ、と白河さんは主張した。

権利を主張するだけはNG! 職責を果たせる“イクボス”の増加が必要

なぜ制度を確立しても現場は変わらないのか。それは「身近な上司の意識が変わらない限り、ワークライフバランスを保つのは難しい」からだと、NPO法人ファザーリング・ジャパンの川島⾼之氏が訴えた。

NPO法人ファザーリング・ジャパンの川島⾼之氏

「上司より先に帰りづらい雰囲気があったり、仕事に専念できる人だけが評価されるなどして、多くの両立社員は苦労しています。そこで必要なのが、部下が子育てや介護など大切にしている私生活の時間を取れるように配慮する“イクボス”上司の存在なのです」

イクボスとは、「部下のワークライフバランスを応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司」を指す。働き方改革を現場に浸透させるために必要な存在として、注目を集めているのだ。ただ、そういった“イクボス”の普及には、注意せねばならない点があると川島氏は話す。

「ワークライフバランスを重視した上司、というと『私生活を第一優先にして、仕事はそこそこゆるく働いていい』ような印象を与えてしまいがちです。かつて流行った”草食系男子”や、子煩悩で優しい“イクメン”といったイメージに近いですね。だけどイクボスの考え方は、『ワークライフバランスは成果に厳しいものでなければいけない』というのが大前提。部下の多様性(ダイバーシティー)を考慮しながらも、組織の成果達成に強い責任感を持っていなければいけません。私生活を優先したいと権利ばかり主張する前に、職責をちゃんと果たせよ、と。上司自身がそういう考えを持っていて、それを部下たちにも伝えていく。そういった風土をつくっていくことが現場には必要です」

「出世コースから外れる」ことより、生産性を上げられない人になる方が危険!?

イクボスは実践できれば素晴らしい考え方であるし、ぜひ普及してもらいたい。しかし若手からしてみると「イクボスが増えれば良いけど、そんな上司が現れるのはいつになることやら……」と嘆きたくもなるだろう。上司の価値観や行動を変えるのは、簡単なことではない。そういう時は、イクボス的な思考をメンバーレベルでも実践してみるのも手だ。

「育児や介護などの私的な事情を持ち込めば、出世コースから外されてしまうのでは、と恐れるメンバーは多いでしょう。実際に、今の世の中ではまだまだそういったことは起こる可能性はある。だけど、そういったライフとワークの両立が必要な時期に、一生懸命生産性の高い仕事をしていれば、必ず大きな見返りがあります。だから恐れずに、若手には全力で質の高い成果と充実したライフの追求に取り組んでもらいたい」

このような取組みを一人でやるのは難しくても、同じ思いを持つメンバー同士で実践してみても良いだろう。上司がやらないから諦めるのではなく、成果を上げることで上司に認めさせるようなアクションを起こしたいものだ。

働き方改革は、国や会社の制度にばかり頼っていても進まない。管理職に限らず、メンバー個々人がワークとライフを追い求める意識を持つことこそが、本当の意味での「営業現場の働き方改革」に繋がるのだ。

取材・文・撮影/大室倫子(編集部)

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