Vol.412

人生100年時代が到来! 社会学者・古市憲寿氏が語る“サラリーマン”の生存戦略

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今の現役世代は、2人に1人が「100歳まで生きる」と言われている。現在20代であれば、多くの人が寿命100歳を超えると考えてもいいだろう。65歳で定年したとしても、残り30年以上生きることになる。そうなれば、私たちが常識だと思っていた「65歳で定年して、残りの余生を好きなように過ごす」のは容易ではなくなるということは想像に難くない。

特に営業マンのようなホワイトカラーの職種は、なおさら危機感を持った方がいいと話すのは、社会学者の古市憲寿氏。

古市憲寿

仕事を辞めてもまだまだ長い人生が続く。そんな時代が到来しようとしている今、20代の営業マンは将来をどう見据え、何を備えておけばいいのだろうか。2017年5月11日に開催された『男の100年ライフプロジェクト キックオフフォーラム』に登壇した古市氏の講演を紹介しよう。

100年時代の到来は「体・仕事・社会保障」の問題を生み出す

まず、人生が100年になったら何が変化し、私たちの身にはどんな問題が降りかかるのだろうか。古市氏によると、問題は大きく3つに分けられるという。

「人生が100年になることで起こる問題の1つは、身体的なこと。今の高齢者は病気になる割合が減っていますし、データで見ても10年前の60代と今の70代の運動能力は同じくらいなんだそうです。元気な高齢者が増えているのは事実。だけどいくら寿命が延びたからといって、その分いきなり体が若返るわけではありませんし、限界もあります。しかし国が高齢者の定義を65歳ではなく75歳にしようと動いていたり、僕たちは今の高齢者と同じ年代のときに同じだけの待遇が受けられないのです。国に頼れないなら、自分たちでどうにかしていかなければなりません。

2つ目は、仕事の問題です。ただでさえ、AIが仕事を奪うと言われる世の中。それなのに、果たして高齢者にまで働き口があるのでしょうか。特に危険なのは、日本人のおじさんたちだと思います。日本のおじさんって、世界的に見ても笑顔が少なかったり愛想が悪いような気がしませんか? 空港のラウンジで、外国人のおじさんは陽気なのに日本人のおじさんだけ妙にムスッとしてるようなシーンをよく見ます。これから語学力や専門知識などがAIで代替されていくなら、笑顔や感じの良さなどの『人間らしさ』が競争力のカギになるはず。そう考えると、ムスッとしている日本のおじさんは不利ですよ。

3つ目は、昔から叫ばれていることではありますが、社会保障の問題。団塊世代はまだしも、団塊ジュニア世代を支えるような‟団塊ジュニアジュニア”世代が圧倒的に足りません。そして人口データを見てみると、2060年頃には一人っ子で結婚していない単身高齢者が溢れてくるようです。今後、高齢者の保障がさらに議論されるようになるのは間違いないでしょう」

ホワイトカラーの定年後に待っているのは、職業の非マッチングだ

前述した3つの問題は、営業マンにとっても無視できるものではない。なぜなら人生100年時代に私たちが直面する問題は、従来型の日本企業の構図に起因するからだ。

「昔より減ったとはいえ、日本の企業の多くはいまだに終身雇用制度を採用しています。ずっと同じ会社に勤めていた人が、65歳になって会社を放り出されているのが現状です。何十年も、毎日会社に通っていた人が、今さら新しいコミュニティーに所属したり、ずっと家にいることに耐えられるでしょうか。日本企業は、総合職の新卒一括採用などが主流で、その人の専門性を見て雇っているわけではありません。この習慣のせいで、会社員は専門性という普遍的な武器ではなくその会社でのみ通用するエキスパートになってしまうのです」

特に営業マンであれば、会社の看板を背負って営業先に向かう。そして自社の商品を売り、社内で調整していく。若手であっても耳の痛い営業マンは多いのではないだろうか。

古市氏

では、どうすれば環境に依存せずに生きていけるようになるのだろうか。古市氏は「いくらAIで代替される仕事は消えていくといっても、対人相手の仕事は消えると思えません」と話した。つまり、顧客折衝のような営業マンに不可欠なスキルは今後も必要とされる大きな武器なのだという。

「先ほども言ったとおり、『人間らしさ』はAIに代替されない武器です。人に笑顔で接すること、感じの良い対応ができることは、今後の社会で生き抜くために必要なスキルになってきます。ですが、65歳でホワイトカラーを定年し、それまで部下に偉そうにしていたおじさんたちが、果たしていきなり新しい仕事でニコニコできるのでしょうか。定年後の新しい仕事とホワイトカラーのおじさん、上手くマッチングしていくのは難しいかもしれませんね」

会社で安定的な地位を得てそこに固執してしまえば、違う環境に放り出された時に世の中で全く通用しない人にもなりかねない。「考えが凝り固まっているおじさん」化しないように今のうちから気を付けたいものだ。

100年プランで前向きなキャリアを考えよう

65歳の定年を迎えて、残り35年。この世に生まれてから、大学を卒業し、働き始めて10年を超えてやっと35年と考えると、持て余すにはあまりにも長すぎる時間だ。私たちが高齢者になる未来に向けて、社会は良い方向には変わらないのだろうか。

「散々悲観的な話をしましたが、安心してください。悲観論は必ずその後のイノベーションで乗り越えられてきたという歴史がありますから。例えば19世紀、世の中では『クジラが絶滅してしまったら、クジラ油がなくなって光を灯せなくなり、町が真っ暗になってしまう』と言われていました。だけどそれは電灯の発明であっさり解決した。20世紀だって石油がなくなると言われていたけど、持続可能エネルギーで代替しました。世の中で嘆かれるような悲観論って、その時代の常識の中での悲観論でしかないんですよ。

例えば、iPhoneが出現したのもまだ10年くらいですが、スマホを使うことで生活は劇的に変わりました。こうやって、社会は良い方向にあっさり変わっていくんです。いくら日本が先細りだといわれていても、社会水準がガクンと下がることはありません。暗い将来を心配するよりも、『老後』という概念が無くなる人生100年時代に向けて、健康な体を活かして何をするか、長期スパンで自分の人生を考えていきましょう」

20代の営業マンにとっては、まずは今いる会社で成果をあげることが至上命題かもしれない。だが、人生が100年あるとすれば、まだ折り返し地点も見えない長い旅だ。年齢を重ねても市場価値の高い人材でいられるように、社内外問わず世の中で活かせるビジネススキルを磨いておきたい。営業スキルを上げるための勉強を始めてみるも良し、社外での人脈づくりに力を入れるも良し。明日からできることはいろいろありそうだ。“会社がなければ何もできない”人生にならないよう、20代のうちから自分なりのワークライフバランスを模索していこう。

取材・文・撮影/大室倫子(編集部)

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