スキルアップ Vol.214

【和田裕美×川田修×菊原智明】「失敗は必要経費だと割り切るべし」個人向け営業のスペシャリストが教える、成果を出すための4つの極意

和田裕美さん、川田修氏、菊原智明氏

「合わないお客さま」は捨てる

――やっぱり営業マンによって合うスタイルや顧客があるということですか?

菊原 それはあります。商談をしていても、「このお客さまは合わなそうだな」というのは直感で分かるんです。でも、なかなか売上が出ていない時期だと、どうしても目先の数字が欲しくて契約を決めてしまうこともある。そうしたらやっぱり契約後、何かあるたびにクレームを付けられたり、値引きを要求されたりするんです。

和田裕美さん

和田 それは、さっきおっしゃった長期的にフォローしているお客さまではない相手、つまり菊原さん本来のターゲットではないお客さまということですよね。

菊原 そうです。結局そういうお客さまにお付き合いをしていると精神的にもつらいですし、効率が悪くなる。だからある時期から“苦手なお客さまとは契約しない”と決めました。

和田 私も20代の頃は女性だということもあってか、男性のお客さまから下に見られることが多かったです。だから、そういう相手ほど毅然とした態度で臨むようにしていましたね。絶対に相手に媚びず、できないことはキッパリと「できない」と言う。お客さまが「私が買ってあげないと困るんでしょ」と思うような隙を見せたら、どんどんワガママになってしまう可能性もあるので、きちんと人間関係のイニシアチブを握ることは営業において大事だと思います。

川田 私の場合、新規のお客さまは紹介のみなので、苦手なお客さまと会うことはないんです。ただ、たまに他の営業のお客さまを引き継ぎで担当することはある。そのとき、やっぱり波長が合わないと感じることはありますね。どんなトップセールスであっても、全てのお客さまに合うとは限りません。

和田 ただみんなが敬遠する面倒なタイプのお客さまって、逆にあまり営業されていないからチャンスでもあるんですよ。そういう方をいかに自分のファンにさせるかも、営業の醍醐味だと思います。

顧客を「ファン化」する

――営業にとって、どれだけお客さまをファン化させられるかということが重要だと。

川田 そうです。そもそも個人向け営業の面白さは、決裁権者が目の前にいること。会議で決まるわけじゃないから、答えがすぐに出る。その方に気に入ってもらえさえすればOKというところが面白いんです。加えて、私の場合、さっき言ったように新規のお客さまは皆さん、他のお客さまからのご紹介です。

和田 営業マンとしては理想の形ですよね。

川田 はい。だからファンになってもらうことは、とても大事。私は「論理を用いて感情に訴えろ」という言葉が好きなのですが、人間は誰しもが感情的なのです。良い映画を観たら、人に薦めたくなるように、心を揺さぶられる人と出会うと、誰かに言いたくなる。私たちは「この人にぜひ会わせたい」と思ってもらえるような営業マンであり続けなければいけません。

和田 私も商談の場で即決してもらうタイプだから、いかにクロージングアベレージを上げるかが大事なんですよ。で、クロージングアベレージを上げるには、紹介の方が効率的。そのためにもお客さまをファン化させて、コミュニティを作って、そこから紹介をいただける流れを作っておくことが重要なんですよね。

川田修氏

川田 自然に紹介をいただくための工夫もいろいろありますよね。私の場合、普段のお客さまとの会話の中から「紹介」という言葉を意識的に多用するのも、その一つです。

――例えばどのように?

川田 「ご紹介いただいたお客さまとの商談が長引いてしまって」とか、「昨日、ご紹介いただいたお客さまも同じことをおっしゃっていました」とか。そうやって目の前のお客さまに「この人は紹介で仕事をしているんだ」という印象を刷り込ませておく。すると、自然とその方にも次のお客さまを紹介してもらいやすくなるんです。

菊原 すごいノウハウですね。聞いていて鳥肌が立ちました。相手をファン化させるって本当に重要ですよね。住宅という商材も、いつお客さまのニーズがホットになるかは分からない。例えば「今年中に買ったら両親が頭金を一部負担してくれるから」という理由で、急にニーズが顕在化することも珍しくありません。そのときに、ちゃんと自分に真っ先に相談してもらえる関係を築いておくことが大事なんです。

営業はやればやるほど楽になる仕事

和田 自分のスタイルを知って、そのスタイルに合うお客さまが増えれば、自然と数字もついてくる。つまり、「営業はやればやるほど楽になる仕事」なんですよ。

――では、経験の少ない若手のうちは修業期間ですね。

川田 確かにそれはありますね。

和田 一番大変なのが20代。音楽に例えるなら、最初はジャズしか弾けなくて、なかなか相手とのお客さまとの呼吸が合わずに悩むこともあると思います。でも続けていれば、ロックやクラシックも弾けるようになったりして、どんどん自分の引き出しが増えてくる。そうすれば、お客さまとのセッションも「今日はこう来たか」「じゃあ自分はこう対応しよう」っていうライブ感をますます楽しめるようになります。今、営業で悩んでいるみなさんにも、その域に辿り着くまで、たくさんのお客さまと出会って、自分を磨いてほしいなって思います。

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取材・文/横川良明 撮影/竹井俊晴

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