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システム刷新が功を奏し、わずか1年で700施設との契約が成立。リプレース後も「理想のシステム」をキープするために必要なこと

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宿泊施設のホームページにある予約画面や空室検索のページ。これらの機能をつくるために施設側がエンジニアを雇い、自前でシステムを構築、運用していくことは人的にもコスト的にもそうたやすいものではない。

そこで活用されているのが、ホテル・旅館 直販予約支援システムとして日本最大級の導入実績を誇る『OPTIMA Booking』だ。

OPTIMA Booking SYS

空室検索や予約入力など、ホテルや旅館をはじめとした宿泊施設が予約を受け付ける際の機能が備わっている『OPTIMA Booking』。宿泊予約ができるだけではなく、会員登録・会員管理システム、それに紐づく会員割引やポイント付与、さらには割引クーポンの配布など、宿泊施設の要望に応じたさまざまな機能をパッケージ化。リテラシーがあまり高くなかったり、予約システムを開発する費用や人員の確保ができなかったりする宿泊施設がすぐに導入できる点が好評だ。

実は同プロダクト、2020年に大きくリニューアルを実施しているのだが、リプレイス後の1年間で700施設の契約が増加、2年目にはプラス500施設、3年目には600施設増とリプレイスの成果が出ている。

「旧プロダクトでは、施設ごとにシステムをカスタマイズすることが常態化しており、ソースコードが複雑化。その影響で表示速度も鈍化……そんな課題点を解消するためのリプレイスを目指した」と語るのは、同社のシステム部部長で、今回のリニューアルプロジェクトをリードした中原崇陽さんだ。

事業向上につながったリニューアルで大事にしていたことは何だったのか。また、新システムをローンチ後も「描いた理想のプロダクト」を維持するためにどんな工夫をしたのか。

中原さんとともにリニューアルプロジェクトを推進した福井良之さん、菅野奈菜さんの三名に話を聞いた。

プロフィール画像

株式会社エス・ワイ・エス
システム部 部長
中原崇陽さん

2020年入社。サーバインフラエンジニアからスタートして、公共事業や金融系の大規模プロジェクトのPMOを経験した後にH.I.Sに入社、その後、エス・ワイ・エスに転職。現在はシステム部の部長とプロダクト責任者として従事しており、社内のシステム関連全般とOPTIMAのカスタマイズ要件や新規機能追加の際に要件定義から参画してプロジェクトを推進している

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システム部 SIグループ
福井良之さん

2020年入社。データ連携ミドルウェアエンジニアからスタートし、旅行業、小売業などでPM、PLを経験した後にH.I.Sに入社、その後、エス・ワイ・エスに転職。現在は、主にカスタマイズ要件の推進やデータ連携系を中心にプロジェクトを推進している

プロフィール画像

システム部 SIグループ
菅野奈菜さん

2022年入社。新卒で入社したH.I.Sにて法人旅行向け予約手配システムなどの社内基幹システムの要件定義・運用・保守を担当。その後、22年4月にエス・ワイ・エスに転職。主にAWS担当としてAWSサービスを活用したOPTIMAのサービス品質向上・運用の効率化を推進している

個別カスタマイズが常態化した結果、ソースコードが複雑化

ホテルオークラやインターコンチネンタル、小田急リゾーツ、スノーピークといった人気の宿泊施設が採用している『OPTIMA Booking』は、施設側が自前で用意せずとも、自社のホームページに宿泊施設の空室検索や予約機能が導入できるサービスだ。

OPTIMA Booking SYS

OPTIMA公式ホームページ参照

10年にローンチした旧製品もすでに2000社の施設が導入していたが、デザイン性、表示速度、個別化といった課題点を解消するため、20年に大幅リニューアルを行っている。

SYS スライドSYS リプレイス理由

デザイン面について福井さんは、「予約画面のデザインが分かりづらく、ユーザーが離脱することで低下していたコンバージョン率を改善するため、直感的に見やすくステップ数をなるべく少なくした予約しやすいデザインを目指しました」と話す。

また、表示速度の改善については「TV番組や雑誌などで施設が取り上げられた際、アクセスが集中してしまうと表示速度が低下してしまい、予約機会の損失に繋がっていたんです」と菅野さん。

「オンプレミスからクラウドへサーバーを移行したことにより、一時的にサーバーの台数を増強する等の負荷対策が柔軟に対応できるようになった」と付け加える。

SYS 社員 菅野

そして、刷新理由の三つ目が「個別化を極力行わないサイトづくりの実現」だ。

つまり、顧客ニーズに合わせたカスタマイズを最小限に抑える。これは今回のリニューアルにあたり、最も重要視したポイントだったと中原さん。

SYS 社員 中原

「施設の数だけ、さまざまな要望があります。例えば、『デフォルトでは半年先までしか空室検索できないが、うちは1年先まで検索できるようにしたい』あるいは『宿泊回数に応じて貯まるポイント機能をつけてリピーターを増やしたい』など。

そうした要望に対して、旧製品では施設ごとにプロダクトをカスタマイズし、個別開発していました。

SYS スライドSYS リプレイス理由 個別化

「個別化に伴う分岐が多く、そのまま転用するのが難しいシステムになってきて。ソースコードも複雑になり、何か改修する際にも時間がかかる。

その上、開発を手掛けていたエンジニアが退職すると誰も分からない、みたいな属人的な部分もありました。こうした問題を解消し、汎用性の高いサービスにしたかったんです」とリニューアルで実現したかったコンセプトを強調する。

その課題を解消するアイデアは何だったのか。

中原さんは「どの施設でもボタン一つで、希望する機能をアドオンできるような仕組みを取り入れました」と話す。

「当時よく個別に対応していた機能を、施設側がオンオフボタン一つでその機能の使用有無を選べるようなアーキテクチャに変更しました。

例えば、ポイント付与や割引クーポン配布などの機能を使用したいという要望があった場合、ボタンをオンにするだけで該当機能が使用できるように。

同じような機能にも関わらず、施設ごとに開発をしなければサービス提供できなかった時代にピリオドを打ち、ユーザーの要望へ迅速な対応が可能となりました」(中原さん)

SYS  OPTIMA ボタン機能

福井さんは「開発のリソースが限られていてカスタマイズが必要な場合は順番待ちになってしまうことが多かったので、個別カスタマイズを減らし、改善速度を上げられたことは大きな成果でした」と振り返る。

導入数が順調に増える一方で、生じたジレンマ

無事20年3月に新サービスのローンチを終えると、その使い勝手の良さ、デザイン性の高さはすぐに広まり、わずか1年で約700施設の新規契約が実現した。

ただ、旧製品がそうであったように、施設数が増えるほどに「あれもしたい、これもしたい」と個社別のニーズが寄せられたそうだ。

それも、2000を超える施設が相手なら要望はひっきりなしだろう。実際、「いくら機能を充実させても、一律パッケージとして対応することが難しい場面は出てくる。理想の形でローンチしたのはいいものの、そこはジレンマでしたね」と語るのは中原さんだ。

SYS  中原

クライアントの要望と自分たちの理想―。それが相反する場合、どう折り合いをつけてきたのか。

「例えば、国籍を入力する項目。全ての国をプルダウンで一覧表示して選択できる形式にしているのですが、施設によっては『そんなに細かい項目はいらない。主要国以外は地域別にまとめて表示してほしい』と要望をもらったことがあります」(中原さん)

「ただ、宿泊客の国籍を細かくウォッチし、マーケティング活用している施設もあるので、地域別にまとめるのは難しい。

しかも、地域別にまとめた項目を追加するとなると、かえって選択肢が増えてしまい、本末転倒という事態にもなりかねません」(福井さん)

一方の宿泊施設の要望を反映すると、もう一方の宿泊施設の要望を満たせない場合もある。場合によっては、パッケージ全体のリスクになることもあるため、安易に個別対応をするのは避けたい。

ゆえに、要望の内容によってはお断りするケースは「ある」のが実態だと話す。

SYS  福井

「先の国籍のケースでは、対応できない旨を伝えました。その代わり、代替案を持っていきましたね。施設側がOPTIMAのほかに利用しているシステムと連携し、OPTIMA側で主要国以外が選ばれた場合には地域別に変換して施設側のシステムへデータを返すという個別の対応をしました」(福井さん)

大切なのは、「課題の本質と優先順位をしっかり考えること」だと中原さんは念を押す。

「社内外から数多くの要望を受けるものの、そのすべてを鵜呑みにして開発に着手するのはご法度。いったん立ち止まって、本質的に開発すべきか否かを考える時間を設けるようにしています。

寄せられた困りごとが本質的な問題ではなく、その前段に困りごとの要因が潜んでいる可能性もあったりしますからね。

また、ただただ理想をキープすることが最良の選択かというとそうじゃない。事業や方針によって変わるのがプロダクトですし、その際の変化は成長とも言えることだってあるので、見極めは難易度が高い。

営業やカスタマーサポート部門のメンバーとよく話し合いながら、その都度決めています。難しいですけどね(笑)」(中原さん)

SYS  中原

すり合わせのカギは、非エンジニアにどれだけ「イメージ」させられるか

いくら開発側が「こうしたい」「こうあるべき」と思っていても、営業部門あるいは非エンジニアの経営層がなかなか開発側の意図を理解してくれないシーンは往々にしてあるだろう。

しかし、「落としどころが見つからない、営業が全然理解してくれないなんて状況にはあまり陥ったことがありません」という福井さんの言葉が意表を突く。

「当たり前ですが、私たちはパッケージとしてプロダクトを提供しているので、一つの施設の課題だけを見ればいいわけではない。パッケージとしてトータルで判断しなければいけません。

つまり、一つの機能を追加するだけでもプログラムのコードがどれだけ複雑になるか。それが速度を遅くしたり、他の機能に影響を及ぼすかもしれない。

そうしたコンテキストへの理解がないと『要望を伝えているのに、なぜ開発チームは実現してくれないんだろう』と不満が生じるだけなので、非エンジニアにも分かりやすく説明することは日々心掛けています。

例えば、『A機能の開発を一旦延期して、B機能の追加を優先した場合、こんな問題が出てくるけど問題ない?』など。全体の課題を見た上で提案・説得ができれば、イメージがつきやすいですし、開発側の発言意図を理解してもらいやすくなります」(福井さん)

施設からの要望を叶えるだけでなく、今後必要になってくる機能を“開発すべき”ことも多々ある。そうした“べき論”を非エンジニア相手に通すのは難しい。

だからこそ、ミーティングや交渉の場につく際は、なぜ「その“べき論”を採用したいのか」を自分の考え、顧客の利用シーンを交えながら説明できるように準備しておくといいと中原さん。

「『その開発をするなら、こっちの開発を優先してほしい』と言われることもあるのですが、どんな質問や意見が出てきそうかは想定しつつ、今後のことを考えるとこういうメリットがあるから実現したいと言い切れるようにしています」(菅野さん)

SYS  菅野

また、エンジニア以外のメンバーとの意思疎通をよりスムーズにする施策として、同社では営業やCS部門向けのシステム勉強会を開催予定だという。

「そもそもOPTIMAはどういう仕組みなのか、パッケージとして提供しているのはなぜなのか。個別で要望を叶えることと、パッケージとして要望を叶えることにどのような違いがあるのかなどをレクチャーするような勉強会を開きたいと思い、現在資料作成中です」(菅野さん)

「勉強会を開く最大の目的は、システムを分かってもらうというよりも、サービスを成り立たせている仕組みやルール、エンジニアが担っている業務や役割を知ってもらうことにあります。

そうすることで開発者が日々どんなことを考え、どんな視点でプロダクトを成長させたいと思っているのか。背景理解が進むはずです」(中原さん)

描いた理想をキープするのも、要望を通すのも、あるいは断らざるを得ないときも……提案相手にこちらの意図を正しく伝え、イメージさせることが鍵。プロダクトを取り巻く社内外のステークホルダーとのコミュニケーションの質向上が、プロダクトを成長に導く大事な要素と言えそうだ。

「まだまだやるべきこと、やりたいことが山積みの『OPTIMA Booking』。関わるプレイヤーたちの連携をさらに強化して、プロダクトを進化させていきたいと思います」(中原さん)

SYS  社員

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文/阿部裕華 撮影/桑原美樹 編集/玉城智子(編集部)

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