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「AbemaTV」3,400万DL突破! 急成長サービスを支えるチームが「開発力倍増」のために取り組んだこと

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    開局から2年半で3,400万DL突破、毎月1,100万を超えるユーザーが利用する動画サービスに成長したAbemaTV。開局後の2年目は「開発力倍増」というテーマを掲げ、開発体制の強化に力を入れてきた。

    AbemaTV開発本部長・長瀬慶重さんが『AbemaTV Developer Conference 2018』(2018年10月13日(土)、渋谷ストリームホール) において語った内容から、同社が「開発力倍増」を実現するために実践した具体的な取り組み内容を紹介しよう。

    株式会社サイバーエージェント 執行役員 AbemaTV開発本部長・長瀬慶重さん

    株式会社サイバーエージェント 執行役員 AbemaTV開発本部長・長瀬慶重さん
    通信業界での研究開発を経て、2005年、サイバーエージェントに入社。「アメーバブログ」やコミュニティサービス「アメーバピグ」、ソーシャルゲーム、コミュニティサービスなどのサービス開発を担当し、2014年、執行役員に就任。「AbemaTV」をはじめ当社のメディア事業に携わるエンジニアの採用や、技術力をさらに向上するための評価制度などの環境づくりにも注力している。

    AbemaTVに求められる開発力とは?

    現在、83名(2018年10月時点)のエンジニアを抱えるAbemaTV。2015年に14名だったエンジニアは、この3年間で約6倍となっている。

    『AbemaTV Developer Conference 2018』

    サービスの成長に合わせて組織の拡大も続けている同社だが、そこで特に重視されるのは開発力の向上だ。「ユーザーのニーズに応える(Product)」、「市場の中で競争力になる品質を提供する(Quality)」、「技術の力で新たな可能性・市場競争力を提供する(Technology)」という3つの開発力を上げていくことが求められている。

    『AbemaTV Developer Conference 2018』

    1つ目の「Product」については、ユーザーのニーズに対して満額回答できる開発力を持っているかどうかだ。サイバーエージェントグループにおいて50以上のプロダクト開発に携わってきた長瀬さんは、「全てのサービスにおいて時流を意識してきた。現在のトレンドの先を行き過ぎてもダメだし、遅くてもダメ。そういう意味で、世の中のニーズを的確に捉えた開発は意識しなければいけない」と話す。

    2つ目の「Quality」は、いかにストレスの無いチャンネル操作や、映像切り替えが実現できるかなど、AbemaTVならではの優れたプロダクトをつくるための挑戦となる。長瀬さんが特にこだわるのは、上記の通り、UXだ。「使いやすさ」にこだわり抜くことが、市場において競争力を上げていくことにつながっていく。

    3つ目の「Technology」については、革新的な技術をいかに自分たちの開発に取り入れられるかどうかを指している。企画やアイデアに頼り切るのではなく、技術の力でサービスを進化させる方法を検討し、常に新しい可能性を探っていくことが求められているという。

    「目標のオープン化」でエンジニアの目線を上げる

    上記のような“優れた開発力”を実現する組織は、いかにしてつくられるのか。長瀬さんは次の3つの要素が特に重要だと語る。

    ・エンジニア個人のエンパワメント
    ・チームワーク
    ・マネジメント

    まず、エンジニア個人をエンパワメントする上で欠かせないのは、一人一人に権限と裁量を与え、自立的に働いてもらうことだ。同社では下記のようなマトリックスを組み、多様な人材がそれぞれの強みを最大限活かせる場所で働けるよう環境づくりを行っている。

    『AbemaTV Developer Conference 2018』

    加えて、長瀬さんがこれまでの取り組みを振り返って「目からうろこだった」と話すのが、人事評価クラウドの『HRbrain』 導入によって得られた成果だ。

    同社では『HRbrain』を導入する前は、Excelやスプレッドシートを用いて目標を設計していた。そのため、社内にどれだけ細かな評価基準があっても、目標設定の制度が評価者、上司に依存してしまうことがネックとなっていたという。しかし、エンジニア組織が拡大すると、目標設定の精度が落ちてしまうという課題が顕在化。『HRbrain』を導入し、目標のオープン化を試みた。

    『AbemaTV Developer Conference 2018』

    横軸で同じグレードの他人がどういう目標設定しているのか見ることができ、縦軸ではテックリードなどの上位チームがどのような目標設定をしているのか見ることができる

    「各エンジニアの目標設定を全体でオープンにすると、他の人の目標を見て、自分の目標をブラッシュアップする者が出てくるようになります。『同期のあの人はこんな高い目標を掲げているんだから、自分ももっと上を目指そう』というように。さらに、年次が上の先輩の目標設定も見ることができるので、『いずれは自分もこういう目線で、こういう風にやらなきゃいけない』というレベルが自然と分かってきます」(長瀬さん)

    次に、チームワークを向上させていくために欠かせないのが“カルチャーフィット”だ。長瀬さんはエンジニア採用の面で、「皆が一緒に働きたい」と思える人かどうかを重視していることを明かした。

    『AbemaTV Developer Conference 2018』

    「当社の面接では、必ず現場エンジニアとの面談を複数回挟むようにしています。現場が一緒に働きたい人を採用することが、チームの一体感にも繋がると思っています」

    その他、活性化のための社内の懇親会も推奨しているという。ランチや飲み会などは会社が全額負担し、さまざまな切り口で月に何度もコミュニケーションできる機会が作られている。定期的なレクリエーションの開催や、社内表彰もチームワーク向上に寄与するからだ。

    「素晴らしい成果を上げた社員を表彰することは個人のモチベーションを上げることにもなるが、『こういう人になってほしい』という他の社員に対する組織としてのメッセージにもなる。当社のエンジニアが目指すべき姿だと思う人がいれば、どんどん褒め称えたい」

    最後に、優れた開発力を持つ組織づくりに必要となるのが、マネジメントだ。特に、テックリードの育成を強化し、ピープルマネジメントが破綻しない組織をつくることが急務だと長瀬さんは話す。

    「現在当社には、テックリードが15名、それ以外のエンジニアが52名在籍しています(2018年10月時点)。1人のマネジャーが管理できる人数には限界がある以上、組織の拡大と合わせてテックリードも増やしていかなければいけない。そして、適切な人材配置や、人材育成の方法を考えていければと思います」

    AbemaTV「開発力倍増」の鍵は、「開発体制」の見直しと、エンジニア「個人の成長」の掛け合わせにある。今後の取り組みから得られた成果にも、注目していきたい。

    取材・文/君和田 郁弥(編集部) 画像提供/AbemaTV

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