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[チームラボ11th Anniv.企画③] ウルトラテクノロジストの仕事図鑑~自社プロダクト開発に見る、問題解決型デザインとは

公開

 

チームラボハンガー』、『teamLabBall』、『ブリリアントミラー』、『DIGITAL SHOW WINDOW system』、『teamLabCamera』など……。いくつもの自社プロダクトを世に送り出している、チームラボ。

モノづくりの世界では、サイト制作やソフトウエア開発とはまったく異なるノウハウとクリエイティビティが求められるはず。では、なぜチームラボは、ここまで積極的に自社プロダクトを生み出すことができているのだろうか? そもそも、これらのプロダクツが持つ意義や意味とは何なのか?

「お客さまが抱えている問題の解決を、インターネットの活用で実現していく」という基本思想に、オリジナリティをスパイスとして追加することで創り出されるチームラボの自社プロダクト。その開発に携わる5人のメンバーに話を聞き、彼らの発想力の源を探っていきたい。

有限の空間を最大活用する『チームラボハンガー』

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現在特許出願中の『チームラボハンガー』

2010年の発表以来、いくつものアパレルショップで採用されている『チームラボハンガー』。ハンガーにかかった衣服を手にとるとセンサーが作動。ショップ内に設置したモニターに、その商品をコーディネイトしたイメージが映し出される。

「限りあるスペースを最大限に活用しながら、個々の商品の魅力をより強く伝えるにはどうすれば良いか。そういう問題解決に無線インターネットの技術を用いたプロダクトです」(河北啓史氏)

リアルなショップが持つ最大の悩みの1つが空間の限界。展示スペースを広げることなく、個々の商品の魅力を最大化する上でワイヤレスのインターネット技術を活用した。この成功によって、チームラボはアパレル業界とのリレーションが一気に膨らみ、新たな可能性追求の下地ができあがったという。

キラキラメイクをビジュアルで魅せる『ブリリアントミラー』

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よりリアルなキラキラ感を出すために、実際のメイクの様子とリンクをさせている

2012年に登場したハーフミラー使用のデジタル鏡台。このミラーの前で女性が専用のコンパクトとブラシを用いてフェイスメークの動作をすると、顔の周囲からキラキラした光が鏡の中の自分に映し出され、輝く姿を楽しむことができる仕組み。

「お客さまからの要望は『お化粧をして女性がキラキラ輝く感じを表現したい』でした。当初は通常のディスプレイを用いて同じ効果を出しましたが、メイクするシチュエーションならば鏡だ、という風に発想が広がって、この形になりました」(斎藤康毅氏)

抽象的な言葉で表現される要望や課題をどこまで具象化するか。その取り組みの質そのものは、サイト構築などのコア事業とまったく共通。もちろん問題解決を形にする局面で、既存のモノとは異なるデバイスを開発し、付随するハードウエアを自作するこうしたケースも出てくるが、そこで成功を収めれば、ハンガー同様にチームラボの新しいビジネスステージ作りへとつながっていく。

 

設計図に写らない、リアル店舗ならではの課題

河北氏によれば、以上をはじめとする数々のプロダクツの取り組みが、通常では得られないエンジニアとしての成長にもつながるという。

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自身が製作に携わった『チームラボハンガー』を実践で見せる河北氏

「プロダクトはモノですから、当然お客さまのところに商品を納めて、しかもちゃんと機能するようにセッティングしなければいけません。リアル店舗には、わたしたちが思いも寄らなかったようなイレギュラーな障害が待ち受けていたりします。

例えば、無線でデータを飛ばすハンガーなのに、ディスプレイに映像が出てこないことがあって。よくよく調べていったら設計図になかった場所に鉄板が出ていて、それで電波が届いていなかったんです。単なるプロダクトデザインではなく、設置するリアル店舗で起こりうる課題を想定し、解決するスキルが重要になってきます」(河北氏)

今後、インターネットにかかわるあらゆる技術は、PCやスマホなどといった限られたデバイスの枠を突き破り、街のあちこちの空間に出て行くだろう。その時、求められる臨機応変な対応のノウハウがエンジニアに蓄積される。

思いも寄らない新しいデバイスを発想したり、視覚効果の活用アイデアが広がったり、といった創造力も身に付いていく。逆に杉野氏のように、どちらかといえばデジタルアート寄りの人間が、その力を至るところで発揮できるようにもなる。

「わたしが入社したいと思ったのは、ハンガーなどを実際に見て、ほかでは絶対に作れないモノをここでなら作れるかもしれない、と思ったからです」(杉野裕則氏)

「想定外」を想定できる、視野の広さがカギに

UIアーキテクトの藤田 忍氏は、忙しさの質の違いについて語る。

「基本的には泥臭い」という意見に共感するメンバー。それぞれが、自社プロダクト製作の苦労とやりがいを語ってくれた

「基本的には泥臭い」という意見に共感するメンバー。それぞれ自社プロダクト製作の苦労とやりがいを語ってくれた

「プロダクトならではの特徴だと思うのが忙しさの質の違いです。サイトやアプリの開発ならば、常にサーバやディスプレイとにらめっこして課題を解決することになり、多くの場合、時間との勝負になります。

プロダクトを提供するということは、設置する店舗ごとにトラブルが発生して、持って行かなければいけないモノも変わってくる。そのために、問題解決の守備範囲を広げて、視界も広げていかなければいけません。時間とも戦い、空間とも戦う忙しさ。その意味で、Web開発とは違ったスキルが身に付けられるんです」(藤田氏)

まったく無縁なようで、実は「問題解決」「インターネットテクノロジー」という大きな共通項の上で展開される新事業の数々。それらをクロスオーバーさせることが、エンジニアの成長とチームラボ独自のモノづくりにつながる。

「『次に何が起こるか』『どういう想定外が起きるか』をかぎ分ける嗅覚のようなものが求められると思います。技術面でも案外レガシーなものを上手に利用するケースが多い。技術面でも感覚面でも、大事なのはバランスですね」(河北氏)

「良いモノを作って、たくさんの人に面白いと思ってもらうのに必要なもの。それはやっぱり、河北が最初に言った問題解決の力なんだと思います」(斎藤氏)

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取材・文/森川直樹 撮影/小禄卓也(編集部)

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