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[チームラボ11th anniv.企画⑤] ウルトラテクノロジストの仕事図鑑~「言いたいことも言えない」現場じゃ、SI開発の質は高まらない

公開

 

チームラボにおける仕事領域は、バラエティに富んでいる。これまでに、特にリアルショップやイベントなどで用いられるプロダクトに力を入れているメンバーたちを紹介したが、今回は、チームラボのコア事業ともいえるWeb関連の受託システム開発に軸足を置くSIチームにスポットを当ててみた。

彼らがいかにしてオリジナリティあふれるWebサービスを提供してきたのか。同社でプロジェクトマネジャー(以下、PM)を担当する小舘(こだて)本博氏、巽(たつみ)弘樹氏の話から、同社の開発プロジェクトがどのように進められているのかが、その実態が少しずつ明らかになっていく……。

多彩なクライアントを受け持つことで、養われる対応力

小舘友博氏(写真左)と巽氏

(写真左から)小舘友博氏と巽弘樹氏

縦割り発想の部門を持たず、柔軟にチーム編成を行っているチームラボ。そんな中で、エンジニアやPMたちは、自ら取り組む領域についての自由度を保ちつつも、自然と注力分野、得意分野を備えていく。

今回登場する二人は、受託型の開発プロジェクトを中心に活躍しているが、それでもやはり、企画・開発しているものは多種多様。この辺りがチームラボらしさといえる。

そして同じSI開発の現場で活躍する小舘氏、巽氏の二人の間にも、「色の違い」はあるようだ。

「わたしの担当は、お客さまの業務システム開発のプロジェクトが多いですね。とはいえ、今担当しているお客さまも、女性社員の多いヨガプログラムを提供する会社だったり、不動産関連の会社だったりと、向き合う業種や求められる機能、UIなども、その都度違います。そうした幅広さが高じてわたしたち自身の対応力アップにつながりますし、仕事の面白さにもなっています」(小舘氏)

「わたしの場合は、最近ではPCベースのWebシステム開発よりもスマホベースの開発案件が主になっています。今携わっているのも、iPhoneやAndroid端末でのWebサービスの開発。一方で、チームラボが自社でも使用している受付用システムの開発にも携わってきたので、今はこれを商品として提供できるように準備するプロジェクトも抱えています」(巽氏)

期待以上の成果物を出す、負けず嫌いなPMたち

似通った業種・事業規模のクライアントに、同じような機能のWebサービスやWebサイトを提供していく集団ならば、向き合う技術も、仕事の進め方も、PMとしてクライアント担当者とのコミュニケーションスタイルも定まってくる。もちろん、その分野を深掘りしながら可能性を追求していくのも、エンジニアの一つの生き方ではある。

だが、少なくともチームラボは違う。「そこが面白い」のだと言う二人に、「それでも苦労もあるのでは?」と尋ねると……。

「遊べる本屋」を標榜するヴィレッジヴァンガードのWebサイトも、チームラボが担当。課題も成果物もクライアントによって違うため、自然とソリューションも多様になるそうだ

ロフトからの要望を受けて開発した『コレカモネット』。課題も成果物もクライアントによって違うため、自然とソリューションも多様になる

「例えばヨガのお客さまだと、社員の皆さんにしても、エンドユーザーも女性が多いわけです。そうなると、打ち合わせをしていても、テクニカルな要素とは別の視点で、UIに対して女性ならではの目線が出てきたりします。

『あ、このアイコン可愛い』みたいな。PMとしては、そういうところでも評価が変わるということを心得ておく必要があります。一方で不動産のお客さまの場合、信頼性とか分かりやすさとか、別の部分に対する期待値が高くなりますから、お客さまによって何を求めているのかを見極めなければいけません」(小舘氏)

「わたしの経験だと、技術にこだわるお客さまで、例えば『すべてをHTML5でやってくれ』と依頼されたことがあります。いただいたご要望にならってプロジェクトを進めていくと、単純なプログラミングでは実現できない問題に突き当たったりする。そこから『どうしよう』となるんですが、それも別に苦労というわけではないんです。むしろ技術に詳しいお客さまなら『さらに新しい手法も考えてチャレンジしちゃおうか』といった具合に、モチベーションが上がったり」(巽氏)

クライアントが何を望んでいるか。そこから視点をぶらすことなく、開発を進める。それに加えて、クライアントが何を喜ぶのかということもイメージして、問題解決を提案する。それがデザインやUI寄りの時もあれば、ウルトラテクノロジスト的な尖ったアプローチが歓迎される時もある。

チームラボのPMは共に、こうした臨機応変な開発の現場を楽しんでいるようだ。そして多様な案件との向き合い方を通して、発想の面でも、技術の面でも、独自の幅の広さを得ているのだろう。

一番厳しいダメ出しは社内から。だからこそ、良いモノに仕上がる

小舘氏も巽氏も、自身がエンジニアでありつつ、チームメンバーでありパートナーであるエンジニアたちを束ねていく立場にもある。そんな彼らがPMとして心掛けている点は、何なのだろう?

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「チームで気持ち良く仕事をできる環境を作ることがPMの役目」と話す巽氏

「ウチにそろっている個性的なエンジニアたちをどうモチベートするか。つまり、どんな風にチームの空気を持っていけば皆で楽しく仕事を進められるか、というのは常に考えていますね」(小館氏)

「チームラボが扱う案件にはチャレンジする場面も多いんです。そういう時に力を発揮してもらうためにも、技術面での腕を磨ける機会を提供していくのがPMの務めだったりします。ウチは外部セミナーや勉強会への参加は基本的にOKだから、時間が許す限りそういう勉強会に行ってもらうことでモチベーションを高め合ったりしています」(巽氏)

巽氏のチームは、チームラボが今実際に受付で使っているシステムの開発も担当してきた。大型モニターをタッチすると案内画面に切り替わり、会いに来た担当者を選べるように社員の顔写真一覧が映し出される。お目当ての社員の顔写真をタッチすれば、その社員のメッセンジャーが呼び出されるという仕組みだ。

このシステムも、元をただせばクライアントからの依頼に応えてできたものである。

「これなんかは、お客さまに説明しているころよりも、社内開発している時の方が断然大変だったんですよ。もちろんシステムとして完成していなかったから、というフェーズ的な側面もありますが……」(巽氏)

「自分は何もできないんだ、という気持ちでPMをやる方が良いのかなと思っています」(小舘氏)

「自分は何もできないんだ、という気持ちでPMをやる方が良いのかなと思っています」(小舘氏)

「要するに、ウチのエンジニアたちからのシステムに関するコメントが気になるんですよね。『ここはこうすべき』とか『何でこの画面は動きが遅いんだ』とか、みんなけっこう厳しいこと言うからね(笑)」(小舘氏)

「そこがウチの良さなんですけどね。わたしのチームの連中なんかは、かえって『ようし、わかった、やってやるよ』的に燃えたりして、結果、良いものが仕上がっていく」(巽氏)

「そうだね。チームとか担当とかもあるけど、みんながその枠を平気で乗り越えて、言いたいこと言えちゃう空気があって、アドバイスもあれば、厳しい指摘もある。そのおかげで、自然と仕事の質は上がっているよね」(小舘氏)

これこそ、ウルトラテクノロジスト集団ならではのまとまり方なのだろう。クライアントと向き合いつつも、要望実現のハードルを自ら上げていき、「もっと面白くなるはず」「もっと速く動かせるはず」というようにチャレンジする姿勢がチームラボには浸透している。

だからこそ、ここのオフィスにはいつも生き生きした空気が宿っているのだ。

<チームラボ・SIチームの開発事例はコチラ>

■ 『ヴィレッジヴァンガード ECサイト
「遊べる本屋」をコンセプトに、本・雑貨・CDなど様々な商材を独自の視点で提案するヴィレッジヴァンガードのECサイト。サイト構築だけでなく、倉庫でのバックエンド業務、顧客対応、プロモーションなど全てを一括で運用。

■ 『マイナビバイト
毎日コミュニケーションズが運営する『マイコミ』の総合アルバイト情報サイト。チームラボ独自開発技術である使いやすい検索インターフェイス『サイト内検索』を採用。

■ 『コレカモネット
曖昧な要望にも商品在庫情報をレコメンドし、かつ楽しみながら使うことができるように開発した商品検索 サービス。欲しいモノや、ふとした思いつきをつぶやくと、Twitter連動型ボット「コレカモさん」が商品情報を探してきてくれる。こちらのインタビュー記事もご覧下さい。

■ 『ANAYI
エレガントに生きる女性のための、上質で美しい服づくりに取り組むアナイ公式サイト。企画、サイト設計、アートディレクションを担当。

■ 『ravijour
ランジェリーブランド『Ravijour』のオフィシャルのWebカタログサイト。

こんなチームで働くことに興味を持ったらチームラボ採用情報をCheckしてみて!!

取材・文/森川直樹 撮影/小禄卓也


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