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[連載:八反田 智和] 江川崇氏に聞く(1/2)-「Androidはもうキャズム超え。そろそろ新たな活動にも着手したい」

公開

 
スマホ新時代のニューリーダー、未来へのメッセージ

株式会社HatchUp CEO/株式会社6x6cm CEO
八反田 智和(はったんだ・ともかず)

ソーシャルアプリxスマートフォンアプリ業界に特化した開発体制構築支援事業、事業拠点構築支援などを手がける株式会社HatchUp代表。国内海外でソーシャル×スマホ業界イベント『STR』を展開中。また、株式会社6x6cmでは、自らアンドロイドアプリのリリース・運用も行っている

こんにちは、八反田です。

連載第2回は、前回の連載にご登場いただいたadamrockerさんのご紹介で、日本Androidの会の立ち上げメンバーで、adamrockerさんと一緒に『デ部(Android DEvelopers’ cluB)』を立ち上げられた江川崇さん(androidアプリ『IMoNi』開発者)に取材を行いました。

今回のゲスト

日本Androidの会/『デ部(Android DEvelopers’ cluB)』 立ち上げメンバー

江川 崇氏 

部長を務める『デ部』では、「カメラやBT、センサーなどのデバイスの機能を活用し、かつ日本人じゃなくても理解できたり、使えたりするものを作りたい」と語る、日本Androidの会の中心人物。著書・共著に『Google Androidプログラミング入門』や『入門Google Web Toolkit』などがある

今は判を押したように「モバイル&ソーシャル」の仕事依頼が

八反田 まずは読者に向けて、ご自身の経歴を簡単に教えてください。

江川 もともとは関西で制御系プログラミングをしていました。C言語でメール着信プロトコルなどを作っていましたね。もう今は使われていないPHSのサービスなんですが、ちょうど、NTTドコモさんの『iモード』やJ-PHONE(現・ソフトバンクモバイル)さんの『スカイメール』が登場し出して、携帯電話でもメールができるようになったころで、PHSでもメールができないとマズい、ということで作られたサービスでした。

それから動的なWebサイトが急速に普及し、Java(JSP、Servlet)などのWeb関連技術を使った開発に興味を持ちました。最新技術全般に興味を持ち出したのはこのころですが、それから、コミュニティ活動や勉強会が盛んでいろいろと学ぶ上で便利な東京に移動し、ソフトウエアエンジニアリング全般に強いことをウリにしている未上場ベンチャーに入社しました。

とても優秀な人が多かったので刺激になりましたし、その後、上場を経験できたのも良い体験でした。それから、ひょんなことからフリーランスになり、現在はノマド的なライフスタイルでプログラムを書きながら生活しています。

八反田 さまざまな経験を経てのノマドエンジニアということで、多くのエンジニアの理想形ですね。現在かかわっているお仕事はどのような内容ですか?

江川 もともとAndroidに携わっていたということもあって、最近はAndroidの開発が多いですね。いくつかのBtoCのプロダクト開発に並行して携わりながら、自らのサービスも開発しています。

いくつか例外はありますが、ほとんどの仕事が、判を押したように「モバイル & ソーシャル」なのが面白いです。今後もしばらくは、ますます増えていくでしょうね。モバイルとソーシャル。

八反田 確かに、これからもソーシャル系は増えていきそうですね。では、さきほどちょっとお話のあった、コミュニティ活動ではどんなことを? それに著作も出していらっしゃいますよね。

江川 Google系のプロダクトに関する著作を何冊か出しています。一番売れているのはAndroid系ですね。雑誌にも多数書いています。

コミュニティ活動としては、最近は、日本Androidの会の立ち上げメンバーとしてかかわったり、adamrockerさんと一緒に『デ部(Android DEvelopers’ cluB)』という開発者コミュニティを立ち上げたりしました。AndroidのGoogle API Expertという活動もしています。

Androidは、特定のプログラミング言語や、特定の技術要素のコミュニティとは異なり、とても幅広く、さまざまな経歴や分野の人たちが集まってくるので、コミュニティ活動をするのがとても楽しいです。

執筆したり、コミュニティ活動をしたりするモチベーションは、自分が良いと思うもの、面白いと思うものを、ほかの人にも知ってもらいたいというところにありました。そういう意味では、Androidはキャズム超え、と言うか、もう勝手に広まっていくし、活用されていく段階に来ています。そろそろ新たな活動をしたいと思い、今いろいろと策を練っているところです。

ネットがライフスタイルに溶け込んだ後の世界とは

八反田 エンジニア関連のイベントに行くと、江川さんの著作がたくさん陳列されていますよね。スマートフォンについて、グローバルで急速な広がりをみせており、ライフスタイルに大きな影響があると思われますが、どのようなイメージを持たれていますか?

江川 スマートフォン、すごいですよね。3年ほど前に「スマートフォンが流行るにはどうすればいいか?」という話題になった時に、「スマートフォンと言わなければいい」と言い続けていたんですが、わたしの認識が間違っていました。

今までは、良くも悪くも、ケータイ(携帯電話、PHS)しかなくて、それ以外の端末はギークのもの、という感じだったと思うんですが、もう変わりつつありますし、今後も急速に変わっていくと思います。

ライフスタイルという意味では、自分の生活が常にネットにつながっているということは、ライフスタイルも大きくネットと関係することになりますので、ネットの中とネットの外との区別はもうないに等しいですし、物理的な距離も関係なくなってくると思います。今まで以上にコミュニケーションが重要になり、自分はどういう人でどのように考えているのか、ということを改めて考える必要があると思います。

匿名性もなくなると思います。ネットで実名を使わなければならないとか、必ずしもそういう意味ではなく、「ネットの中の自分」と「ネット外の自分」の境目はなくなるし、周囲もそれらを特に区別することなく見るようになるということです。

From yoggy0 Androidの隆盛や、Windows Phoneの台頭で、OSの競争はまさに群雄割拠の世界へ

From yoggy0 

Androidの隆盛や、Windows Phoneの台頭で、スマホOSの競争はまさに群雄割拠の世界へ

八反田 ネットがライフスタイルに溶け込むシーンですね。そして、さまざまなものがつながっていく中でコミュニケーションの重要性が増していく。面白いですね。ところで、スマートフォンの中でも、Android, iOS, Windows PhoneなどさまざまなOSがある中で、江川さんはどんなすみ分け/生態系になると思いますか?

江川 この3つの中では、Androidが一番自由度が高いです。当面は、「タッチで操作できる画面がある」、「ネットにつながっている」という2点だけの共通項から派生した、さまざまなデバイスが出てくると思います。タブレットにはまだまだ活用し切れていない部分がたくさんあると思うので超期待していますし、新たな形態、新たな用途のものがたくさん出てきてほしいと思っています。

iOSは、どうなるんでしょうね。分かりません(笑)。『Macbook Air』がとても良いですね(笑)。ジョブズ氏が退任してからの今後に注目しています。

Windows Phone は、個人的には日本に合っていると思っています。日本の大規模な基幹系システムで全面的にWindowsを採用している会社ってけっこうあると思うんですが、その大きな理由って、サポートがあることだと思うんです。

例えば、オフィスの隣の机にMicrosoftの社員の方(チーム)に常時来てもらって、何かあればいつでも依頼できる、という体制を築いている会社もけっこうありますし、そういうところで、AndroidやiPhoneを使う発想の転換はかなり難しいと思います。Windows Phoneが、例えば、「今後●年責任を持ってサポートする」と大々的に宣伝すれば、手厚いサポートを武器にして、企業に受け入れられると思います。

(2/2 に続く)

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>>江川崇氏に聞く(2/2)-「スマホ周りの今後のキーワードはノード、エッジ、リンクですかね」