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[特集:2012年生活を一新するサービス 2/3] 2012年、Webサービスの成否は「ソーシャルをリアルにつなげられるか」で決まる

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「友だちつながり」のリクルーティングが理想のチームをつくり出す

#3 『ウォンテッド(WANTEDLY)』 http://wantedly.com/

Facebookのソーシャルグラフを使ってプロジェクトメンバーを募集できる、ソーシャルリクルーティングサービス。

2011年9月にβ版をリリース。12月にはサービスを公式にローンチした。

誰でもプロジェクトを公開し、メンバーを募集できたβ版に対し、正式版からはプロジェクトの投稿を法人会員に限定。

プロジェクトの内容をウォンテッドが審査を行う承認制に変更したことで、より「プロジェクト単位で人材を採用したい企業と、プロジェクトの内容で働き先を決めたい人の橋渡し役」としての性格を強めたサービスに生まれ変わった

ウォンテッド株式会社
CEO

仲 暁子さん(@acanocic1984年生まれ。子ども時代を米国で過ごす。京都大学経済学部を卒業後、ゴールドマン・サックス証券に就職。2年で退職した後、イラスト投稿サイト『Magajin』を立ち上げる。その後、Facebook Japanに初期メンバーとして参画。2010年9月、フューエル(現・ウォンテッド)を設立し、CEOに。趣味は漫画を書くこと

――ウォンテッドは何を変える?
大企業と違い、小さなベンチャーやスタートアップ企業は、採用にかけるリソースが潤沢ではないため、なかなか優秀なエンジニアを採用できません。どれだけ面白いことをしている会社でも、知名度や広告費がないために、優秀な人を採れないなんていうことはしょっちゅうです。

じゃあ一方のエンジニアが、大企業で働くことにしか興味がないのかといえば、まったくそんなことはない。優秀な人ほど、企業規模では職場を選ばないんですよね。彼らの多くは、チームや使っている技術、開発するサービスが「面白い」かどうかを判断基準にしています。

そんな、今まではなかなか出合うことのできなかった両者を、効率的にマッチングさせる仕組みを作り、リクルーティングのカタチを変えようとして生まれたのが、ウォンテッドです。

Facebookは、それまで比較的明確に線引きされていたオンラインとオフラインの境界をなくし、Webを通して向こう側にいる人の顔を見えるよう、Webの世界を変えました。ウォンテッドはその点に注目し、SNSのつながりをリアルなつながりに変えることをサービスの核としています。

今後Facebookはさらにユーザー層を増やしていくでしょう。ウォンテッドのような、Facebookとの連携を重視した新しいサービスが、Facebookのシェア拡大とともに成長し、業界のデファクトスタンダードになれるか、その勝負どころが2012年だと見ています。

ウォンテッドに関して言えば、公式ローンチからプロジェクト投稿にご協力いただいている4社(AppGroovesクックパッドピクシブカヤック)の事例から、データ計測や分析、「選択と集中」を行い、サービスの完成度を高めるつもりです。

あと、マーケティングにもっと力を入れていきますね。具体的なことはまだ言えませんが、いろんな手を打つ予定ですよ(笑)。

もともと小さいころから漫画家になりたくて、今でも漫画家を尊敬しているんですが、そういったクリエイターやエンジニアのような「何かをつくり出す人」にとって、会社組織に属することは、必ずしも最適な働き方じゃないと思うんです。通信技術が発達した今なら、むしろプロジェクトごとにチームに参加して報酬を受け取るスタイルの方が、合理的ではないかと。

いつになるかは分かりませんが、そんなプロジェクト単位で人が動くような、人材の流動化を支えられるサービスに、ウォンテッドを育てたいですね。

※12月25日、仲さんは「きみは誰と世界をよくする?」という記事を公式ブログで公開した。ウォンテッドのスタンスを通した、仲さんの視点を垣間見ることができるので、気になる人は要チェック!

モバイルイノベーション×アイデアで「コーチング」のスタイルが変わる

#4 『リアルコーチ(Real Coach)』 http://www.realcoach.jp/

iOS端末対応型の動画コーチングシステム。

受講生がiPhoneで撮影した動画を指導者に送信し、指導者はiPad上で動画を見ながら赤ペンと声をのせて受講生にフィードバックすることができる。フィードバックは受講生向けの指導をまとめた動画として自動的に生成され、受講生に送信される仕組み。

地理的、時間的制約を超えたインタラクティブで直感的なコミュニケーションが可能なため、高い専門性が要求されるさまざまな分野での応用が期待されている。

2012年1月より、受講生向けと指導者向けのiOSアプリを順次公開して正式サービスを開始予定

ゼニスイメージ株式会社
代表取締役

北川喜淳氏大学卒業後、大手製造メーカーのシステムエンジニアを経て、アンダーセンコンサルティング(現・アクセンチュア)へ。マネジャーとして保険・製薬業や官公庁向けのITソリューション提供に従事。その後、ITベンチャー企業のビジネス立上げ当事者として参画し、2003年10月にゼニスイメージを設立。代表取締役に就任する

――リアルコーチは何を変える?
現実世界でのコーチングと通信を介したコーチングには、それぞれメリット・デメリットがあります。

例えば、リアルでのコーチングは、生の声で直接指導が行える代わりに、時間や場所に制約があり、指導内容をアーカイブしておくことが難しかった。一方でeラーニングなどの通信を介したコーチングは、時間や場所に制約がない代わり、指導内容が画一的で、一対一で個人指導できるようには設計されていませんでした。

こうした両者の溝を埋め、「コーチングのスタイル」を変えるのがリアルコーチの役割です。

もともとゼニスイメージでは、法人向けSaaS型データ配送サービス『デジタルバイク便』を開発、提供していました。その延長上で、顧客ターゲットを個人に広げたサービスができないか模索し、リアルコーチのアイデアが生まれました。

今年の夏ごろ、「動画を活用したコーチングシステム」を思いついた時は、「でも似たようなサービスがすでにあるだろうな」と思っていたんです。ただ調べてみると、そんなサービスはまだなかった。後は、自分の頭の中で完成していたイメージを具体的な製品に落とし込んでいくだけでした。

ほかの誰かではなく、なぜ自分だったのか。振り返って考えてみると、
■ iPhone4をはじめとするHD動画が撮れるスマートフォンの普及
■ 誰でも簡単で直感的に操作できるタブレット端末の普及
■ 動画も転送可能なネットワーク通信速度の向上
といったサービスがのっかる「土壌」に、
■ 「デジタルバイク便」でたくわえてきたSaaS型サービスのノウハウ
という「経験」が、タイミングよくミックスされたからと言えるかも知れません。そういう意味では、2011年より早すぎても、遅すぎても、うまくはいっていなかったでしょう。

2012年、どのような技術が生み出されるのか、はっきりは分かりません。ただ、サービスの種をまく土壌とそれまでの経験を意識しつつ、新しいアイデアを生み、育てていくことは、不明瞭な未来を能動的に切り拓いていく上で、欠かせないスタンスだと思います

また、近年はRuby on Railsのような、優れたオープンソースのWebアプリケーションフレームワークが、わたしたちのようなベンチャーを後押ししてくれています。新しく何かを生み出す上で、今ほど恵まれた環境はないと思います。

リアルコーチは、2012年から実際の個人指導サービスとしての利用を本格的に開始します。直接顔を合わせた形での個人指導と、リアルコーチを使った指導をうまく組み合せて利用してもらいたいと思っています。指導者が少ないジャンルのコーチの方にも利用していただき、より多くのコーチの方にお役に立てるツールとして、システムの完成度を上げていきたいと思っています。

マーケットにも進出し、さまざまな分野のコーチング情報をDB化したい。そうやって重要な知的財産の共有を促進させることが、わたしの使命だと思っています。

(3/3に続く)

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