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[第2回ISAM開催レポ] 飛び交う支援継続のアイデア「復興ボランティアはGROUPON形式で集めてみる!?」

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3.11後、業界・事業者・個人を問わず、志とスキルを持つ多くの人たちが震災からの復興・復旧支援活動を興してきた。

とりわけ「技術力」を持つ各種エンジニアが、各種救援情報の集約やマッチング支援のため、各々ができることを迅速に展開してきたことは記憶に新しい。しかし、震災から約8カ月が経過した今、事業の”継続”に頭を悩ませている復興支援者が少なくないのも事実だ。

「ISAM」は『エンジニアtype』のほか、必要物資・支援要求マップ『311HELP.com』とCtoC物資支援サイト『Toksy』の開発者とともに共同で運営されている

ISAMは『エンジニアtype』のほか、必要物資・支援要求マップ『311HELP.com』とCtoC物資支援サイト『Toksy』開発者、『Hack For Japan』参加の有限会社時近らと共同で運営

そんな実情を踏まえ、「ICT×ビジネスの人材交流で、支援活動を継続していくためのナレッジ共有を促進」することを目的に、復興支援者たちの横連携を応援してきたのが「ICTソーシャルアクションミーティング」(以下、ISAM)である。

>>「第一回ISAM」の様子はコチラ

「第2回ISAM」は、10月28日の夜、グロービス経営大学院の東京キャンパスを借りて行われた。今回の趣旨は、自立運営・支援拡大を目指す復興支援団体の代表者がプレゼンターになり、現在抱えている運営課題を発表。それを、約30名の参加者全員で共有・解決するべく、ワークショップ形式で打開策を模索するというもの。

復興支援の課題を解消するとともに、支援者同士のネットワーキングに向けて、より密で具体的なきっかけを作り出すのが目的だ。

また、ワークショップには、経営戦略のプロフェッショナルで自身も復興活動を手掛けているA.T. カーニー・プリンシパルの國分俊史氏や、グロービス経営大学院でネットビジネス戦略の講師を務める加藤剛広氏が参加。課題解決に向けた、ビジネスサイドからのアドバイスも展開された。

>>事前に掲載していた「第2回ISAM」開催告知記事はコチラ

以下が、各プレゼンターが発表した課題と、それに対するワークショップ参加者たちの意見をまとめた開催レポートだ。

リソース不足解決の糸口は既存団体の「巻き込み力」にアリ

放射性物質測定マップ&除染支援『HOPE-Japan』(拠点:福島、愛知)

HOPE-Japan

『HOPE-Japan』は、「東日本大震災による放射性物質拡散範囲を確認する為の、高精度オンラインマップ作成プロジェクト」 の略称だ

福島を中心とした放射性物質測定マップを作成し、田畑所有者の除染支援を行っている『HOPE-Japan』。同団体がワークショップの議題にした課題は、「活動を継続させていくための資金調達の仕組みをどう構築していくか?」というもの。

この課題に対して、ワークショップ参加者たちからはさまざまな意見が上がった。中でも課題の本質をついていたのが、「放射性物質測定マップの情報が、『誰に向けた、何のためのサービスなのか』を明確にすることが、資金調達の仕組みを形づくる上での最優先事項」という指摘だった。

『HOPE-Japan』は、代表を務める豊橋技術科学大学の相田慎氏をはじめ、主に学術畑の有志たちによって運営されており、最新鋭の技術と理論を駆使した取り組みが強みだ。そこに、ISAMを介してつながったビジネス戦略のプロフェッショナルたちとのネットワークや意見が取り入れられることで、より具体的な資金調達の糸口が見えてくるかもしれない。今後の展開に注目だ。

被災地ボランティアマッチング支援『ボランティアインフォ』(拠点:宮城)

ボランティアインフォ

3.11後に立ち上がった『助けあいジャパンボランティア情報ステーション』と『ボランティア情報ステーションin仙台・宮城』が合流してできた

震災以降、「ボランティアしてほしい団体とボランティアをしたい人をつなげること」をミッションに活動してきた同団体が抱えていた課題は、「ボランティア活動者の減少をどう防ぐか」ということだ。

また、被災地域のフェーズの変化を受けて、ITなど明確なスキルを持った人に継続的にボランティア参加してもらうための仕組みづくりも模索していた。

そこで『ボランティアインフォ』では、ボランティアの持つ専門性と、被災地域のニーズをマッチングさせるべく、ボランティア希望者のスキル登録データベース構築を推進しており、ワークショップでもこの点について議論が行われた。

スキル登録データベースの構築という『ボランティアインフォ』側の案に対し、多かったのが「技術職でない限り、自分の提供できる具体的なスキルを挙げられる人は少ない」という意見。そのため、ワークショップでは「いかに無理なく、楽し気に(参加者にも利のある形で)ボランティア希望者を募れるか?」に焦点が当てられた。

挙がったアイデアの中で興味深かったのは、『GROUPON』的なアプローチ――「○○ができる人があと□□人必要!」といった広報の仕方を取り入れてみては?――という意見。こうすれば、「この指とまれ」的に人が集まりやすく、また、被災地のニーズをもとに必要なスキルを挙げられるため、マッチングさせやすいということで、周囲からも好意的な声が寄せられた。

南三陸町『戸倉復興支援団』(拠点:宮城)

応援団

3.11後、南三陸町ボランティアセンターや避難所の運営支援、情報環境支援などを行ってきた町民やボランティアを中心に結成された

津波で甚大な被害を被った南三陸町戸倉地区の住民が、同地域に住み続けるために必要な収入を生み出すことを目的に、各種復興の手伝いを行う『戸倉復興支援団』。代表の厨勝義氏ら、町民・個人のボランティアを主体とした団体だ。

同団体が提起したのが、「被災者と非被災者とのコミュニケーションプラットフォームとして、どのようにTwitterを活用していけば良いか?」という課題。ISAM参加者には現役エンジニアが多かった上、今回はビジネス分野の専門家の方にもご参加いただいため、「技術的にどうすれば良いか」、「資金繰りをどうすれば良いか」という二つの側面から話し合いが行われた。

若干1時間の議論で出てきた、主だった施策はこの二つだ。

◆『Hack For Japan』のような、復興支援を続けるエンジニアが集まるプラットフォームでの協力要請
◆資金繰りに際して、利益創出を求められるファンドなどに出資を募るのは非現実的。寄付金や助成金の形で国やNPOから出資してもらうべく、「自分たちがその資金を使って何をしたいのか、そのために何が必要なのか」という具体的な取り組みを分かりやすい資料にまとめておき、いつでもプレゼンできる準備をしておく

こうした下準備は、資金不足に悩むほかの支援団体も参考になる、シンプルだが大切なアクションかもしれない。

事業者支援ネットショップ『南三陸町 de お買い物』(拠点:東京、宮城)

お買い物

通常、必要となる初期費用やシステム利用料を無料にする、リスクのないネット出店プラットフォームを、南三陸町の個人商店用に運営している

南三陸町に特化した、地域事業者支援のためのネットショップである『南三陸町 de お買い物』。

8月22日の運営開始以来、運営者である勝又伸一氏が頭を悩ませている大きな問題の一つが、「支援継続に必要な運営リソース(資金・人材)の不足」だという。

そこで、ワークショップを通して問題の本質を検証。各種リソースを得るために必要なのは、「まずはより多くの人にサイトの存在を知ってもらうことだ」ということで意見が一致した。

そのための取り組みとして、
◆支援目的で購買してくれている層に向けた宣伝、SEO/SEM対策
◆大学生や地元の若者を巻き込んだ、「インターンの輪」づくり
などを優先的に行ってみては? というアドバイスが上がった。

南三陸町の商品をブランド化することで、効果的な宣伝ができるのではないかという意見の中、特に具体的だったのが、和歌山県東牟婁郡北山村でのみ生産される『ジャバラ』を例にとったブランディング手法だ。

一見、弱みとも取れる「生産者が少ない」ことを、「ここでしか採れない」という強みに転換することで、南三陸町産プロダクトが有名になれば、サイト自体の知名度も上がるだろうという考え方だ。

ICT×ビジネスが事業の「選択と集中」を促進。継続性を生む

こうした白熱したアイデア出しを通じて、具体的な解決策が提案される場面も多々見られた。ただ、たった1時間程度のワークショップで解決するほど、ヒト・モノ・カネのリソース不足は単純な問題ではないのも事実。

継続支援の本当のカギは、異質なプロフェッショナルたちの人材交流にあると、ISAMは考えている。具体的に言えば、技術畑のエンジニアとビジネス畑のトッププレーヤー、両者が有する知見とスキルをマッシュアップし、「選択と集中」を繰り返すことが、継続的な支援活動を生み出すための、実現性の高い選択肢の一つだと目している。

そのため、今後もISAMは、その”異質なスキル同士のマッシュアップ”を応援するプラットフォームとなるべく活動を続けていく予定だ。関連情報・次回ミーティング情報は、ISAM Facebookページに随時掲載するので、興味のある人はぜひチェック&参加してみてほしい。

たとえ小さなアクションでも、それらが有機的に連なっていけば、復興を早める大きなパワーになると信じて。

取材・文/桜井 祐(編集部)