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[特集: 2012年ITバズワード大予測! 4/5] インフラ編(ブレインパッド草野氏、びぎねっと宮原氏、ゼロスタート山崎氏)

公開

 

ブレインパッド代表・草野氏の予測

草野氏
草野隆史氏
@zaakya


Takafumi’s VISION

「データ分析オリエンテッドなビジネスモデルが急増する」

今年に入ってよく耳にするようになった「ビッグデータ」。しかし、実際は定義があいまいなまま、言葉だけが先行してしまった1年となりました。そもそものきっかけは、クラウドの普及によってハードウエアやミドルウエアの販売機会が損失することに危機感を持ち始めたSIerやベンダーが、次の市場として大量のデータを扱うビジネスを展開するために「ビッグデータ」に注目し出したのではないかと感じています。
来年になって、プレイヤーが増えるにつれ「ビッグデータ」の定義が明確になり、ビジネスとして発展していくのではないでしょうか。

データマイニングに関しても、まだ未熟なマーケットで、確固たる市場があるわけではありません。ただ、データ分析の活用という意味でとらえると、今年はディー・エヌ・エーやグリーのような、データ分析と改善を非常に短いサイクルで行うデータドリブンなWeb系企業が台頭してきたことは大きな変化ではないでしょうか。
また、個人的にはFacebookが、保有するユーザーデータを活かしてどんなビジネス展開をしていくのかに興味がありますね。あのデータだけは、彼らしか使用できない”ビッグデータ”ですから。

データ分析の分野がにわかに重要度を増す中、来年以降はデータマイナーのニーズが拡大することが予測されます。日本ではあまり馴染みのないデータマイナーに必要なスキルは、統計的・数学的な基礎知識と、エンジニアとして最低限のプログラミングスキル。そして、大量のデータをハンドリングしていく上で欠かせない、携わるビジネスへの理解度。
このように要求されるスキルレベルは高いものの、専門職としてのデータマイナーの募集が増えれば、日本でも少しずつ定着していくでしょう。

2009年ごろに注目を集め始めた、モノとものをインターネットで結び付ける「Internet of Things」。来年は、この概念が徐々に現実味を帯びていくと思います。そして、クルマや家電などさまざまなモノが通信機能を持てば、各所に通信情報がデータとして残る。わたしとしては、そこで得られるデータがどのようにビジネスに活かされるかも気になりますね。
ただし、日本は、海外と比較しても個人情報に関する法律は厳しく、第三者が容易に活用できません。それらを踏まえると、2012年は、近年課題になっている個人情報の取り扱いに関して、利活用のために何らかの進展があるかもしれませんね。

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びぎねっと代表・宮原氏の予測

宮原氏
宮原 徹氏
@tmiyahar


Toru’s VISION

「クラウド・震災・既存のビジネスモデルの崩壊で、BCPの見直しが加速する」

年々増加する膨大なデータを、ローコストで安全に管理するという観点でシステムを見直そうという動きは、以前からありました。この動きが活発化し始めたのが、3月11日の東日本大震災。震災以降、データセンターをより安全なエリアへ移したり、パブリッククラウドを採用し始める企業が一気に増えましたね。
それまでは、どちらかというと特別視されていたクラウドシステムの採用を、企業が真剣に検討するようになったわけです。近年の情報量の急増を鑑みても、しばらくは企業のシステム見直しのトレンドは続きそうです。

データセンターの需要は増えたものの、クラウドの登場でラックの本数が大幅に減少するなど、従来のオンプレミス型のビジネスモデルが通用しづらくなっています。そのため、今年は通信事業者やSIerにとって、どうやって自分たちのビジネスをブラッシュアップさせていくのかを見直す転換期になったのではないでしょうか。
大規模システムを用いずにビッグデータの高速処理・高速通信を実現するニーズが高まる中、大手SIerや通信事業会社がどのようなビジネスモデルを確立させ、次の一手を投じてくるのか、楽しみです。

BCPという言葉自体は以前からありましたが、それはコストを抑える目的での話。当時はおまけ的要素が強かったBCPですが、震災やクラウドの台頭により、来年の赤丸急上昇ワードになるのではないかと思っています。本格的にBCPを策定するには、ある程度調査が必要なるため、今年はその準備段階にあったといえるでしょう。
来年は、クラウドシステムを導入した場合にセキュリティ面で問題はないか、データセンターをより安全な場所に設置したい場合の好立地はどこか、といったプランを具体的に明示し、企業が導入・稼働を開始するのではないでしょうか。

今年になって少しずつ需要が表面化してきましたが、2012年はスーパーセットなエンジニアの価値がさらに高まるでしょう。わたしが考えるスーパーセットエンジニアは、インフラ領域ではネットワーク・サーバ・ストレージなどを細分化せず、インフラ全般を総合的に見ることができるエンジニアのことです。
わたし自身、得意な仮想化分野に加えて、ネットワークの資格(CCNA)を取得してスーパーセットなエンジニアになれるように努力している段階です。

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ゼロスタート代表・山崎氏の予測

山崎氏
山崎徳之氏
@zaki


Noriyuki’s VISION

「通信の社会インフラ化が進み、製品の超低電力化に注目が集まる」

FacebookをはじめとするSNSが活性化することによって、トランザクションが急増してきました。そこで今年注目を集めたのが、NoSQLを代表とする、システムのスケーラビリティを向上させるための技術です。
近年叫ばれる「フロントエンド・バックエンドをクロスオーバーさせる」技術としても、非常にエポックメイキングな技術だと感じています。ただし、このままNoSQLが2012年のキラーテクノロジーになるというわけではないので、スケール技術全般を常にベンチマークしておく必要があるでしょう。

ソーシャルサービスが普及することでトランザクションが急速に増加し、Webのインタラクティブ性・表現力が高まってきています。
この表現力のリッチ化にあたって登場した代表的なものがHTML5です。この技術は、来年以降も要チェックであることは間違いありませんね。

「システムのスケーラビリティ向上」という大きな流れの中で、わたしが特に注目しているのが非同期化。過去をさかのぼっても、何かが早くなるときは非同期化がキーになる。来年がそのタイミングで、アプリケーション処理の非同期化が加速するでしょう。
その結果、インフラエンジニアに求められる技術レベルが全体的に底上げされると予想されます。そこでもしかすると、非同期処理技術に即した新しい開発手法が登場するかもしれません。TDD(テスト駆動開発)がさらに浸透する可能性もありますね。

トランザクションの急増に伴って、サーバ側に要求される処理能力も増加すると、自然と電力消費が激しくなってしまいます。そこで、来年注目したいのが、「超低電力化」です。すでにインテルが来年夏に超低電力チップセット『Ivy Bridge』のリリースを予定するなど、メーカーもこぞって超低電力製品を出してくるのではないでしょうか。
バッテリー持続性が高まれば、今年じわじわ増え始めてきたノマドなワークスタイルも、来年以降さらに加速していくと思いますよ。

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