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[レポ] 文系学生率8割! 「プログラミング初め大会」に、Web開発の世相を見る

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「◯◯初め」という言葉がある。

新しい年が始まり、あることをその年にはじめて行うときに使われる、便利な言葉である。そんな「◯◯初め」が、1月9日六本木某所で開催された。その名も、ジョブウェブHEART QUAKEスゴログの3社が共催する「プログラミング初め大会 2012」だ。

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男性23名、女性7名の計30名で開催された「プログラミング初め大会」。この日、人生初のプログラミングを経験した学生もいたそうだ

ゼロから始めるプログラミング講座」という、プログラミングに興味がある人なら誰でも参加できるプログラムのスピンオフ版として、大学生を対象に開催されたこのイベント。参加したのは、就活生を中心とした約30名の大学生と、彼らの”一日サポーター”となるIT・Web業界で活躍する企業のエンジニア。中には、成人式に行かずに同イベントに参加している学生もいた。

「企画力だけじゃなくて開発力も身に付けたい」、「文系だけどプログラミングに興味がある」、「自分の企画力や開発力をエンジニアの方や同じ学生に評価してもらいたい」など、それぞれが高い意識を持ってこのイベントに参加しているという。

昨夏あたりから学生向けテックイベントに文系学生が急増中

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3~4チームを1つのグループとして開催された予選プレゼンの模様。学生たちは皆、各チームのプレゼンに真剣に耳を傾けていた

この日の内容は、学生3人とサポート役のエンジニア1人がチームとなって90分間でジェネレーターを企画・開発。できあがったものを、参加したIT・Web企業のエンジニアや人事担当者が審査する、というものだ。

テーマは、「新年(2012年)」。発表されたジェネレーターは、自分が生涯もらえる・あげるお年玉の金額を計算してくれる『お年玉ジェネレーター』や、自分の話せる言語を入力するとオススメの旅行先(=世界遺産の場所)をランダムで指定し、それをFacebook上で共有できる『新年旅宣言』など、オリジナリティーあふれる作品が多数見られた。

グランプリを受賞したのは、メンバー全員がバンドマンでギタリストというチームの作った『新年フェスジェネレーター』だ。「名前・年齢・フェスに一緒に行く人数・日付・日程」を入力すると、ランダムでアーティストが選ばれて自分だけのフェスが完成するというもので、審査員からも「これは面白い」と高い評価を得ていた。

各チームの作品のバラエティさにも驚かされたが、それ以上に驚いたのは、参加していた学生たちの属性だ。何と、参加学生の8割近くが、文系学部所属だという。

イベント主催者の一人であるジョブウェブの採用支援事業部事業部長・新治嘉章(しんじ・よしあき)氏は、「こうした大学生向けプログラミングイベントに文系学生たちの参加が目立ち始めたのは、昨年夏ごろから」だと話す。

ソシャゲブームが変えた、大学生の新しいスキルセット

「2年前までは、同様のイベントを開催しても文系学生の参加率は高くありませんでした。しかし、昨今のソーシャルゲーム市場の活況や、グリーやディー・エヌ・エーのような企業の躍進もあって、文系学生たちもサービスを開発する『技術』に注目し出したようです。英語と同じようにプログラミングが必修科目だと考えている文系学生も中にはいます」(新治氏)

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協賛として参加したWeb企業も、意識の高い学生たちとのコミュニケーションを楽しんでいた

ディー・エヌ・エーやグリーが新卒採用の技術者に最高1000万~1500万円の年収を用意しているというニュースが出るほど、最近は「開発できる人」の価値が高まっている。そんな機運を受け、参加する学生の中には「開発できないというコンプレックスを解消したい」という人も少なくないそうだ。学生たちの意識の高さがよく伺える。

「学生だけでなく、企業さまからもこうしたイベントに対する注目度は高まってきています。どのIT企業も、ゼロから技術者を育てていくには体力がないとやっていけません。ですので、今回のイベントや『ゼロから始めるプログラミング講座』では、最低限の技術が分かる人材の育成をサポートしていきたいんです」(HEART QUAKE代表・千葉順氏)

新治氏の言うように、プログラミングが英語のような一般教養に近い形で学ぶ場が増えれば、若い世代からどんどん「開発者」が増えていくという吉兆になるだろう。さらに言えば、今後のIT・Web業界では、技術職であるなしにかかわらず、「企画も開発もできること」が標準のスキルセットになっていくのかもしれない。

取材・文・撮影/小禄卓也(編集部)