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[連載:ひがやすを×和田卓人] プログラマー人生を楽しむために知るべき97のこと【恋愛編 2/2】 『YAGNI』を私生活にも応用しよう

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和田 ひがさんにも恋愛下手な時代があったんですか? それは聞きたい。

ひが この話は、和田さんにも、読者にも共感してもらえると思うんだけど、仕事に没頭していて夢中な時ほど、恋愛がどうでもよく思えたりしない?

和田 僕の場合はほとんどいつもそうだったかもしれない(苦笑)。

「プログラミングのような

「プログラミングのような”没頭する仕事”だと、ほかのことはどうでもよくなる瞬間が…」(ひが氏)

ひが 僕は今の勤め先に入社してすぐ、ある金融系の案件を担当することになって。技術のことだけじゃなく、まったく知らなかった金融業界の業務とかも覚えなければいけなかったから楽な仕事ではなかったんだけど、とにかく新しいことを吸収するのが面白くて。どんどん仕事にのめり込んでいったんだよね。

和田 好きなことだから没頭していくと、だんだんほかのことがどうでもよくなっていくっていう展開ですか?

ひが そうそう、ホントに仕事以外はどうでもよく思えてくる。ちょっと気になる女性が現れたとしても、「彼氏はいるのかな?」なんて考えるのが面倒になって……。

和田 僕も同じような感覚になっていた時期がありました。

ひが そんなこんなで、僕は就職してから2000年くらいまで、まったく彼女ができなかった。「そろそろマズいな」と思い始めて、彼女をつくろうとするんだけれど、しばらく、まともに女性と接してないからうまくいかない。

和田 負のスパイラルですよね、そうなると。

ひが たぶん読者の中にも、多かれ少なかれこういう経験をしている人がいるんじゃないかな。仕事で「正のスパイラル」に入るほど、恋愛では「負のスパイラル」が進行していく。それって、人生としては幸せじゃないよね。

―― ひがさんはその「負のスパイラル」からどうやって脱出したんですか?

ひが それがXPとの出合いだったんですよ。だから、和田さんに初めて会ったころって、たぶん僕がようやく恋愛の不毛時代から脱却できた時期なんです。何か不思議な縁でしょ? 恋愛というテーマで、実は僕らはつながっていた、みたいな(笑)。

和田 XPの何がひがさんを変えたんですか? 仕事じゃなく、恋愛が変わったんですよね?

ひが 正確に言うと、両方が変わった。『YAGNI(ヤグニ)』の思想に触れてね。

和田 あー、あれですか!

恋愛にXPやテスト駆動開発の原則を当てはめると…

―― お2人は分かり合えたご様子ですが、『YAGNI』が恋愛とどうつながるんですか?

和田 ここは僕が説明しますね。『YAGNI』というのはXPの開発の根幹をなしている考え方で、”You Aren’t Gonna Need It“の略です。ざっくりと説明すると、「本当に必要になるまで、機能を作り込むことを待つ」という考え方です。それまでの開発の考え方は「いずれこういう拡張機能も必要になるかもしれない」なんて可能性を感じたら、開発工程を多少遅らせてでも事前に設計に腐心したり、機能を作り込んでしまうことが多かった。でも、実際にはそういう機能を使うケースは意外と少ないわけです。

ひが だから、「先のことは予測不可能である以上、今やれることをシンプルにやるべき」と提唱したのが『YAGNI』なんです。

和田 僕自身も、XPに出合うまでは臆病な完璧主義者でしたから、「あらかじめ完璧に用意するのがカッコイイ」みたいな美意識がありました。でも、『YAGNI』の発想を学んだことがきっかけで、プログラミングのやり方がガラッと変わりました。ソフトウエア開発には、やってみないと分からないことが非常に多いですから。最初に「あれもしなければならないし、これもやってみたい」と考えてしまうと、かえってコーディングが難しくなるんです。

From Mulling it Overアジャイル開発の先駆者ケント・ベック氏も、まさか自身の発想が恋愛に活かされるとは思わなかったはず

From Mulling it Over

XPの考案者ケント・ベック氏も、その発想が恋愛にも活かされるとは思わなかったはず!?

ひが 和田さんは、『YAGNI』を提唱したケント・ベックマーティン・ファウラーとの出会いからTDD(テスト駆動開発)の伝道師になったんだもんね。

和田 ええ、ベックやファウラーがXPでもTDDでも強調している『YAGNI』の考え方は、今でも僕を支えるベースになっています。で、ひがさんは、それを恋愛に適用したわけですね?

ひが うん、僕ら男はさ、素敵な女性を見るとすごく惹かれるわけじゃない? でも、同時にこうも考える。「いきなりデートに誘ったら断られるかも」とか、「今の自分には高嶺の花だからもっとカッコ良くなってから誘おう」って。

和田 そうこう考えているうちに、結局その女性を誘えずに終わってしまうんですよね。

ひが でも、『YAGNI』の発想なら、「何はともあれデートに誘ってみればいいじゃん」となる。誘ってフラれることは、実際にフラれてから考えればいい。TDD的に言うと、もしそれでフラレて、最初は「レッド」だったとしても、そこからダメな部分を修正して「グリーン」にすればいいわけだし。

和田 そして、プログラミングでいうリファクタリングの手法ですね。必要なことから小さく始めて、少しずつキレイにしていく。

ひが そうそう。「先のことまで全部見通して、事前に全部用意して」なんていうウォーターフォールな頭で考えていたら、いつまで経ってもデートに誘えない。それに気づいた途端、仕事はもちろん、恋愛でも不毛な時代から脱却できたんだよ。気になる女性がいたら、まずはデートに誘っちゃおうって。

異性との良縁は、予期せぬところからやってくるもの

―― じゃあ奥さまとも、『YAGNI』を実践してご結婚まで?

ひが そうですね。とある合コンで出会って素敵だなと思ったので、すぐに「今度おいしいワインでも飲みに行きませんか?」と誘いました。僕の口説き文句は大体いつもこれなんです。

和田 なるほど、ひがさんは『YAGNI』な考え方を伝えたくて、最初のテーマを恋愛にしたんですね。うーむ、勉強になります。そういえば僕も、今振り返ってみれば奥さんとの出会いは『YAGNI』的な行動から生まれたのかもしれません。

ひが どんな出会いだったの?

和田 ちょうど30歳を過ぎたころから、周囲の仲間たちが「そろそろ結婚を考えた方がいい」と何度か食事会を設定してくれまして。でも僕はそもそも合コンが苦手ですし、昔の僕なら仕事の忙しさなどにかこつけて断ってしまうケースも少なくなかったんです。が、その時は「まず参加してみよう」と。

―― そこで奥さまと出会ったわけですね。

今年8月7日にブログで入籍発表をした和田氏。短いながらもやさしい人柄を感じさせる文面だった

今年8月7日にブログで入籍発表をした和田氏。短いながらもやさしい人柄を感じさせる文面だった

和田 いや、実はそうではないんです。すごくお酒のおいしいお店に行ったのですが、僕が見事にお酒に飲まれてしまいまして……。で、その様を見た女性が、「彼女が合っているかも」と言って紹介してくれたのが、今の奥さんでした。

―― これまた意外な展開で。

和田 奥さんとは初めて会った時から「素敵な女性だな」と思いまして、お互い話も弾みました。その後、交際期間を経て今に至ります。

ひが すごい偶然だったんだね。でも、それだって最初に「合コンに行ってみよう」とならなければ出会ってなかったわけだよね。

和田 そうなりますね。

ひが 僕も和田さんもアジャイル開発の信奉者なわけで、だったら人生もアジャイルでやっていこうよと(笑)。『YAGNI』で生きていくと、いろんなことがうまくいくようになるんです。

―― 恋愛話から始まって、プログラマーとしての生き方に見事にオチました。ありがとうございます。次回は……。

ひが 今回はインパクトを考えてちょっとおふざけネタにしたので、次回はもう少しマジメに話そうか。

和田 そうですね、僕もそっちの方が安心して話せます(笑)。

―― ならば第2回目は「スキル向上編」でどうでしょう? 今日お2人に伺ったような「転機」がお仕事ではいつ起こり、そこからどう変わったのかを聞いてみたいです。

ひが・和田 分かりました。

ひが 3回目以降の対談テーマは、読者の皆さんの反応を見て決めたいな。僕たちも、せっかくならプログラマーにとってホントに役立つ話がしたいから。

...と、いうことで

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取材・文/森川直樹 撮影/小林 正

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