エンジニアtype - エンジニアのシゴト人生を考えるWebマガジン

[コラム] 9/9「もとボラ」報告会レポ~復興支援のネクストフェーズでITができること

公開

 
「ボランティアしてほしい団体とボランティアをしたい人をつなげる」を目的に立ち上がったボランティアインフォのHP

「ボランティアしてほしい団体とボランティアをしたい人をつなげる」を目的に立ち上がったボランティアインフォのHP

「Webは役に立たない」

3・11に起きた大震災後の復興支援で、現地で活動する人たちからよく聞くフレーズがこれだ。

ただ単にWebサービスを立ち上げただけでは、機能しないのもうなずける。地域ごとの復旧具合や、被災地域に住む人たちのITリテラシーがまるで異なるからだ。

この現実を受け、「Webを駆使した本当に役に立つ情報発信」を目指して立ち上がったのが、仙台を拠点に活動してきた『ボランティアインフォ』だ。

特徴は、大学生を中心とするボランティアスタッフが、被災地に直接足を運んで情報収集を行い、人手を欲しているボランティア団体から募集情報を集めている点。

また、その募集情報を検索データベースに打ち込むだけでなく、各ボランティア団体や支援者の想い、活動ストーリーを深掘って取材・発信。そうすることで、ボランティアに参加したい人たちとの”想いと想いの共感マッチング”を実現してきた。

こうして、Webサービスを立ち上げただけでは届かない「ラストワンマイル」を埋める細やかな努力と工夫によって、各地で展開されるさまざまな形の復興活動をサポートしてきたのだ。

地域密着型の「小さな支援」ではまだまだ人手不足

そんな彼らが、9月9日、これまでの活動のまとめとして、東京の日本財団ビルでプロジェクト報告会「被災地にもっとボランティアを!~ボランティア団体とボランティアを繋いだ学生からの報告~」(以下、『もとボラ』報告会)を開催した。

報告会では、『もとボラ』参加者が直接訪問し、活動の模様を目にしてきた約100件の支援団体の中から、宮城県内14の団体をピックアップして活動内容を紹介。生活復旧に向けた泥かき・がれき撤去から、避難所にいる方々へのマッサージサービス、地域住民への簡易入浴施設の提供、思い出の詰まった写真の洗浄作業など、発表されたボランティア内容はまさに多種多様だった。

≪9/9『もとボラ』報告会のUSTREAMアーカイブはコチラ≫
※デバイスやブラウザによって、表示されない/観れない場合があります。その際はコチラにジャンプしてください。



Live broadcast by Ustream

学生たちの想いのこもったプレゼン内容から分かったことは、地域に密着した支援活動ではまだまだ人手不足だということ。大手メディアが報じないような”小さな問題”は現在も山積しており、その解決をサポートするボランティアが引き続き求められている。

中には、震災から半年が経った今でも、「半日でいいからボランティアの手を借りたい」という団体があるとのこと。にもかかわらず、全体的にはボランティアの灯が小さくなりつつあり、阪神淡路大震災の時と比べてもボランティア数が約3分の1程度にとどまっている。

『ボランティアインフォ』はこうした現状を鑑みて、今後いっそうの提案型ボランティアを展開し、被災各地のニーズをつぶさにキャッチしながら支援の輪を広げていきたいという。

「自立へのベース」として新たな役割を帯びるIT

そして、もう一つ分かったのが、今後の支援活動では「被災者が自立していくための支援」が重要になるということだ。

『ボランティアインフォ』代表の北村孝之氏や、副代表の大藤多香子さんが報告会の総括で語ったのは、『もとボラ』が本格的に活動を開始した今年7月からの2カ月間でも、現地の様子は刻一刻と変化してきたということ。長期支援となればさらにフェーズが変わっていくはずで、その「変化」の中で求められるものの一つに、被災者の自立へ向けた支援があるというわけだ。

ここに、ITにできる新しい支援の可能性も隠されている。

実際に、泥かきやがれき撤去といった復旧作業が一段落した地区では、「自分たちで地域振興やビジネスに関する情報を発信してきたい」という声が上がっており、『ボランティアインフォ』では被災地外からWebサイト構築を行うプロボノ(職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア)活動者を紹介する取り組みを検討しているという。

ほかに、この日の報告会で紹介された団体の中には、津波被害を受けて汚れた缶詰食品を洗浄した上で『希望の缶詰』として商品化し、催事場やネットで販売(※)をしながら復興への第一歩を歩み出した株式会社木の屋石巻水産のような企業もあった。

(※『希望の缶詰』の販売状況は『木の屋スタッフblog』でご確認ください)

「自分たちは『被災者』ではなく『復興者』なんだ」

『もとボラ』参加者の一人が現地取材中に聞いた印象的な言葉に、こんな一言があったそうだ。この熱意ある「復興者」たちが自ら起こすアクションを支えるベースとして、今改めて、Webを用いた支援や、IT活用ナレッジを提供できる人たちのボランティアが求められている。

取材・文/伊藤健吾(編集部)

■弊誌共催「ICTソーシャルアクションミーティング(ISAM)」では、

 引き続きITを用いた復興活動団体・復興支援者を応援しています。

>>[第1回ISAM開催レポ] 復興支援の長期継続に必要なのは「ICT×ソーシャル・アントレプレナー」の力