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[コラム] CEATEC JAPAN2011の最新技術が、今流行りのノマドワークを加速させる?

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3日目の10月6日(木)は、3万7千人を超す来場者を記録した

3日目の10月6日(木)は、3万7千人を超す来場者を記録した。※開催は10月8日(土)まで

アジア最大級のIT・エレクトロニクスの展示会、『CEATEC JAPAN2011』が、10月4日(火)に千葉の幕張メッセで幕を開けた。

東日本大震災の影響で減少が見込まれた出展者数は、586社/団体、2243ブースとほぼ例年通り。しかしながら、「IT・エレクトロニクス産業が提案する安心・安全でスマートな社会」を推進スローガンに掲げ、『スマートコミュニティーイノベーション2011』と題した展示スペースを設けるなど、震災の影響を受けて省エネや安全といった面にフィーチャーした展示内容のものが多く見受けられた。

特に印象的だったのが、地球温暖化や自然災害に対処できる新たな社会システムの再構築「ゼロからのスタート」をテーマにした「スマートコミュニティ”ZERO”」だ。EV(電気自動車)や蓄電池を基本構成要素としたスマートハウスやスマートショップ、EV屋台、ソーラー充電ステーションなど、自家発電機能を備えた施設群のデモンストレーションが行われ、「ゼロエミッション」や「エネルギーの地産地消」の可能性を追求していた。

また、こうした「スマートコミュニティ」の創造以外に、多くの企業がテーマとして掲げていたものがある。それは、もう一つの”スマート”、スマートフォンに関する最先端技術の研究だ。

以下に紹介する「マルチタッチ」「Skype TV」「ワイヤレス充電」の3つの技術は、スマートフォンやタブレット端末などがビジネスシーンにおける活躍の場がさらに広がる可能性を示してくれた。

“タッチ”不要なタッチパネルの登場

2年程前にマイクロソフトが製作した、10年後の未来をイメージしたビデオを見たことがあるだろうか。

そこで、未来にある”普通”の技術の一つとして描かれていたのは、キーボードや画面に触れずに空中で指を動かすだけでキー操作ができる様子だ。

最大10点のマルチタッチを可能にしたマキシム・ジャパンの「マルチタッチコントローラ」技術。5つの指で押さえても、すべてのポイントで正確に感知している

最大10点のマルチタッチを可能にしたマキシム・ジャパンの「マルチタッチコントローラ」技術。5つの指で押さえても、すべてのポイントで正確に感知している

この未来予想図を具現化しそうな技術を、村田製作所マキシム・ジャパンなどが展示していた。機器に触れず、指を動かすだけで入力できる世界を、モーションセンサーの開発によって実現した。

村田製作所の開発品は、近接センサーの機能に使う赤外線発光素子を3個、近接/照度センサーの機能に使う受光素子を1個、1パッケージ化したもので、高さ20cm程度までの動きを検出できる。

さらに、「当社では、機器に触れずにキー操作ができるだけでなく、最大10点のタッチ検出ができます。このマルチタッチコントローラ技術にも注目してもらいたい」と、マキシム・ジャパンの担当者は言う。

これから寒くなってくると、手袋が欠かせなくなる。そんなときでも、先述した2つの技術があれば、手袋を外すことなくデバイスを操作するようなことが可能になるのだ。

ビジネスレベルのTV会議を、家庭でも安価でできる時代に

マキシム・ジャパンでは「マルチタッチコントローラ」技術のほかに、テレビ画面上でSkypeを実現させる『Skype TVソリューション』技術を展示していた。同社の提案するデバイスを家庭用テレビにつなげるだけで、家庭でも簡単に高解像度・高音質のテレビ会議が可能になるのだ。

「従来のTV電話のようなものだと、解像度が低く画面に映るモーションも滑らかではありませんでした。また、周りのノイズが入ることもあったため、長時間のコミュニケーションには優れていませんでした。しかし、今回展示する『Skype TVソリューション』では、遠く離れたご家族がストレスなく、今まで以上に快適なコミュニケーションを取れるように開発した」(担当者)

この術が普及すると、重要な会議なども『Skype TV』を通して、自宅で今よりも格段にスムーズに、できるようになるかも知れない。

現段階では家庭用テレビ向けに開発されているこの技術だが、これらの技術が進歩していけば、スマートフォンやタブレット端末での高解像度・高音質なテレビ会議も実現するかもしれない。そうなれば、場所を問わず世界中の至るところでストレスなくWeb会議を行える日も、そう遠くはないだろう。

スマートフォンの充電が、ワイヤレスでどこでもできるようになる

溢れんばかりの人でごった返す、ワイヤレス充電の世界標準規格「WPC」ブース

溢れんばかりの人でごった返す、ワイヤレス充電の世界標準規格「WPC」ブース

小規模にもかかわらず盛況を見せていたのは、97社が加盟するワイヤレス給電の業界団体『Wireless Power Consortium(WPC)』のブースだ。

参考出品として展示されているものの中には、パナソニックと三洋電機による、太陽電池とQi規格の充電パッドを内蔵したテーブルや岡村製作所の『Qiデュアルワイヤレス充電テーブル』などがあった。

「今年発表された、スマートフォンの秋冬モデルでもQi規格対応の機器が登場するなど、Qi対応製品は増加しています。それに伴い、インフラの整備も徐々にではありますが進んでいる段階です。『Qi』規格が世界中に浸透すれば、先に述べたテーブルを始め、カフェや車中でもワイヤレス充電が可能になることで、メーカーやデバイスを問わず、いつでもどこでも充電ができるようになる。そんな、世界が実現するでしょう」(担当者)

製品ラインナップも、徐々にバラエティを増やしている

製品ラインナップも、徐々にバラエティを増やしている

現在は、スマートフォンだけでなくタブレット端末やPCでも利用できるようハイパワー化の規格も開発しているという。WPCの担当者が言うように、ワイヤレス充電がいつでもどこでも可能になったら、付属の充電機器を持っていなくても充電の心配をすることなく社外での仕事が可能になる。

先に述べたこれら3つの技術が一般に普及していけば、快適なノマドワークが可能になる。

スマートフォンやタブレット端末でのキー操作が快適になり、エアタイプも可能になれば、もはやキーボードすら必要なくなるかもしれない。ワイヤレス充電がそこここに設置されることで、いくつもコードを持ち歩いたり、充電のための電源プラグを探す必要もなくなるだろう。そして、高解像度・高音質で、どこでもストレスを感じずにWeb会議が開かれる……。

そんなノマドワーカーが増えるのも、時間の問題かも知れない。

文/小禄卓也(編集部)