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[コラム] 日本初上陸! 『Fablab』で四次元ポケットに思いをはせる

公開

 
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2011年4月現在、少なくとも世界20カ国以上50か所以上にファブラボが存在する

5月15日(日)快晴――都心部から約1時間半をかけ、はるばるやってきた、ヒストリカルタウン・鎌倉。

そう、この日は記念すべき日本初のファブラボ、『Fablab Kamakura』のオープン日なのだ。

「ファブラボ」という聞きなれない単語を、始めて耳にしたのは高円寺の『ガジェットカフェ』だった。最近増えつつある、「モノづくりスポット」について、『ガジェットカフェ』の発起人、吉弘辰明氏に話をうかがっていた時のことだ。

「モノづくりスポットといえば、あのファブラボが、今度鎌倉でオープンしますよ」

ふぁぶらぼ?? 頭上を行き来するクエッションマーク。ファブラボとは一体何ぞや?

「さまざまな工作機械を備えた一般市民向けのオープンな工房と、その世界的なネットワークです」

吉弘氏の話によれば、どうやら以前訪問した『はんだづけカフェ』に近い感じの施設らしい。だが、人づての話だけでは、どんな雰囲気の「場」なのか実感しにくいのが正直なところ。これは行ってみるしかない。で、来てみた。

日本初のファブラボは、なんと築120年オーバーの酒蔵

鎌倉駅を降りて、西口から北へ約5分。突き抜けるような初夏の青空の下、全てを投げ出してビールを飲みたい衝動を抑えきれなくなったころ、目的のファブラボ鎌倉とおぼしき蔵が見えてきた。

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この蔵は『結の蔵』といい、秋田県湯沢市にあった造り酒屋の酒蔵を移築したもの。なんと築年数は120年を超えている

来てから知ったが、この日はまだプレオープンで、本格的な一般向けの利用公開は6月から(予定)だという。

一般利用公開に先駆け、ファブラボの概念(利用者が材料を持参し、ものづくりをするとともに、自らが開発したノウハウを、Web上でオープンに共有しようという仕組み)を「料理」を通してつかもうという趣旨らしく、蔵内では、昼過ぎからのBBQに向け、食材の仕込みが行われていた。

モノづくりネットワークがハードウェアの技術革新を起こす

さて、つらつらとファブラボの様子を紹介してきたものの、結局どうやって利用すればいいのかは分からないまま。そこで、Fablab Japan発起人である田中浩也氏(慶應義塾大学環境情報学部准教授)に、ファブラボ鎌倉の使い方について話を聞いた。

Q. ファブラボに興味を持った人は、どう利用すればいいんですか?
「ファブラボ憲章」というものがあり、
その趣旨に同意してくれる方であれば、どなたでも
ファブラボにある各ツールを原則無料で利用していただけます。

「憲章」というと堅苦しいですが(笑)。
要はファブラボで「つくられたもの(プロダクト)」や
「つくり方(プロセス)」をオープンにしてください、ということ。
詳しくはこちらを見てみてください。

Q. ファブラボにはどんなツールが用意してあるんですか?

そうですね...ざっと、
■立体造形系(3Dプリンタ/3Dスキャナ)
■カッティング系(ペーパーカッター/ビニールカッター/レーザーカッター)
■ミリング系(小型CNCミリングマシン )
■服飾系(デジタルミシン/ソーイングマシン/
電子縫い機・刺繍マシン/デジタルニッティングマシン/
電子編み機 /ウィ―ヴィングマシン/織り機)などがあります

ほかにもハンドクラフト用の、電子工作工具類や木工工具、
各種文房具をそろえていますよ。

Q. え...、これ全部無料で使えるんですか?
初回講習料や、3Dプリンタの材料代といった消耗品料は別途いただきますが、
基本無料です。

これだけいろいろそろっていると、作れないものを探す方が大変そうだ。そんな、「最強の工作スペース」たる称号にふさわしいファブラボだが、こうした施設が日本国内にできたことは、単に「場」ができた以上の意味合いを含んでいると、田中氏は話す。

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ファブラボ鎌倉にある3Dプリンタ。左側の樹脂を溶かしながら造形する。台の上にあるのは。実際に作られたサンプルだ

「例えば、3Dスキャナと3Dプリンタ・ミリングマシンがあれば、たいていのモノは簡単にコピーしてしまえます。とともに、それまで困難だった、個人レベルで作り出された優れたプロダクトの大量生産が、非常に安価にできるのです。

このことは、ソフトウェア界で行われてきた『オープンソース』の方法論が、ハードウェアの世界でも通用するようになったことを表しています。

ソフトウェアのオープンソース化は、ITの技術革新を牽引してきました。同様に、『オープンであること』がDNAに刻み込まれているファブラボネットワークの広がりは、ハードウェアにイノベーションを起こしうる可能性を秘めているのです」


夢に見たドラえもんの世界は、鎌倉から始まる

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まだまだ動き出したばかりのファブラボ鎌倉。今後、最新の設備と独自の人脈を用いた、さまざまなワークショップを開いていく予定だ

田中氏がぜひ開催したいと話していたワークショップの中で、個人的に気になったのが、「自分の体型に合ったオリジナルイスの制作」。木材さえ準備すれば、半日程度で制作できてしまうという。

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田中氏が、実際に自分の背中の形を計測して作ったオリジナルイス

なんというフューチャリスティック! その現実離れした”近未来さ”に驚いていたところ、田中氏が言った。

「ドラえもんの道具で『フエルミラー』っていうのを知ってますか? 増やしたいものを映すだけで、映ったものを増やせる道具です。今や技術的には、同じことができちゃうんですよ。いやー、すごいですよねー」

エンジニアの皆さん、週末鎌倉まで行けば、ドラえもんの四次元ポケットを見学・体験できますよ。

取材・文/桜井 祐(編集部)

■『Fablab Kamakura』HP
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最寄り駅のJR鎌倉駅西口より徒歩5分
一般公開日時は土曜日:13時~18時 (2011年6月より)
※機材を使用して工作をする場合は、要事前予約
※混雑時の利用時間は一人最大2時間まで