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[連載:法林浩之④ 前編] 「コミュニティ運営」で技術屋の価値を高める4つの心がけ

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ITイベンター・法林浩之のトップエンジニア交遊録

日本UNIXユーザ会 幹事・フリーランスエンジニア
法林浩之(ほうりん・ひろゆき)

大阪大学大学院修士課程修了後、1992年、ソニーに入社。社内ネットワークの管理などを担当。同時に、日本UNIXユーザ会の中心メンバーとして勉強会・イベントの運営に携わった。ソニー退社後、インターネット総合研究所を経て、2008年に独立。現在は、フリーランスエンジニアとしての活動と並行して、多彩なITイベントの企画・運営も行っている。

季節も冬。ということで、今回はコミュニティのシャツを着用してきた法林氏

季節も冬。ということで、今回はコミュニティのシャツを着用してきた法林氏

過去の連載記事でも触れたように、僕がITイベンターとしての活動を始めたのは20年以上前のことです。その間、数多くのイベントをプロデュースしたり、コミュニティの運営に携わったりしてきました。

その中で気付いたのが、イベントやコミュニティを運営することは、技術者のスキルアップに大いに役立つということでした。

ここ数年、コミュニティや勉強会に加わる技術者が増えています。でも、運営側に回る人はまだまだ少数派。多くの人は、「お客さん」のような立場で参加しているのが現状でしょう。僕から見れば、もったいないなぁと感じるんです。

そこで今回は、僕がイベント・コミュニティを運営する上で大事にしていることと、そこで磨けるスキルについて解説しようと思います。

心がけ1……人はアウェイで成長する

他団体との積極的な交流が、新しい人脈形成や多様な情報収集に繋がり、技術者の成長に繋がるという

他団体との積極的な交流が、新しい人脈形成や多様な情報収集につながり、技術者の成長も促進する

エンジニアのコミュニティは、外部とあまり交流を持とうとしないところが多いと感じます。まあ、アウェイよりホームの方が楽ですよね。互いに気心が知れているし、技術に関する話も通じやすいですから。でも僕は、ぜひ積極的に「団体交流戦」をやるべきだと思っています。

僕が学生時代からかかわってきた日本UNIXユーザ会(jus)は、伝統的に、他団体と広く交流してきました。複数のコミュニティが協力してイベントなどを行う場合も、まとめ役になることが多かったですね。理由は3つ挙げられると思います。

1つ目が、jusはUNIXだけでなくインターネットなどの周辺技術も取り扱っていて、いろいろな分野とつながりがあったこと。2つ目は、相対的に中立な団体であったこと。そして3つ目が、お金の管理やイベントに必要な道具の提供などが得意だったことです。

どのコミュニティも技術に関することは一生懸命やるんですが、人の管理とかお金の管理なんてことは、面倒くさくて誰もやりたがらない(笑)。そこで、jusが手を挙げることが多かったんです。

いろいろなイベントを主催したことは、jusにとってもメリットがありました。多くの団体とつながりができ、刺激を受けて組織が活性化しました。また、イベント運営のノウハウを蓄積できたことも大きかったですね。これらは、jusが30年近くにわたって活動を続けられている理由の一つではないかと思います。

コミュニティも、そして個人のエンジニアも、アウェイでこそ成長すると思うんですよ。ホームで過ごしてばかりいると、入ってくる情報は偏るし、刺激も少なくなりがち。逆にアウェイに出れば、人脈も広がるし、成長するチャンスもグッと大きくなります。また、社員エンジニアにとっては、自分が社外で通用するかどうか知るチャンスでもあるのです。

心がけ2……定義や制限にしばられない

細かい定義はせず、大きな軸を一つ持とう。そうすれば、色んなことに対応できる度量の広さを持てる

細かい定義はせず、大きな軸を一つ持とう。そうすれば、色んなことに対応できる度量の広さを持てる

エンジニアは、すぐに定義をしたがる生き物です。まずルールを決め、それに沿って物事を進める方が性に合うんでしょうね。でも、コミュニティを運営する上では、定義や制限にとらわれない方がうまいくことが多いです。

例えば、「Lightweight Language(LL)イベント」では、「LLとは何か」という点をはっきりと定義していません。唯一の定義らしいものと言えば、「より少ない『脳力』でプログラミングできる言語がLL」(まつもとゆきひろ氏談)という、ざっくりした言葉だけ。細かく決めると、枠組みから少しでも外れたものを、すべて排除してしまう危険性があるからです。
(後編へ続く)

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