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[コラム] 『Life is Tech!』1Day体験レポ~アプリ開発にはやっぱり「遊び心」が大事!?

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7月17日、秋葉原にあるデジタルハリウッド大学セカンドキャンパスに、年ごろの中高生が集まった。目的は、『Life is Tech!』1Day無料体験プログラムに参加するためだ。

『Life is Tech!』1Day無料体験プログラムは、今後の日本を背負う中高生を対象に、ITを駆使したモノづくりの楽しさを体験してもらおうという、新しい形のICT教育プログラムである。

「参加した生徒たちが自己紹介をしやすい」という意味も込めて、脳内メーカーを用いた自己紹介は好評だという

「参加した生徒たちが自己紹介をしやすい」という意味も込めて、脳内メーカーを用いた自己紹介は好評だという

1日のプログラムのゴールは、「デジタル時計アプリとカウンターアプリの制作」。大学生を中心としたチューターに教えてもらいながら、自分の手でiPhoneアプリを開発していく。

プログラムの前後には、脳内メーカーを使って自己紹介をしたり皆でボードゲームを楽しんだりと、「遊び」の要素がふんだんに盛り込まれている。

今回参加した中高生は16人。PCやソフトを触ったことのないネットビギナーから、大のプログラミング好きまで、参加者の層はさまざまだ。小学6年生のころすでにFlashでアニメーションを作ったり、C++、Java、Ruby、Haskellなどを使いこなす中学生がいたり、ActionScriptなどを駆使してゲームを作ったりしていた子もいるほどだ。

Twitterで『Life is Tech!』を知り、1Day体験プログラムの第1回から参加している高校生や、「高校でプログラミングに興味がある友だちはいないけど、ここにきたら同じ趣味を持った仲間がいるのがうれしい」、「Macを使える貴重な場所」、「アプリ開発など、ここでしか学べないことばかり」と、リピーターとして参加する中高生も多い。

ちなみに、今回参加した生徒たちのほとんどが、『iPhone』や『iPad』などのアイテムを持ってきており、まさに「デジタルネイティブ」の台頭を感じさせるイベントとなった。

「楽しく」ブレストをすることが、自分の隠れた志向を引き出す

さて、この体験プログラム最大の特徴は、単に技術的な「アプリ開発」のノウハウを教えるだけでなく、生徒たちのオリジナリティーを引き出しながら開発の醍醐味を味わってもらうというもの。そして、生徒同士がコミュニケーションを深めながら、自分なりに「作る楽しさ」を見いだしてもらう仕掛けが随所に散りばめられている。

例えば、プログラム冒頭にある自己紹介タイムでは、1グループ5~6名にわかれ、脳内メーカーを模した用紙を用いて一人一人が自分の得意なことや趣味などを紹介していった。その意図を、『Life is Tech!』を主催するピスチャー取締役副社長の松井晋平氏はこう話す。

「普通に自己紹介をするよりも、ちょっとエンタメ性を持たせたコミュニケーションができるように心がけています。脳内メーカーを使ってみたのも、自分の頭の中を整理することやグループの皆がお互いを理解することに活かせるんじゃないかなと思ったからです」

確かに、脳内メーカーによって自分の中で面白いと思うこと・興味があることが整理され、そこで明確になった志向に沿ってデジタル時計アプリを作る生徒も少なくなくなかった。まさに、自己紹介の場を活用したブレストタイムというわけだ。

技術面より「アイデアを反映する」プロセスを重視

「TeenなGeek」特集でも登場した渡辺祥太郎君も、メンターとして生徒たちにアドバイスを行っている

「TeenなGeek」特集でも登場した渡辺祥太郎君(写真左)も、メンターとして生徒たちにアドバイスを行っていた

プログラムの前半に用意されているデジタル時計アプリの制作では、時計のロジック部分があらかじめ提供されているため、参加者たちは、”どんな時計を作りたいか”を考えることに専念できる。

さっきまでにぎやかに自己紹介を行っていた雰囲気から一転、子どもたちの顔は真剣モードへ。

好きなプロ野球チームの選手たちの画像を使ったり、『エヴァンゲリオン』の世界観をそのまま時計に落とし込んだり、マージャンの牌を数字に使ったり…。16人いれば16通りのアイデアが光る。

過去に開催されたプログラムでは、AKB48のメンバーを登場させ、2010年度総選挙の順位を数字に見立てたデジタル時計を作った生徒なんかもいるという。

こうして「素材」が決まった後は、『Adobe Illustrator』で数字と画像を制作してファイルを取り込み、アプリをビルドして完成。

開発の難易度は非常に易しいものだったが、自分でアイデアを考え、形にしていくまでのプロセスを、参加した生徒たちは一様に楽しんでいた。

昨今ではアプリ開発の技術的ノウハウがネット上にも多数出回っており、ヒットアプリを生む源泉は機能よりもアイデアそのものとなっている。こういった流れを踏まえても、プログラム参加者が経験した「開発プロセス」は理に適ったものと言えるだろう。

モノづくりの原点に立ち返るプログラム

照れながらも、嬉しそうな表情を浮かべる生徒たちの姿が印象的。彼が『エヴァ時計』を完成させたとき、クラスは大いに盛り上がった

照れながらも、うれしそうな表情を浮かべる生徒たちの姿が印象的。ある参加者が『エヴァ時計』を完成させた時、クラスは大いに盛り上がった

「このプログラムは『作る喜びを味わってもらいたい』ということを大切にしているため、作るモノの難易度は問題ではありません。

子どもたちには、ここでアプリ開発に興味を持ってもらい、次のステップとしてオリジナルゲームの開発やWebデザインなどに挑戦してもらえればなと考えています」

松井氏がこう語るように、子どもたちが本能の赴くまま、”好きなこと・モノを形にする”姿を見ていると、モノづくりの原点はまさに「オリジナリティーを生むことを楽しむ」点にあるということに改めて気付かされる。

「職業」としてアプリ開発を行う多くのオトナなエンジニアたちも、行き詰まったらこの原点に立ち戻ってみることが、思わぬブレークスルーにつながっていくかもしれない。

【告知】 今夏、中学生&高校生のためのITサマーキャンプを開催!

iPhoneアプリ開発・ゲームデザイン・Flashアニメデザインなどを、東京大学、慶應義塾大学SFC、デジタルハリウッド大学の大学キャンパスで3日間~5日間体験するプログラム。中高生のお子さまがいらっしゃる方は、この機会にぜひ参加してみてください!(プログラムは7月28日より随時開催)

取材・文/伊藤健吾(編集部)