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[コラム] LT限定イベント『Genesis Lightning Talks』で分かった「人前で話す」魅力と思わぬ効能

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IT業界には、ほかの業界では見られない独特な習わしが多数ある。ライトニングトーク(以下、LT)もその一つだ。

LTとは、5分程度の短い時間内で、発表者それぞれがある共通のテーマについて語りたい事柄を聴衆に説明していく場のこと。講演と呼ぶほどの難しさもなく、プレゼンテーションほど時間も長くない。たった5分間、1つのテーマを自分なりの切り口で話すだけのことである。ある種、大喜利のような類のものではないかとさえ感じる時がある。

通常はIT勉強会やコミュニティの一コーナーとして設けられることが多いが、毎月約1回、このLTだけを専門に行っている勉強会があるという。その名も、『Genesis Lightning Talks(以下GLT)』。8月26日(金)の開催で実に37回目の開催となる、ライトニングトーカーの登竜門的イベントである。

「話す側」の人11名を含む約30名が、会場のオラクル青山センターに集まった

「話す側」の人11名を含む約30名が、会場のオラクル青山センターに集まった

さまざまなITイベントでLTを行う@kwappa氏や@regtan氏も、このイベントの常連メンバー。

IT勉強会やコミュニティでのLTでは技術的なテーマのLTが多いが、GLTは”発表内容は何でもあり”なのが特徴だ。会の目的が、「異業種間の交流と、ITコミュニティ初心者の入り口となること」だからと、主催のさとうようぞう氏は話す。

Webサービスの開発をしていて感じるのが、
イケてるサービスって、一人で作れないこともないけどけっこう大変
ということ。

かつ、いろんな人がハッピーになれて、楽しいWebサービスを作るには、
エンジニア以外の人たちとも交流することも大切だ
とも感じていたので、
職業を特定せず、何かを作っている人がゆるく、まったりと集まれて、
情報共有も活発にできる場所
としてGLTを立ち上げました

さとう氏のコメントにかぶせて、同コミュニティのコアメンバーの一人でもあるオラクルユニバーシティの甲木洋介(かつき・ようすけ)氏も、次のように話す。

技術的なテーマだとエンジニアしか集まらないから、
技術を知らない人も気軽に来られるイベントがあれば、と思っていました。
だからトーク内容は、あえて"何でもあり"に設定しています

37回目のテーマは、「スーツ」。

スーツを営業担当者に、ギークをエンジニアに見立て、「スーツ vs ギーク」について話す人や、女性にとってのスーツ=”メイド服”と捉え、メイド服について熱く語る人。はたまた、スーツと絡めて(?)自分の関わるITイベントやWebサービスの紹介をちょいちょい織り交ぜる人など、LTを行った11人が11人とも違った切り口で会場を盛り上げた。

たった5分のプレゼンに詰まるエンジニアにとっての旨み

そもそもさとう氏がGLTを始めたのは、彼が勤めていた会社内での有志の勉強会としてLTを行っていたことがきっかけだった。

目的は、LTを通して話を簡潔にまとめるスキルを磨いたり、資料作りのコツをつかんだりすること。それを、社外の人たちとやってみたら面白いんじゃないかと思い、GLTを始めたのだという。

5分間という限られた時間の中で話をまとめなければならないため、さまざまなスキルが身に付くようだ。

それに、これはエンジニア特有のものかも知れませんが、
自分が作ったプロダクトやサービスを使って欲しい・見てもらいたい
という性質が、ほかの職業の人たちよりも強い気がします。
カタチのないものを作っているので、
一般の人にはなかなか理解してもらえないことも多い分、
認知欲求が強いんじゃないかと思います。

その点、LTは自分だけのこだわり
自分ならではの考え方を気軽に、気楽に話せますので、
多くのエンジニアが持っているだろう認知欲求を満たす意味でも、
ぜひ参加をお勧めしたいです

LT上達のためのカギは、熱意を持って臨むこと

このように、自己流のこだわりを強く持つエンジニアほど、趣味や志向、考え方の合う仲間ができるなどといったメリットがあるようだ。

では、千客万来のGLTで数多くのLTを見てきたさとう氏は、どんなLTが「人の興味を惹き付ける」と考えているのだろうか。

基本的に、みなさん工夫を凝らしていて見応えのあるLTばかりなのですが、
たまに残念なLTを見ることがあります(笑)。
それは、LTに気持ちが入っていない人。

例えば、勤め先の上司から「自社の製品をPRしてこい」
と言われてやってきた人は、"やらされてる感"たっぷりなので
聞く側もあまり楽しめません。

逆に、自分の趣味や好きな事に絡めてLTをする人は、
みなさんエッジが立っていて面白いですよね

LTを自己表現の方法として捉えてみると、その人の志向性や趣味などをうかがい知ることができる点において、非常に興味深い。

グループではなく、個人の趣味や視点を純度100%で伝えることで、受け手に伝わるパワーも大きなものになるのだろう。

最後に、「自分もLTに挑戦してみようかな」と考える読者に向けて、さとう氏からLT上達のコツを伝授してもらった。

LT上達のコツは、熱意を持つこと。
熱意があれば「LT初心者だから」
「人前で話すのは恥ずかしいから」などという気持ちよりも
「話したい・伝えたい」という思いが先にくるはずです。
そこで思い切って「自分」を表現すれば良いと思います。

最初のうちは【最初に言いたいことを持ってくる】
【最も伝えたい事を何回も言う】というポイントを押さえれば、
言いたいことは大体伝わります。

慣れてきたら【イラストや写真を多用する】というのに
挑戦してみましょう。
絵で伝えることで、文字だけのスライドよりも
ぐっと印象深いプレゼンになります。
熱意を持って、言いたいことを何回も言ってしまえば、
会場も盛り上がってきっと上手くいくでしょう

取材・文/小禄卓也(編集部)