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[特集: 時代を切り拓く新プロダクトを創れ! 2/3] ユーザーに確実に情報を届ける次世代コミュニケーションツール『popinfo』

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◆アイリッジが描く『popinfo』

2009年にリリースされた、配信したい情報をモバイル端末の管理画面に登録するだけで、待ち受け画面や携帯カレンダーにメッセージ(広告)をプッシュ配信する、位置連動型ポップアッププラットフォーム。スマートフォン向けにはAndroid版がリリースされ、iOS向けもリリース間近。パルコ浦和店に導入するなど、現在サービスを拡大している。

「わたしたちが『popinfo』を説明する際によく申し上げるのは、これは『ポストメルマガ』時代のコミュニケーションツールということなんです」

こう話すのは、『popinfo』の開発・提供を手掛けるアイリッジ代表の小田健太郎氏だ。

「『popinfo』はメールとは違い、モバイル端末の待ち受け画面上にメッセージがポップアップ表示されるサービスです。そのため利用者の着信認識率は非常に高く、CTR(クリック率)においても平均20~30%と、メルマガのCTRとは比較にならないほど高い水準になっています。それが、『popinfo』がポストメルマガを標榜する理由です」

ネットでの商品購入や会員登録をするたび新たなメルマガが送られてくるが、開かずにそのままゴミ箱に捨ててしまう経験は誰にでもあるはずだ。実際、メルマガ1通あたりのCTRが1%未満ということもそれほど珍しくはない時代である。そんな時代の変化に対応するために生まれたコミュニケーションツールが『popinfo』というわけだ。

「ただし『popinfo』の特長は、モバイル端末に情報を発信できることにあるわけではなく、位置情報技術と組み合わせたサービスが提供できる点にあるんです」

位置情報×ポップアップで、その場その時に必要な情報を提供

「圧倒的な認知度と的確な情報提供力によって、お客さまからも好評をいただいています」代表取締役社長 小田

「着信認識率の高さと的確な情報提供力が、お客さまからも好評です」代表取締役社長 小田健太郎氏

小田氏が言う、モバイル端末にメッセージをポップアップ表示する技術と位置情報技術を組み合わせると、こんなことが可能になる。利用イメージはこうだ。

「『popinfo』をインストールしたユーザーが配信エリアに足を踏み入れると、近くにあるサービスを提供中の大型商業施設からお買い得情報や催事情報が端末に送られ、画面上にポップアップ表示されます。これに反応したユーザーが来店すると、フロアや店舗、棚ごとに異なる商品情報やオススメ情報が、必要に応じてユーザーの端末に提供され購買意欲をさらに刺激する……といった具合に、集客から購買までをフォローすることができるんです」

つまり、集客にはGPSによる位置情報を活用、さらに店舗内などの限られたエリアでは、wi-fiを使ってよりセグメントされたメッセージを送ることで、ユーザーの購買意欲を後押しする仕掛けだ。配信範囲も50mから10kmまで自由に設定可能で、大型商業施設のほか、ショップ、飲食店やイベント会場などでの使用を想定している。

「完全な同業者がいないこともあってか、すでに大手を筆頭に100社あまりのお客さまにお取引いただいております」

ユーザーに合わせて、One&Onlyなプラットフォームを構築

ユーザーは『popinfo for Android』か、各企業向けにカスタマイズした『popinfo』を自分の好みに合わせてダウンロードするだけで、サービスの提供が受けられる。

また、企業側へのサービス提供の形態としては『popinfo for Android』を利用したアプリケーションテンプレートの提供のほか、既存アプリへの『popinfo』機能の追加、またクライアント別にオリジナルアプリ開発などもアイリッジが行う。

中でも、すでに開発済みのオリジナルアプリの利用率向上のため、『popinfo』機能を付加したいというクライアントからの引き合いが強いという。

「すでに浦和パルコさんには『popinfo』機能を追加したAndroid版のオリジナルアプリ『パルコロイド』を提供してご活用していただいています。さらに年内にもiPhone版のほか、各企業さま向けにカスタマイズされたアプリが順次リリースされる予定です」

これまでは、どちらかというと『popinfo』のコアとなるメッセージ配信プラットフォームや、情報を発信する側が使用する配信管理機能のブラッシュアップに力を注いでいたが、今後は並行して「対応アプリの使い勝手やユーザビリティ向上に重きを置いて開発にあたるフェーズに入っている」という小田氏。

そのためアプリ側、サーバ側の開発を担当する6名のエンジニアは常にフル稼働で開発にあたっている。

「クライアントから寄せられる拡張開発のほかにも、次世代の『popinfo』を作るための動きも並行して行わなければなりません。今後必要になると予想しているのは『この属性のユーザーにはこういう内容でこういうメッセージの出し方をすれば興味を惹くことができる』というような、精度の高いマッチングモデルを構築し、システムに実装することだと考えています」

精度の高い行動分析のカギは、自然言語処理などの数学的知識

同社の取締役であり、最高技術責任者である川﨑康弘氏は『popinfo』の将来に向けた開発の課題についてこう説明する。

好きな本は、『フェルマーの小定理』という川崎氏。アカデミックな分野に興味がある人と一緒に働きたいと話す

好きな定理は、「フェルマーの小定理」という川崎氏。アカデミックな分野に興味がある人と一緒に働きたいと話す

「画面上にメッセージがポップアップされるというのは、非常に強力なサービスである反面、適切かつ有益な情報が送られなければ、ユーザーに嫌われてしまう可能性もはらんでいます。ユーザーの行動解析が進んで情報配信のマッチングモデルが構築できれば、そういったミスマッチも避けられますし、履歴がない新規ユーザーにも精度の高いメッセージを送ることが可能になるでしょう」

そのために克服しなければならない課題とは、いったい何か。

「まずは、開発者の増員ですね。テキストマイニングやデータマイニング、レコメンドエンジン、自然言語処理といった分野のノウハウを持つ開発者の存在がいっそう重要になると考えています。一筋縄ではいかないチューニング作業が待ち構えているでしょう。もちろんチューニングのエキスパートであれば言うことありませんが、最低限数学的な事象に興味を持って取り組める仲間を増やしたいところですね」(川﨑氏)

「今後はクライアントからの要望に応えるだけでなく、『popinfo』を使った新しいコンシューマー向けのサービスの立ち上げも検討中です。そのために、来年の今ごろには開発者を倍増させたいと考えています」(小田氏)

位置連動技術とモバイル端末へのポップアップ表示技術のマッシュアップで新たな市場を開拓するアイリッジ。ミッション完遂に向け、すでに動き始めているようだ。

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