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[コラム] 知的好奇心を刺激する『schoo WEB-campus』でエンジニアが身に付けたい、「リミッターを外す右脳思考力」

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2012年のIT業界で注目の分野として「教育」を挙げる識者も多い昨今、2012年1月12日(木)に彼らの予測を裏付けるような学校がWeb上で開校した。それが、株式会社スクー代表の森健志郎氏が運営する『schoo WEB-campus(以下 schoo)』である。

「まだまだ学びたい」という20代のビジネスパーソンは少なくない。そんな人たちでも、気軽にWeb上で授業を受けられるのが、schooだ。

「まだまだ学びたい」という20代のビジネスパーソンも、気軽にWeb上で授業を受けられるのがschooだ

schooとは、「ずっと学び続けるお手伝い」をコンセプトに作られた、社会人をメインターゲットにした学校(サービス)だ。そこには、入学試験も、年齢制限も、卒業もない。入学はもちろん無料だ。

それでいて授業を担当する先生たちは、『nanapi』を運営するロケットスタート代表・古川健介氏、カヤック代表・柳澤大輔氏とオモコロを運営するバーグハンバーグバーグ代表・シモダテツヤ氏、ハイパーインターネッツ代表・家入一真氏、ブックコーディネーターでありnumabooks代表の内沼晋太郎氏と、非常に豪華な顔ぶれだ。

僕がschooの原型を思いついたのは、昨年の3月ころでした。
寝て起きたら思いついた、と言うと大げさですが、
『社会人になっても、興味のあることをずっと
 学び続けられる学校がWeb上にあったら良いな』
ということをふと思ったんです。
現在、社員は森氏一人だが、編集スタッフ、フロントエンド・バックエンドの各エンジニアが有志で彼をサポートしている

現在、社員は森氏一人だが、編集スタッフ、フロントエンド・バックエンドの各エンジニアが有志で彼をサポート

schoo開講のきっかけを、そんな風に語る森氏。

「自分は思いついたらすぐ行動してしまう性格。完全に右脳タイプの人間だと思います。」と話すように、生まれたばかりのアイデアをその日のうちに当時の上司に話すと、「ぜひやってみるべきだ」と背中を押されたそうだ。

そこから半年ほど経った昨年10月、株式会社スクーを創業することになる。

ちょうどそのころに、『ハーバード白熱教室』を観たんです。
その時に、わたしの心に強く残る何かがありました。
Facebookやアプリを1時間触っても得られない、
体験後の余韻は心に残るものでした。
そこで思ったのは、
「楽しく学ぶということが究極の娯楽なんじゃないか」ということ。
僕たちはWeb上のソーシャルな場で
ハーバード白熱教室のような学校を作ろうと思い、
立ち上げたのがschooです。

Webと生中継を軸に右脳思考力を磨く

ホワイトボードデスクに図を描きながら、schooの構想を話す森氏

ホワイトボードデスクに図を描きながら、schooの構想を話す森氏

schooの授業はリアルな場でも受講できるが、森氏が主軸に置くのはあくまで「Web」と「生中継」だ。例えば、生中継の授業終了後に「先生」から課題が出され、感想をFacebookアカウントと連動したマイページに残す。

さまざまな地域や職業、年齢の生徒の参加を想定しているため、一つの課題に対して「エンジニアはこう思っているけど、営業職の人はこういう考えているんだ」といった価値観の違いにも触れられる。

現在開講を予定している授業のテーマも、意見交換を活発にするために、あえて「明確な答えがないもの」を多く用意している。そしてそれは、エンジニアにとっても重要な授業になるはずと森氏は話す。

今のエンジニアは、技術力はもちろんのこと、
プラスαの力が求められるのではないでしょうか。
schooで学べるプラスαの力とは、
抽象的ですが『アイデアを思いつく』などの右脳思考力、
そして、『そのアイデアをカタチにする』といった
左脳的な思考力の2つがあります。
そして、そのバランスが重要だと考えます。

エンジニアの方の多くは良くも悪くもロジカルで、
そのロジックに縛られて、自分の中でリミッターを
かけてしまう人が多い印象があります。
だから、明確な答えがないテーマについて考えたり、
エンジニア以外の職業の人たちと意見交換をしたりしながら
右脳思考力を磨いてもらいたい。
schooの授業を通して、右脳(思いつく力)と
左脳(作る力)のバランスが良いエンジニアを
目指してもらいたいです。

右脳思考力の磨くコツは「質より量」

先生を選定する基準も、森氏の中で「右脳と左脳のバランスが高い」と感じる人を選んでいるという。開講初日となった1月12日の授業で、「ビジネスアイデアとは何か」についての授業を受け持ったロケットスタート古川氏もその一人。 
 

「右脳的思考力が重要だということについては、森さんとまったく同意見。わたしも、論理的に説明できないけど何かスゴいと思わされるようなところに価値があると思っています」(古川氏)

開講初日ということもあって独特な緊張感が漂う中、古川氏は少しでもその雰囲気を和らげようと、生徒たちの質問に、一つ一つ丁寧に分かりやすく答えていた

開講初日の独特な緊張感が漂う中、古川氏は少しでもその雰囲気を和らげようと、生徒たちの質問に、一つ一つ丁寧に分かりやすく答えていた

例えば、『pixiv』や『iQON』といった日本発の海外で流行っているサービスは、爆発的に人気がある理由を論理的に説明し切れない文化的コンテンツだ。

頭で考えて作ったものはすぐにマネされてしまうものが多いが、海外の人にとって日本的な文化的コンテンツを頭で考えて作ることは難しい。
 
「イケてるエンジニア起業家ほど右脳思考力を備えている」と話す古川氏だが、この力を身につけるにはどんな方法があるのだろうか。
 
「昔、2ちゃんねるを開発したひろゆきさんに、あるアイデアを提案したら、ボロクソに言われたことがあります(笑)。その時に言われたのが、量が質を作る、ということ。1本の質を重視したアイデアよりも、1000本の大量のアイデアを出した方が強いのです。その場合、ほとんどがイケてないんですけど、その中の1~2本は光るものがあるはずです」(古川氏)

とにかく考える訓練をする。それを積み重ねた結果として、右脳思考力が養われるのだ。

その訓練の場として生まれたschoo。注目度の高さから、初日はアクセス集中によりサイトにつながりにくいなどの課題も見えたが、それも期待の表れ。また、授業後の現地ディスカッションにおける生徒たちの質問も明確な答えを出しにくいものが多く、考える訓練の場としては非常に有益だろう。一度は現地に赴き、授業の雰囲気を感じてみるのも良いかもしれない。
 
ただし、一クラス15人という少人数制ゆえ、現地受講に参加できる倍率はB’zのコンサート級の高さらしいが……。

取材・文・撮影/小禄卓也(編集部)