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[連載:法林浩之②] 『TechLION』で出会った人々との交流から見えた「トップエンジニア 3つの共通点」

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ITイベンター・法林浩之のトップエンジニア交遊録

日本UNIXユーザ会 幹事・フリーランスエンジニア
法林浩之(ほうりん・ひろゆき)

大阪大学大学院修士課程修了後、1992年、ソニーに入社。社内ネットワークの管理などを担当。同時に、日本UNIXユーザ会の中心メンバーとして勉強会・イベントの運営に携わった。ソニー退社後、インターネット総合研究所を経て、2008年に独立。現在は、フリーランスエンジニアとしての活動と並行して、多彩なITイベントの企画・運営も行っている。

僕は現在、さまざまなITイベントに携わっています。その一つである『TechLION』では、企画・出演者選び・本番でのMCなどを担当。言ってみれば、会場を押さえて外部の参戦レスラーと交渉し、当日はリングづくりから試合までを行う、自主興業を打つプロレスラーみたいなことをやっています。

『TechLION』の会場は、アンダーグラウンドな雰囲気漂う新宿のライブハウス、『Naked Loft』で行われている

『TechLION』の会場は、アンダーグラウンドな雰囲気漂う新宿のライブハウス、『Naked Loft』で行われている

『TechLION』の出演者は、毎回5~6人ほど。出演者を決めるときは、いくつか心がけていることがあります。

まずは、いろいろなジャンルの人に出てもらうことです。一口にITエンジニアと言っても、中身は幅広い。どうせなら、バラエティ豊かな人たちに登場してもらう方が、見ている方も楽しいし、新しい発見があると思うんですよ。そこで、「正統派レスラー」的なエンジニアだけでなく、ハードコアやルチャリブレ的な方もブッキングします。また、僕以外の人にも1~2人は選んでもらい、偏りのない人選を目指しています。

「会話ができること」も、出演者に求める条件の一つ。トークライブって、当然ながら「ライブ」なんですよ。会場の空気や、出演者同士のやりとり次第で、生き物のように変化していきます。だから、技術には詳しいけど、自分の話したいことを話したらそれでおしまいという人は厳しいかな。逆に、きちんと受け答えができる人なら、司会役の僕としては話を広げやすいですね。お互いに質問を投げかけているうちに、思いもよらないところからめちゃめちゃ面白い話が出てきて、盛り上がるケースもよくあります。

キーワードは、「積極的な情報発信」「キャラクター」「会話を楽しむ」

『TechLION』ではこれまで、たくさんのトップエンジニアと出会ってきました。振り返ってみると、彼らには3つの共通点があったように感じます。

【 その1 】情報発信に対して積極的

9月22日(木)に開催された、第3回『TechLION』のゲスト、サイボウズラボの竹迫良範氏。同氏もイベント運営に携わるなど、積極的に情報発信を行う

第3回『TechLION』のゲストは、サイボウズラボの竹迫良範氏(写真左)。同氏もイベントの運営など、積極的に情報発信を行う

優れたエンジニアのほとんどは、何らかの形で情報発信をしています。今はネットメディアが普及しているので、ブログやツイッターなどを使っている人が多いかな。また、リアルなイベントに積極的に出演する人もいますね。

エンジニアにとって、イベントでしゃべったりネットに書いたりすることは大事だと思います。人前で間違ったことを言うのは嫌だから、いろいろ調べ物をしたりして技術が磨かれます。また、ほかの人から違う視点の意見をもらえるため、刺激も新しい発見も得られるんです。何より、せっかくの知識が埋もれてしまうのはもったいないじゃないですか。エンジニアの皆さんには、積極的に発信をして、存在をアピールしてもらいたいですね。

ところで、ネットなどオープンな場で発言するときに気を付けて欲しいのが、自分の名前をきちんと出すことです。何も、実名を出さなきゃいけない訳じゃありません。リングネームだって良いんです。とにかく、ほかの人と区別できる名前を名乗り、自分をブランディングすることが大切です。

そういう意味では、ツイッターなどのIDだけをそのままリングネームにするのは、あまりお勧めしません。将来、別のメディアが流行したときに、同じIDが取れるとは限りませんから。実名でもリングネームでも良いから、メディアに依存しない名前を、ずっと使い続ける方が良いと思います。

【 その2 】人に覚えてもらえる特徴がある

イベントに登場していただいた方の中には、すぐに覚えられる特徴を持つ人が多かったと思います。例えば、日本Rubyの会の高橋征義さんなどは、プレゼンテーション方法の「高橋メソッド」の創始者としてあまりに有名ですよね。

法林氏は、ITイベントを

法林氏は、ITイベントを”興行”、技術者とのトークセッションを”試合”と言ってしまうほどのプロレス好き

技術的に強みがあれば、それを打ち出してほかの人に覚えてもらうのが一番良いでしょう。「○○というソフトを作った××さん」などのようにほかの人に覚えてもらえれば、それは理想的ですね。

また、技術以外の特徴で覚えてもらっても良いと思うんですよ。例えば僕の場合、「プロレス好き」として認識されているケースが実に多い(笑)。でも、それで構わないんです。例えば、イベントで一度会った人と別の場所で再会したとき、「ああ、あのプロレス好きの法林さんか」とすぐに思い出してもらえる。これは大きいですよ。

ただし、自分を印象づけようとして無理なキャラ付けをしちゃうのはダメです。プロレスにまったく思い入れがないのに「プロレス好き」として売り込んでも、挫折するに決まっています(笑)。自分に合ったキャラを探すべきです。

【 その3 】会話を楽しむことができる

イベントのMCとして出演者と掛け合いをすると、「優秀なエンジニアほど、しっかりと会話ができるなあ」とよく感じます。そうした人は、懇親会などでも積極的にほかの人に話しかけ、楽しみながら知識を吸収しているケースが多いようです。

エンジニアの仕事は、顧客の要望をプログラムなどの形で実現することです。当然、顧客が何を求めているのかを正確に聞き取らなければなりませんし、こちらからの提案も、相手にしっかりと伝えなければなりません。技術力だけじゃだめ。コミュニケーションスキルを磨くことが、エンジニアには絶対に必要なんです。

こうしたスキルが必要なのは、何もITの世界に限った話ではないと思います。例えばプロレスでも、わたし自身がやっているわけではないので偉そうなことは言えませんが、力が強かったり技術レベルが高いというだけで人気レスラーになれるわけではありません。

対戦相手の持ち技や良いところを引き出し、さらに観客が何を見たがっているかを肌で感じながら試合を進めていけるのが一流のレスラーで、こうした能力は一種のコミュニケーションスキルと言えるでしょう。相手とかみ合う試合がなかなかできなかった新日(本プロレス)時代から、他団体を渡り歩くことで相手レスラーの魅力を引き出せる試合ができるようになった佐々木健介選手が良い例だと思います。

良いコミュニケーションを取るために自分が心がけているのは、まず相手の話を聞くことです。そして、その話の中から本質というか、相手が何を訴えたいのかというポイントをつかんだり、逆にこちらが聞きたいポイントを探していき、会話を深めていきます。プロレスでは相手の技をわざと受ける、プロレス用語では「受けの美学」という言葉がありますが、あれと似たようなものかなぁと思っています。

また、コミュニケーション能力を磨く場として、懇親会が活用できます。技術を追究した勉強会が多い反面、懇親会では、技術的な話以外にもほかの人の考えや知識に触れられる。勉強会と懇親会という2つの異なるシチュエーションで会話を楽しみ、総合力の高いエンジニアを目指して欲しいですね。

「情報発信に積極的」「特徴がある」「会話を楽しめる」の3つは、僕が感じ取った、優秀なエンジニアの共通点です。逆に言えば、これらを身につければ、優秀なエンジニアに一歩近づけるのかもしれません。あなたも明日から、これらを意識してみてはいかがでしょうか。

撮影/小禄卓也(編集部)

<法林氏も運営に携わる、近日開催予定のITイベント>


関西オープンソース+関西コミュニティ大決戦(KOF)
開催日:11/11-12(金-土)
場所:@大阪南港ATC ITM棟 10F
※前日の10日(木)には、『Tech LION vol.4』を関西で開催予定!

【 関西オープンフォーラムとは? 】
「オープンソースならびに、コミュニティが元気に交流できる場を関西でも作ろう」
という目的のもとに集った有志により、2002年に活動を開始したコミュニティです!

Internet Week ~とびらの向こうに~
開催日:11/30-12/2(水-金)
場所:@富士ソフトアキバプラザ