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[対談:家入一真×鶴田浩之④] 愛されるWebサービスを創るには、「何をやるか」より「面白がってやる」ことの方がずっと大切

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鶴田 そうですよね。繰り返しになっちゃいますが、やっぱり何かモノを作って、誰かに反応してもらうのって、純粋に楽しいですから。僕のサービスづくりのテーマは、「日常のライフスタイルの中で楽しんでもらえるもの」を作ることなので、楽しみながら膨らませることが不可欠なんです。

―― なるほど、それが鶴田さんのものづくりポリシーなんですね。家入さんのポリシーは何なんですか?

家入 前の対談の時に鶴田くんが指摘してくれた通りですよ。人を応援する場を作っていく。クリエイティブな人たちが創造性を存分に発揮できるような場を創造していく。それが僕のポリシー。だから、Web系サービスもやれば、カフェ事業や投資事業もやる、みたいな感じになっているんだと思います。

――家入さんがそうやっていろんなサービスを生み出していく”発想の泉”はどこにあるんですか? エンジニアのみならず、一般的なビジネスパーソンは、どうしても日々の業務に拘泥して新しいアイデアが浮かんでこないものですが……。

家入 ん~、難しい質問ですね……。(しばらく沈黙があった上で)僕の場合、ただ右脳で考えることが好きなだけだと思うんですよ。マジメにロジカルに考えているだけだと、耐えられなくなってくる。

鶴田 例えば?

家入 マジメな会合や、真剣に何かを決めなきゃならないミーティングなど、笑っちゃいけないような場面ってあるじゃん。そんな時に限って、「こんなことやったら面白いよな」なんてアイデアがどんどん浮かんでくる。

鶴田 家入さんらしいですね(笑)。

家入 さっき話した「退屈な時間」にもつながる話だけど、そもそも僕、あまのじゃくだから(笑)。マジメにやらなきゃならないシチュエーションでマジメにやるのが苦痛なの。

一同 爆笑

作り手として「一面的ではない」ことの重要性

家入氏らが立ち上げた『CAMPFIRE』も、新しい発想を引き出す「すごいサービス」の一つになりつつある

家入氏らが立ち上げた『CAMPFIRE』も、多くの人の発想を掻き立てる「すげーサービス」の一つになりつつある

家入 あとは、「すげー」と思うものに触れると、それが”発想の泉”になってどんどんアイデアが膨らんでいくかもしれない。『CAMPFIRE』を作った時(※)はこっちのパターンだったね。

(※『CAMPFIRE』誕生の経緯は[対談:家入一真×鶴田浩之①]にて)

鶴田 いろんな人に会うのも、ある意味「その考え方すごいな」っていうのを探しにいっているようなところがありませんか?

家入 うん、そうだよね。僕はサービスのネーミングにはすごくこだわるタイプなんだけど、以前、往年のディスコクラブ『ベルファーレ』の語源を教えてもらった時なんかは、そこからどんどん発想が膨らんでいったね。

鶴田 どんな語源だったんですか?

家入 確か、とにかく高級そうなものの名前をつなげただけのネーミングで……(少し間を置いて)あ、そうそう。『ベルサーチ』と『フェラーリ』と『アルマーニ』をマッシュアップして『ベルファーレ』って店名にしたらしくて。初めて聞いた当時は、何かすげーな、僕も負けてられねーなって感銘を受けたんだよね。

―― 異なるものをつなげてみると新しい発想が生まれるというのは、サービス創造の定石ですよね。

鶴田 異なるものをつなげるというのに近い感覚で言うと、僕は日々ギャップがある状態になるようにけっこう意識して行動しています。まじめな仕事とお遊び企画を両方真剣にやるというか。

家入 ギャップはアイデアを膨らませていくときにすごく大事な要素だと思う。純粋に、ギャップがある人の方がカッコイイしね(笑)。話をまとめると、作り手として「一面的じゃない」というのが、面白いサービスを作る上ですごく大切なことかもしれない。

鶴田 なるほど。

家入 僕なんか、自分で「こんな引きこもり体質の悪ふざけ人間が、よく社長業なんてやれてんな」といつも思っているから。

鶴田 でも、そこが家入さんらしさというか、ほかの人とは違う突き抜けた魅力なんですよ、僕たちからすれば。

本当のアイデアメーカーが自然と作るグッドサイクルとは?

―― では最後に、読者であるエンジニア向けて、どうすればアイデアメーカーになれのるかをお2方からアドバイスしていただければ。

家入 うーん、それも難しい質問だなぁ……。でもまぁ、やっぱり「まずは作ってみる」ことが何より大事なんじゃないかな。

鶴田 僕はまだ20年くらいしか生きていないので偉そうなことを言える立場じゃないですが、先日、たまたまお会いしたITエンジニアの方でとっても魅力的な方がいて。その方が、「オレは世界で最高の”ネジ屋”を目指す!」とおっしゃっていたんですね。要は、自分は技術一本で生きていくと。その時に感じたのが、人はみんな違った志向や目指すところがあって、それぞれが「心地良い」と思える状態で仕事をしていくのが一番幸せなんじゃないかと。

―― どこかで突き抜けたこだわりを持つことこそ大切、ということでしょうか?

鶴田 はい。だから、「自分はサービス企画には向いていない」と思うエンジニアの方は、それを卑下する必要もないんじゃないかと。技術知識の豊富さや開発経験など、ある一点で突き抜けることができれば、自分にはない才能を持っている人たちとコラボレートしていくことで、良いサービスを生み出すことができますし。

「何かを心から楽しんでいる人の周りには、面白い発想を持った人が集まってくるもの」(家入氏)

「何かを心から楽しんでいる人の周りには、面白い発想を持った人が集まってくるもの」(家入氏)

家入 その人が一番楽しいと思える仕事の仕方をするってことが、良いものを生む第一歩かもしれないね。僕も、仕事で行き詰っている人を見ると、常々「肩の力を抜いてまずやっちゃおうぜ」と言っている気がする。自分に言い聞かせる意味も兼ねてね。

鶴田 どんな仕事をしている人だろうと、それを楽しんでいる人はきっと面白いアイデアを持つでしょうし、人のアイデアにも独特の反応をすると思うんです。

家入 うんうん、分かる分かる。

鶴田 僕が立ち上げたLabit Inc.のメンバーは、皆が企画者を自認していて、コードも書けて、デザインもできる。その上で、皆が皆、違う楽しみ方の基準を持っているから、仮に何かを作る時に意見が分かれても、それがまた面白かったりするんです。

家入 きっと、何かを楽しそうにやっている奴は、自然と面白い奴を惹きつけるものなんだよね。

鶴田 ”最高のネジ屋”を目指して奮闘されていたエンジニアの方に僕が感じた魅力も、そこにあったんだと思います。

家入 だから、「何をしている人か」ってことよりも、「面白がってやってる人かどうか」の方がずっと大事。そういう人は、別のことを面白がってやってる人と自然につながっていって、そこでまた新しいサービスを生むきっかけを得るんだよ。そういうグッドサイクルを作れる奴が、本当の「アイデアメーカー」なんじゃないかと思いますよ。

―― シンプルですがとても深いお話ですね。本日はどうもありがとうございました。

取材・文/森川直樹 撮影/小林 正

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≪家入氏×鶴田氏 対談第1弾の記事はコチラ≫

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