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[連載:後藤和弥①] IT系求人はいよいよ全体的に復調モード突入! Web系求人が引き続き牽引しています

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転職支援のプロ・後藤和弥の求人マーケット予測
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株式会社キャリアデザインセンター  人材紹介事業部  シニアキャリアアドバイザー
後藤和弥

エンジニアを中心とした幅広い業種・職種の転職希望者のサポートを行っている、『typeの人材紹介』の看板キャリアアドバイザー。求人情報誌営業、人事、大手人材派遣会社の各地支店長を経て現職へ。ITコンサルティング、SI、ベンダー、インターネット・モバイル業界の求人動向に詳しい。趣味はサッカー戦術論、ジャズDJ、クルマ、映画等、多趣味である

今、ITエンジニア求人の中で大きなシェアを占めているのが、Web/モバイルサービス(SNS、EC、SaaSなど)関連職種の求人です。また、クラウドサービスが本格化したことで、”X”aaS関連のBtoBアプリ開発、IDCを中心としたインフラ系職種も復権してきています。

この状況、実は1年以上前から顕著であり、さらにずっと伸び続けています。求人動向にアンテナの高い人にとっては、おそらく驚くべき話題ではないでしょう。ただ注目すべきは、今年に入ってからさらにこの傾向が加速しており、さらに(!) リーマン・ショック以降振るわなかったSI・ITコンサル系の求人も本格回復してきたということ。

今後の動向を先読みする前に、まずはその背景について説明しましょう。

求人が増え続けているWeb系企業。構造変革中のSIer

ここのところITエンジニア求人を牽引してきた、自社でWeb/モバイルサービスを持っている企業。その大多数は、短期間でヒットコンテンツを開発し、通信キャリアとほぼ同等の会員数に対しプロモーション、何百億というPVをたたき出すというサイクルで動いています。企画から運用まで一気に行うため、それに伴うアプリ開発/DB/インフラといった新しいエンジニアの職種が幅広く出現しているのです。

さらにAndroid/iPhoneといったスマートフォン、タブレット端末といったニューデバイスへの対応がIT業界の新たな戦場となっており、フロント言語が注目されています。もはや定番であるLAMP求人に加え、UI・UXなどの求人案件の幅はまだまだ広がりそうです。

また、クラウドコンピューティングが浸透してきたことで、BtoB向けのサービスも変化しつつあります。以前であれば自前のシステム開発やインフラ整備用に莫大な開発費・維持費が必要だったのが、今ではその一部を課金型のSaaSやASPを利用することで、必要量に応じた最低限の投資で済むようになったのです。

クラウド浸透の背景には、各ベンダー製品の驚くぺき高性能化や、仮想化技術関連製品の標準装備化が進んだことがあります。各トップベンダーを中心に、クラウド化を積極的な商機として販売戦略の核に据え、バンバン営業をかけていたことも、そんな変化を後押ししたと言えるでしょう。

新しいもの(サービス)を買い(使い)、運用/ランニングコストを減らすというメリットで売り込むわけですが、まるでプリウスやエコポイント家電的な「買い替えてランニングコスト減」手法で、面白いなあ、と思っています。

対照的に、案件数を減らしているのが、それまで企業へシステムを納入することで成長していたSIer。売り上げだけを見れば、大手SIはまだ比較的堅調な状態を保っているように見えますが、実情はそれまで下請けに外注していた案件を自社でこなし、案件数減をしのいでいるに過ぎません。

新しい開発方法の導入やWeb開発、フレームワークが中心となったことで短納期化が進み、業界標準だったウォーターフォール型での下請発注による開発は、もはや業界標準とはいえなくなっているのです。

以前の技術力と今の技術力は、キャリアが”ガラパゴス化”する

キャリアアドバイザーとしてエンジニアの方たちと接していて感じるのは、こうした世の中の動きと求職者の意識にズレがあることです。

自分のキャリアに不安を持つと、スキルアップすることで人材価値を高めようとする人は多いと思います。確かに、大規模案件の経験や業務知識、ベンダー資格を持っていることが、転職の大きな強みになった時代もありました。しかし、今エンジニアの求人を多く出しているBtoC/Web系企業は、そういった技術力ばかりを求めていません。

ソーシャルサービスやゲームアプリなどは、何も技術的に革新的なわけではなく、必要なのはむしろ、次々とコンシューマーに受けるプランを考え出せる企画力や発想力ともいえます。

業務系SEとして高い専門性と技術力を持っている人ほど、かえってスキルが一本化されてしまい、キャリアが”ガラパゴス化”してしまいやすいと言えます。社内で評価されるスペシャリティーを持つことは大切ですが、同じ評価を社外からも受けるとは限りません。専門分野を特定してしまうのは諸刃の剣になりかねない。そのことを意識し、俯瞰視点で世の中の動向をチェックしておきたいですね。

今の時流に即して言えば、Web関連の技術や言語を習得しておけば間違いありません。

では今後、どんな分野の求人が増えるのか?  わたしは、いよいよIT関連職種の求人が全体的に本格復活すると見ています。例えばつい最近も、通常よりも高いコストをかけてでもサーバやDBエンジニアを採用したいという要望を、某大手Web系企業さまから頂きました。

Web・スマートフォン向けのアプリ開発が盛んになるに従って、サーバの負担が大きくなるため、多くの企業がこれまで以上にインフラの構築にリソースを投入しつつあります。そこで、クラウドなど新しい仮想化技術を駆使し、サーバの設計・構築・運用ができるエンジニアが必要とされているのです。

ほぼOSS中心、一部がWindowsですが、このようなインフラ増強の裏にはBtoCの拡大だけでなく、BtoBのシステムリプレースや企業のクラウド導入が加速してきているのを垣間見ることができます。

LAMP系、サーバ/DB系だけでなく、Web系ITエンジニアであれば、しばらくは求人情報からは目を離せなくなりそうです。