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カメラ、家計簿etc…「激戦区ジャンル」のアプリ人気TOP5と、勝ち残りの特徴【Androidスマホ総研】

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エンジニアtype×App Ape共同企画「Androidスマホ総研」
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連載概要

激しい競争が繰り広げられる群雄割拠のスマホアプリ市場で、エンジニアやプロデューサーが勝ち残るためのノウハウをお届けする連載。FULLER株式会社が提供するおよそ10数万にのぼるAndroidOS搭載の端末管理アプリ利用者の利用状況をレポーティングするサービス『App Ape』で得られた調査結果から、アプリの企画・開発に役立つノウハウを抽出、提供していく

FULLERが提供しているおよそ10数万にのぼるスマホ端末管理アプリ利用者の利用状況を、レポーティング形式でまとめて提供していく『App Ape』との共同企画。

■ 『App Ape』のサービス紹介はコチラ

第4回は、数あるアプリのジャンルの中でも、ユーザーが多く存在し、そのためアプリ開発者が集中していると思われる「激戦区ジャンル」で勝ち残るアプリにフォーカスする。

「ジャンル」とは、Google Playで分類される「カテゴリ」を、ユーザーの利用シーンに応じてさらに細分化し、独自に定義・分類したもの。例えば、カテゴリが「仕事効率化」なら、ジャンルは「メモ帳」、「ストレージ」、「アプリ・タスク管理」などが、これに該当する。

今回はApp Apeの調査から、ユーザー数の大きさを表す「所持率」を基準に(所持率0.5%以上のアプリが、ほかのジャンルに比べて多く所属)、「カメラ」、「家計簿」、「手帳・カレンダー」、「写真・動画編集」の4つをピックアップ。

それぞれのジャンルにおける人気アプリのランキングを紹介しつつ、特筆すべきアプリについてはApp Apeによる勝因分析を加えてもらった(なお、分析結果には端末にプリインストールされていると思われるアプリは含んでいない)。

“レッドオーシャン”ながら既存の人気アプリと差別化を図り挑もうとする野心的な開発者には、ぜひ今回の分析結果を参考にしていただきたい。

目を大きく、口角は上げて… 女性の願望を叶える「整形アプリ」が人気

「カメラ」はおそらく多くのスマホユーザーがプリインストールのアプリとは別に、自分の好みのものをインストールしていると思われるほど、激戦区の代表格のようなジャンル。画像を加工するフィルターの種類が豊富なものや、ペンやスタンプでデコレーションできるものなど、そのバリエーションも豊富だ。

このジャンルで所持率首位に輝いたのが『LINE camera』(25.44%)。Androidスマホユーザーの4人に1人がインストールしていることになるが、その所持率の伸びもほかのアプリに比べ健在だ(前月比1.53%増)。

App Apeの調査で、Androidスマホユーザーの4人に1人がインストールしているという『LINE camera』

運営するLINE株式会社は、累計ダウンロード数が5000万を突破したと9月に発表。LINEキャラクタースタンプによる加工、100種類以上のフレーム、30種類以上のフィルター、200種類以上のブラシなど、多彩な装飾アイテムが日本だけでなく海外でも受け入れられている。

2位、3位はシャッター音がしないカメラで、2位『無音カメラ(サイレントシャッター)』(21.28%)、3位『[高画質]良い無音カメラ』(4.67%)。4位は、『サイメラ (Cymera) – カメラ & 写真の効果』(4.21%)。5位は、以前エンジニアtypeでも取り上げた『FxCamera』(3.64%)だった。ちなみに、『Instagram』は6位にランクイン。

今回は、これまで本誌でもご紹介したことのなかった『サイメラ (Cymera)』を取り上げる。このカメラアプリは人物撮影に特化しており、Google Playでも自ら“ビックリするほどの整形効果”を謳っている。

手ブレ、タイマー、セルフ、アウトフォーカシングなどの機能が付いたハイスペックカメラ。そして自動顔認識で目や口、鼻などのパーツをアプリが自動で判別することで、目を大きくする、口角を上げる、ヘアカラーを変える、肌をキレイに見せるなどが簡単に行える特殊効果が特徴。

加工前後ではまるで別人のような仕上がりも可能だ。こうした機能があってか、ユーザーのうち女性の割合が82.9%と大部分を占める。

App Apeの大野氏は、「今回出てきたカメラアプリはMAU率(当該アプリ所持ユーザーの内、1カ月で1回以上起動しているユーザーの割合)が軒並み70%を超えており、必須アプリのジャンルだといえます。MAU率が高いということはそれだけインプレッションがあるため高い広告収益を期待できるということです。しかし、全体的に女性の割合が高いため、これからは男性向けのエッジの効いたアプリが狙い目だと思われます」と今後開発が期待されるアプリを分析する。

人気の家計簿アプリのMAU率は低下傾向、後発参入の余地はまだある

ユーティリティー系の中でも、年代問わず需要があり、かつ機能の高度化による競争が進んでいるのが「家計簿」ジャンルだろう。

このジャンルの所持率上位TOP5は

1位:『かんたん家計簿
2位:『かけ~ぼ
3位:『【ベルメゾン公式】貯まるメモ 無料家計簿、簡単貯金アプリ
4位:『家計簿Zaim :レシート読取も無料!貯金・節約の人気アプリ
5位:『貯まる家計簿 無料版』、『かんたん家計簿 まねぶた

となった。この中で特筆すべきは3つ。

同ジャンルの中でもアプリ所持率の伸びが大きいという『Zaim』

一つは4位の『Zaim』が唯一、対前月比で所持率を伸ばしており、今後このジャンルに変動が起きる可能性があることを示唆していること。そして5位の『かんたん家計簿 まねぶた』のMAU率(79.78%)・DAU率(44.58%)が群を抜いており、ヘビーユーザーを抱えていること。

また、2位の『かけ~ぼ』のユーザー男女比率が男(43.3%):女(56.7%)と拮抗しているほかは、女性ユーザーに偏っていることだろう。

App Apeの大野氏は、「家計簿とは毎日のレシートなどを元に入力していく根気のいる作業のため、(1)どれだけ簡単に入力できるか、(2)入力させることを続けられるメリットを提供できるかが重要なポイントになります。ただ、上記の家計簿アプリにおいてもMAU率は低下傾向にあります。まだまだ入力と継続率を高めるための新しいアイデアを試すことのできるジャンルであると考えられます」と今後の展望を分析。

例えば、10月7日に『Yahoo!ショッピング』の手数料無料化がIT業界を騒がせたが、今後「誰がどんなものを買っているか?」を把握することができれば、EC業者から見ると非常に欠かせない情報になってくるだろう(もちろん、プライバシー問題はクリアにした上でだが)。

ちなみに、ランクインしたアプリの中でも『Zaim』はユニークな「レシート読取機能」を搭載している。スマートフォンのカメラでレシートを撮影すると、96%の精度で日付、金額、店舗名などの情報を読み取り、入力される。

さらに、クックパッドと連携し、よく行くお店の特売情報も配信してくれる。せっかく家計簿アプリをインストールしても入力が面倒で続けられなかったユーザーに、利用を継続する動機を与える工夫がなされている。

手帳アプリはターゲットの絞り具合とアクティブ率に相関関係あり

カメラ同様、プリインストールされたアプリに利便性を追加することで乗り替えを促しているジャンルが「手帳・カレンダー」だ。

このジャンルの所持率首位は、やはりというべきか『Google カレンダー』。所持率は17.74%と、2位以下を大きく突き放している。

以降は

2位:『ジョルテ』(7.83%)
3位:『ペタットカレンダー -女の子の毎日をデコるカレンダー・手帳』(4.84%)
4位:『マイカレンダー モバイル Free』(4.29%)
5位:『日本のカレンダー』(1.05%)

だった。

2位の『ジョルテ』はシンプルで使いやすさ重視。忙しい人はカレンダーの中で予定が埋もれてしまうこともありがちだと思うが、ジョルテなら予定を色分けしたり、その種類に応じたアイコンを付けておくことで把握しやすくしている。さらに、重要な予定だけを一覧表示させたり、情報をCSV形式で入出力することも可能だ。

3位の『ペタットカレンダー~』は、完全に女性向けのカレンダーアプリだ(女性ユーザー比率90.9%)。

『ペタットカレンダー』のように特定層に特化することで、メジャーアプリと“局地戦”を繰り広げることは可能

入力した予定に300種類以上の手描き風スタンプを添付することができ、最大200文字のメモ入力や写真をカレンダー形式で保存する機能もあるので、簡単な日記としても使える。カレンダーから天気も確認できるという細かい配慮がなされている。

App Apeの大野氏は、「データから注目されるのが『ペタットカレンダー』の女性比率とDAU率の高さです。前述の通り女性ユーザーが90%を超えており、DAU率(所持ユーザー中1日に1回でも起動するユーザーの割合)が52.73%でした。これは所持ユーザーのうち2人に1人は毎日アプリ開いていることになります」と分析。

この連載でも何度か指摘している通り、しっかりとターゲットを絞った(そのための機能を追加した)アプリはかなりの頻度で開いてもらえるということだろう。

AKB、ももクロも御用達のデコアプリが追撃中

最後が、写真や動画の撮影ではなく、編集に強みを持つ「写真・動画編集」アプリ。このジャンルで所持率TOP5は

1位:『ハイカム(自動動画編集アプリ)』(10.86%)
2位:『DECOPIC 超かわいい写真に仕上がるデコ系カメラ』(9.60%)
3位:『写真組み合わせ&文字入れ Petapic』(9.17%)
4位:『PicCollage 写真ピックコラージュ』(8.34%)
5位:『Photo Grid HD』(8.10%)

という結果だった。

この中で注目すべきは、1位の『ハイカム』が唯一、所持率で男性が女性を上回っていること。男性が56.7%と半分以上を占めている。それ以外は、80%以上を女性が占めることから、このジャンルは女性人気で支えられているといえよう。

着目したいのは、先に挙げた『ハイカム』のMAU率は8.33%、DAU率が0.70%と極端に低いこと。つまり、インストールはされているが、一部のヘビーユーザーを除いてはあまり利用されていないおそれがあるため、今後このランキングにも変動が生じる可能性がある。

『ハイカム』を追い落とそうと、ユーザー数を伸ばし、かつヘビーユーザー数を伸ばしているのが2位の『DECOPIC』だ。女性比率が88.6%。MAU率が71.29%、DAU率が11.04%と、女性の間で流行の兆しがうかがえる。

アジア地域をはじめ海外ユーザーも多いことで有名な『DECOPIC』

『DECOPIC』の特徴はその名の通り、「デコ(レーション)」にある。無料のスタンプやフレームが500種類以上、フィルター・フレーム・スタンプ・文字入れ・ペン・消しゴムなどプリクラ並みに充実したツール群が強み。AKB48やももいろクローバーZのメンバーなど愛用している女性アイドルもおり、これまでに1800万ダウンロードを突破している。

App Apeの大野氏は、「写真・動画編集ジャンルはカメラジャンルに比べ撮った後の編集に重きが置かれているのが特徴です。差別化のポイントとしては、どれだけ簡単か(自動か)やデコレーションの素材数となっています。また、特徴的だったのはハイカムカメラユーザーのうち、30代男性の比率が20.74%と最も高かったことです。しっかりと性別年齢でセグメンテーションを行った上でのアプリ開発が、ユーザーの定着率に影響を与えている可能性があると考えられます」と話す。

いかがだっただろうか。ジャンル内に著名なアプリが存在すると後発での参入は難しいのでは、と思われがちだが、データからその特徴を分析すると、性別やある機能に特化したもの、アクティブ率が必ずしも上昇傾向ではないものもあり、チャレンジの余地が残されていることが分かる。

これから新たなアプリを企てようという開発者は、ぜひ今回の分析結果を参考にしてほしい。

AppApe newlogo

■調査概要

・調査内容:通信キャリアごとのAndroid端末利用者の利用動向調査
・調査対象者:FULLER社アプリケーションのパネルユーザー

・調査方法:調査対象者から取得した以下の情報を利用

アプリの所持率、ユーザーの性別年代比率、MAU(マンスリー・アクティブ・ユーザー率)、DAU(デイリー・アクティブ・ユーザー率)、月間インストール数、月間アンインストール数、1日当たり平均起動回数、1日当たり平均起動回数増加分

・調査期間:2013年8月1日~2013年8月31日(前月との比較対象として、2013年7月のデータも利用)

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>> 調査内容の詳細はコチラ

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文/岡 徳之(Noriyuki Oka Tokyo

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