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開催直前!『ニコニコ超会議2』を120%楽しむ方法を、ドワンゴの中の人に聞いてみた

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今年もすでに「赤字」との噂があったりなかったりするが、はたして昨年の熱狂を超えることができるだろうか

昨年、4億7000万円もの赤字を出しながらも、初開催で総来場者数約10万人、生放送の視聴者数約350万人という記録的な数字を叩きだした“事件”とも呼べるあのイベントが、いよいよ明日開幕する。

ニコニコ動画を運営するドワンゴが、すべてのニコニコファンに贈る年に一度の一大イベント『ニコニコ超会議』が、さらにパワーアップして帰ってきたのだ。昨年と同じく千葉・幕張メッセにて、4月27日と28日の2日間、開催される。

最近のニュースでも話題にもなった「第2回将棋 電王戦」でプロ棋士を下した将棋ソフトと実際に対局できたり、有名棋士も登場する「超囲碁・超将棋」や、昨年はパネルでの出演だったが今年は本物がやってくるという「超ホリエモン・クルーズ」など……、企画も盛りだくさんだ。

「ニコニコ動画のすべて(だいたい)を地上に再現する」というこのイベント。中でも注目したいのが、ニコニコの屋台骨を支えるエンジニアたちが日々研究・開発している「未来のニコニコの姿」をちょっとだけ覗ける「超ニコニコ未来開発」である。

その「超ニコニコ未来開発」のブースにて、未来のニコニコ動画のインターフェースになるかもしれないし、ならないかもしれない『超未来プレーヤー』と、ニコファーレで実際に使用されている最先端の技術に触れられる『ミニミニニコファーレ』という、2つの「ニコニコの未来」を体験できるという。

そこで、「『超未来プレーヤー』って何?」、「『ミニミニニコファーレ』って、どこが未来なの?」といった疑問を、企画・開発を担当する中の人にぶつけてみた。するとそこには、2つの異なる「未来」が存在した……。

これを読めば、イベントに参加する人も、PCで生放送を観る人も、当日の「超ニコニコ未来開発」ブースを120%楽しめること間違いなし!?

『超未来プレーヤー』は、「黒板」の進化系でもある?

(写真左から)ドワンゴの坂本将樹氏、岩城進之介氏、宮崎賢一氏

「『超未来プレーヤー』開発の背景には、ニコニコ動画のプレーヤーにもっとワクワクするような操作感を持たせたいという思いがありました」

そう話すのは、『超未来プレーヤー』の企画を担当した坂本将樹氏。普段はニコニコ動画のWebサイトのディレクターを担当しているということもあり、ニコ動プレーヤーの理想形について日々試行錯誤を繰り返している。

「それで、ちょっと未来感のあるプレーヤーって何ができるんだろうと考えていて、最初は専用の筐体の上にパーツを置いて、それらを組み合わせて自分だけのオリジナルデバイスを作ろうと考えたんです。でも、それだと自由度がない。もっと自由に自分らしさを出せるものを……と考えた時にたどり着いたのが、電子黒板を使った『超未来プレーヤー』です」(坂本氏)

タッチペンで四角い図を書くと、その図が動画画面になったり、波線を書けばそのとおりにコメントが流れたり、まるで電車が動いているようなツールバーを作れたり……それはもう、坂本氏の言うように、10万人いれば10万通りのインターフェースが作れるようなプレーヤーだ。

開発を担当した宮崎賢一氏は、「技術的には特に難しいことはなかった」という。

「システム自体はWindows用のアプリとして動いています。コメントの流れ方や黒板消しの挙動という部分は面白くなるよう表現には拘りました。他にも四角形を書くと動画の再生が始まったりしますが、この部分は種明かしをすると、Windowsに標準搭載されているタブレット用機能をベースにして、ペンのストロークを図形や文字として認識させたりしていて、細かい部分で調整を行えば、実は簡単に実現できちゃったりします。ちなみにこの『超未来プレーヤー』は、会場で触るだけでなくネットからも操作できるのですが、今回苦労したのは、ネットとリアルとの融合を実現する部分ですね」(宮崎氏)

プロトタイプの作成や、仮説検証を繰り返したりしながら、3カ月掛けて仕上げたというこの『超未来プレーヤー』。電子黒板を使っていることから、黒板をモチーフにして、アイコンをチョークや黒板消しにするなどディテールにもこだわっている。

「黒板と聞くと非常にアナログな印象がありますが、ぱっと見馴染みがあるものが実はすごいというのが、未来的だと思い、アナログな雰囲気にはこだわりました。正直なところ、会場のお客さんとネットで参加されるお客さんたちのアクションは読めないので心配な部分はありますが、それも含めてどんな風に使っていただけるのかが楽しみですね」(坂本氏)

『ミニミニニコファーレ』には、世界最先端の技術が詰まっている

「わたしの場合は、普段からユーザーが作ったMMDの3Dキャラのダンスモーションなどを、実際にステージに立ってライブしているかのように見せるシステムを作っています。今回、そこでの最新技術を見ていただこうと思い作ったのが、『ミニミニニコファーレ』です」

(c) Lat / Crypton Future Media, INC.
画面中央の透明スクリーンを専用のカメラで撮影すると、右上の画面には3Dの初音ミクが見える

作っているのは、ニコファーレの技術開発者である岩城進之介氏。同氏は続けてこう話す。

「例えば初音ミクのARライブを実施した場合、今までは放送上はミクが見えていても会場には初音ミクは投影されていなかったため、ライブ会場にお客さんがいてもどこを見ていいか分かりにくかったんです。一方、透明スクリーンを使ったライブの場合は、生放送で撮影できる角度に制限が多い。

それらの課題を解決するために、透明スクリーンのライブと、ARライブを両立する技術を開発しました。ただ、開発したはいいけれど、実際にご覧になったことがない一般の方々からすると『何それ?』といった感じに思われちゃうことも多くて(笑)。だからこの機会に『こんなシステムなんだよ』というのを実際に体感していただこうと思って、ミニチュアサイズのニコファーレを作りました」(岩城氏)

会場には、タテ・ヨコ30センチ程度の透明なスクリーンに、リアルタイムでキャラクターを投影する装置、そしてスクリーンを撮影するカメラが用意されている。透明スクリーンにカメラを向けながら360度どの角度から撮影しても、3Dのキャラクターが実際にいるような映像が撮れるのだ。

これが実現したことにより、今までは正面からの映像しか3Dキャラクターのライブを撮影できなかったのが、ステージの上から撮影したり、両サイドから撮影したりと、カメラワークを駆使して臨場感のある映像が撮れるようになるという。

「ネットとかリアルとか、生身の人間だとかキャラクターだとか、そういった区別をなくしてカオスな状態にしたいんですよね。例えば初音ミクのライブはリアルのアイドルのライブとは違うよね、とか。そうやって区別するのはつまらない。だから、今回開発した最新技術についても、ネットとリアルとの間にあったハードルを一つ潰せたと思っています」(岩城氏)

今回の『ミニミニニコファーレ』では実現できなかったが、「ゆくゆくは3Dキャラがステージ上のほかの演者の後ろに隠れたり、ステージを縦横無尽に動き回りながらライブができるようにしたい」と、新たなハードルを見据えている。

ユーザーが参加して初めて完成する『ニコニコ超会議』

そもそも『超ニコニコ未来開発』とは、「何かおもしろいことをやってみたいという人たちが自由に集まって、本業のほかにやりたいことができるプロジェクト」であると、岩城氏は話す。

「わたしのように、普段のR&Dの延長線上だと考えてプロジェクトを考える人もいますが、宮崎のように、普段とはまったく異なる分野を手掛ける人も多いですね」(岩城氏)

「わたしは、普段はニコニコのバックエンド Web開発なのに 、C++ を使うような深い部分の開発をメインに担当しています。だから、『超未来プレーヤー』のプロジェクトのようにユーザーに直接見てもらえるようなフロント部分の開発に携われるのはすごく新鮮だし、普段意識しない部分を意識せざるを得ないので、非常に勉強になりますね」(宮崎氏)

実際に『超未来プレーヤー』を触らしてもらったが、「言葉の説明」では伝わり切らない面白さが確かに存在する

このように『超ニコニコ未来開発』のミッションは、「ニコニコの未来」を少し見せることでユーザーにワクワクしてもらうだけでなく、ニコニコのエンジニアたちにとっても、新しいものや自分の作りたいものを作れる場としても機能している。

また、開発したものが形になることで、作った人以外の目に触れ、新しい発想をシェアすることにもつながるという。

最後に、明日に控えた『ニコニコ超会議2』本番に向けて、3名に来場される方々へのメッセージをもらった。

「超会議って、ニコニコ動画と同じで、ユーザーさんに参加してもらうことで完成します。だから、この『超未来プレーヤー』も、未来のプレーヤーがこうなるかどうかは一旦置いて(笑)、まずは触ってもらいたいですね」(坂本氏)

「『ミニミニニコファーレ』のシステムについては、何をやっているのか分からないかもしれませんが、正直世界でも最先端の技術を扱っているという自負があります。サービスだけでなく、技術的にも意外と頑張ってるドワンゴを見ていただきたいですね(笑)」(岩城氏)

「見ているだけでもおもしろいんですけど、触ってみるともっとおもしろい。それが『超未来プレーヤー』です。ネットからも参加できるので、会場に足を運べない方でも少しでも雰囲気を感じ取っていただけたら嬉しいですね。オススメの機能は、ストローク通りに動くコメントと自分好みにデザインできるシークバーですが、遊び方はユーザーさん次第なので、いろいろと楽しんでもらえればと思います」(宮崎氏)

取材・文・撮影/小禄卓也(編集部)