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クラウドソーシング『CrowdWorks』がエンジニア&クリエイターLoveを貫く、ただ一つの理由【連載:NEOジェネ!】

タグ : CrowdWorks, NEOジェネ!, Ruby, Web, クラウドソーシング, スタートアップ, 起業, 開発 公開

 
世間をアッと言わせるユニークなアイデアと技術力で勝負しているニュージェネレーションを応援するこの連載。今回登場するのは、『Noroshi』開発の7-bitesから紹介された、クラウドワークスの2人だ。人材サービスの新しい形として注目される「クラウドソーシング」を、エンジニア&クリエイターに特化して展開し出した彼らの狙いと思いとは?
株式会社クラウドワークス
(左)取締役 CTO 野村真一氏    (右)代表取締役社長 兼 CEO 吉田 浩一郎氏

CrowdWorks』は、エンジニア・クリエイター向けに特化して展開しているクラウドソーシング・プラットフォームだ。

「クラウドソーシング」とは、不特定の個人やチームに対して仕事を委託するビジネス形式を指す言葉。従来の外部委託(out sourcing)との違いは、委託先を特定の業者ではなく複数の個人・団体から選べることと、マッチングから受注、納品まで、すべてがネット上で完結する点だ。

この2、3年で、より安価でイノベーティブな業務委託先を必要とする企業の声と、フリーランスとして働くプロフェッショナルの増加に呼応し、欧米を中心にさまざまなクラウドソーシング・サービスが誕生。その流れは日本国内にも波及しており、リクルートや楽天、パソナテックなどの大手も参入に乗り出すなど、新たなビジネス分野としてにわかに注目を集めていた。

2011年3月21日からクローズドβ版の提供を開始した『CrowdWorks』もその一つだが、登録者は3月21日の登録開始から4月現在までに1000名を突破。案件総額もクローズドβのリリースから10日で4000万円を越えるなど、特化型クラウドソーシングとして好調な滑り出しをみせている。

「インターネットは著しい進化を見せているのに、それを支えるエンジニアやクリエイターの仕事は古いルールに縛られたまま。それを打開したかった」と話すのは、クラウドワークス代表の吉田浩一郎氏。

これまでは、実質数時間で済むような開発を委託するにしても、契約内容や価格の交渉、見積、与信など、大型プロジェクトと大差ないプロセスを踏まなければならなかった。この悪しき業界ルールを改善したいという思いが、『CrowdWorks』誕生の原動力となった。

サイトにアクセスすると、仕事の依頼希望者は、多くの登録者の中から「スキル」か「仕事カテゴリ(=過去の開発実績)」ごとに業務委託候補者を検索できるようになっており、委託内容を掲載して受託希望者を募ることもできる。

報酬についても、エンジニアやクリエイター自身が設定した額があらかじめ明示されており、1時間単位での発注が可能。それゆえ、企業に属するエンジニアも登録しやすく、「開発業務」を通じた交流が生まれやすい。

こうしたサービス設計は、「僕らが目指すのは、仕事を通じた『出会いのプラットフォーム』づくりだから」(吉田氏)というポリシーから来ているという。

開発に要した期間はおよそ5カ月。『CrowdWorks』開発に際して、「一番大事にしたのはフレキシビリティだった」とCTOの野村真一氏は振り返る。

「何か問題が起こった時、『仕様上無理です』とは絶対に言いたくありませんでしたから、DBのテーブルも可能な限り細分化しておくなど、多少工数はかかっても将来の拡張性を優先した構造になるよう気を遣って設計しました」(野村氏)

『CrowdWorks』が行ったRubyでの開発は、Rubyアソシエーションの「事例紹介」としても取り上げられている

フレームワークにRuby on Railsを採用したのも、開発の柔軟性を考えた時にほかの開発言語よりも有用だと考えたから。当初は使い慣れたPHPで開発を進めていたそうだが、同社で取締役を務め、Ruby界隈で名の知られるエンジニア・瀧内元気氏の助言もあって、ゼロからRubyを学んで開発し直したという。

「わたし自身がPHPでの開発に若干飽きていた、というのもありますが(笑)。実際に触ってみて、われわれのようなスタートアップ向きの開発言語だと感じましたね」(野村氏)

こうした事前の配慮が奏功し、現在もシステムの機能拡張はそれこそ週ペースで続いている。

発注側目線で作られたサイトは、誰も幸せにしないから

吉田氏と野村氏が出会ったのは、今からおよそ1年前。前職で、同じ会社の役員と受託エンジニアという関係だった。

「ちょうどその会社で契約満了を迎えることになっていた野村に声を掛け、このビジネスのアイデアを話したのが、チームを組むきっかっけでした」(吉田氏)

吉田氏の『CrowdWorks』構想を聞いた野村氏の反応は素早かった。

「自分のようなエンジニアを対象にしたサービスですし、内容も非常に有益だと感じました。それに、日本にクラウドソーシングの決め手になるようなプラットフォームがなかった状況でしたから、『イケるかも』と感じたのは確かです」(野村氏)

海外で普及しているクラウドソーシングのサイトには、クリエイターに敬遠される意外な理由があったと吉田氏

海外で普及しているクラウドソーシングのサイトには、クリエイターに敬遠される意外な理由があったと吉田氏

2人はさっそく、どんなサービス設計にするかを検討し始める。ただ、互いにクラウドソーシングは未知の分野でもあったため、まずは実際に成功している海外サイトをモデルに、プロトタイプを開発することにした。

そのプロトタイプを使って、ユーザーとなり得るエンジニアやクリエイターにヒアリングをかけたところ、多くの人から想像しなかった答えが返ってきたという。

「『こういうサービスなら、能力のある人ほど使わないと思いますよ』と。言われてみれば、頼みたい時だけ仕事を頼めるっていう部分ばかりを突き詰めると、どうしてもエンジニアやクリエイターを『パーツ扱い』することにつながってしまう。海外のサイトをそのままマネをしたのでは、本来目指していたはずのエンジニアやクリエイターの労働環境を変えることにならないということに気が付いたんです」(吉田氏)

既存のクラウドサービスを手掛ける企業の多くが、「発注側の都合」に重きを置いたサイトづくりを行っている――。それを改めて痛感した2人は、仕事を受託するエンジニアやクリエイターの顔が見えるサイトにしていくことを決めた。その基本姿勢は、『CrowdWorks』のTOPページにも如実に表れている。

「吉田のことを、最初のユーザーだと考えているところがある」

「役割分担として、社外向けのPRやマーケティングはわたしが行って、野村は実装側を担当。でも、UI・UXをどうするかを細かく決めるのは、開発当初から今も変わらず一緒にやる感じですね」(吉田氏)

「わたしは開発者の立場で、ユーザーからの意見を機能改善に反映していくわけですが、吉田のことを最初のユーザーだと考えているところがあります。自分がつくったシステムって、客観的に見られない部分もあると思っていますから。ですから、意見がぶつかることはほとんどありません」(野村氏)

経営者がCTOの腕前を信頼し、かたやCTOの野村氏は吉田氏を「最初のユーザー」として尊重する。理想的な関係だ

経営者がCTOの腕前を信頼し、かたやCTOの野村氏は吉田氏を「最初のユーザー」として尊重する。理想的な関係だ

2人のクリアな役割分担と、ユーザーからの要望の吸い上げによって、順調なスタートを切った『CrowdWorks』。当面はサービスの拡充と案件総額の増加が目標になるが、すでに次なるステップも視野に入れて動き始めている。

それは、地方活性化とシリコンバレーへの殴り込みだ。

「関東圏以外に住むエンジニアやクリエイターに、もっと多くの開発案件が行き渡るような仕掛けを積極的に行っていくこと。そしてその次が、日本のRubyエンジニアを束ねてシリコンバレーの案件を取りにいきたいと思ってるんです。Rubyは国産言語ですし、日本のエンジニアを世界に羽ばたかせることができるきっかけになるんじゃないかと考えています」(吉田氏)

すでに、地方活性化については岐阜県と提携して雇用創出プロジェクトを進めている。シリコンバレー進出についても、当地のインキュベーターとして国際的な注目を集める『500 Startups』に参加する約半数のエンジニアが、Rubyを使っていると言われるほどRuby熱が高まっているという事実が背中を押す。

実は学生時代に役者を志し、自ら主宰する劇団の運営にもかかわっていた吉田氏。アーティストをプロデュースすることに、本能的な喜びを感じるのだという。

「21世紀のアーティストって、エンジニアやクリエイターだと思うんですね。だから彼らをエンパワーメントすることで、場所や国境、時間にとらわれない新しい働き方やライフスタイルを生むことができたら、これに勝る喜びはないと思っています」(吉田氏)

取材・文/武田敏則(グレタケ) 撮影/竹井俊晴

<告知>

「トップページの方々へ本当に仕事を頼めます!キャンペーン」を開始

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■期間:2012年4月23日(月)~5月31日(木)まで
■時間:メンバー(受注者)お一人につき5時間まで枠を確保
■備考:詳しい情報は
http://www.crowdworks.jp/ でcheckを!

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