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得意のスペイン語を活かし、英語学習のモチベーションを高める~TAMSAN藤原寛明氏の学習法

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エンジニアが仕事で使える英語のtipsをご紹介する本連載。今回は、パートナー型デジタルプロダクションとしてサイト構築やアプリ開発などを手掛けるデジタルプロダクション企業TAMのシンガポール法人「TAMSAN」の立ち上げを行った、藤原寛明氏に話を聞いた。

アルゼンチンやエクアドルに長期滞在経験を持ち、現在はシンガポールに滞在し同社ダイレクターを務める藤原氏が見出した、ユニークな英語学習法とは――。

プロフィール

株式会社TAM / シンガポール法人TAMSAN Pte. Ltd. Director

藤原寛明氏

2006年に立命館大学文学部を卒業し、専門商社へ入社。入社半年後から、エクアドル代理店勤務となり2年間駐在。その後、個人事業立ち上げのためアルゼンチン滞在を経てTAMへ入社。新規事業やWebディレクターとして、大手クライアントのWebサイト構築を担当する。2012年、TAMSAN設立のためシンガポールへ移り、現在はクラウドCRM連携Webサイトやスマートフォンアプリ開発などのプランニング、ディレクションを行っている

≪日本にいた時の英語力レベル≫
TOEIC700点程度。英語を勉強したのは大学受験のみ。エクアドル駐在やアルゼンチンでの勤務の際に、多少英語を使う機会があった。

≪現在の英語レベル≫
2012年からシンガポール在住。日常会話はほとんど問題ないが、アウトプットがやや苦手。クライアントとの打ち合わせの際には、使う表現や文章などを前もって準備して臨むこともある。

≪勉強法≫
週1回1時間ほど会話重視のレッスンを受けるほか、サッカー選手のインタビューや動物番組などを活用してリスニングと発音の練習を行う。

「英語に近い言語」に慣れていたのがよかった

アルゼンチン滞在時、サッカースタジアムでのワンシーン

―― 藤原さんは海外経験が豊富だとうかがいました。

アルゼンチンに半年ほど語学留学したほか、新卒で入った専門商社ではエクアドルに駐在し、その後、会社を辞めてアルゼンチンで勤務していました。

―― アルゼンチンやエクアドルでは英語を使っていたのでしょうか。

いいえ、ほとんどスペイン語で仕事、生活をしていました。

―― スペイン語はどのように習得されたのですか?

アルゼンチンに語学留学した後、通訳案内業という国家試験を取ろうと本格的にスペイン語を勉強していました。結局受験しなかったのですが、トータルで4年余り、エクアドルとアルゼンチンで仕事をすることになって上達しました。

エクアドルでは、現地の代表と毎日議論を行ったり、ローカル小売店に営業をしていましたし、アルゼンチンでは個人事業の立ち上げで現地のさまざまな機関に売り込みを行ったり、交渉を行っていました。

―― 英語を使う機会はほとんどなかった?

エクアドルに駐在していた時は、貿易関係のことをやりとりする際に、まれに英語でコミュニケーションを行うことがありました。アルゼンチンにいた時は欧米の学生を病院やサッカーのクラブチームのインターンシップとして受け入れるという仕事をしていたので、英語を使うことはありましたが、実際は通訳を雇っていたのでそれほど上達したとは思わなかったですね。

―― では、シンガポールへの駐在が決まってから、英語の勉強はどうされたのでしょう?

駐在が決まったのが2カ月前くらいだったので、勉強する期間はほとんどなかったですね。シンガポールに来てから英語の勉強を再開しました。

自分の場合はスペイン語にすごく慣れているので、英語もスペイン語がベースになっています。例えば、ある表現を英語で話したい時は、スペイン語でまず考えてから英語に直すんです。長めの文章を書く時も、スペイン語で書いた後に英語に直して、おかしいかもしれないところをググって文章を調整して完成させます。

単語が近いし、言い回しも近い場合があるので、自分の場合は日本語から英語を考えるよりも早いんですよね。

最初はExcelによく使う単語をひたすらまとめていた

TAMSAN Pte. Ltd.のオフィス前にて

―― 法人の設立、人材確保など、すべてお1人で担当されたとうかがいましたが、英語で苦労したことも多かったのではないでしょうか?

最初のころは、どうしても英語に慣れなかったので、事前に想定される文章を作って紙に書いて持って行っていました。

法人設立から2カ月目にシンガポール人スタッフを採用したのですが、全然日本語ができないスタッフだったので、突然2人きりで英語での業務がスタートしたんです。

当時は業務で使う単語も分からなかったので、よく使う単語や表現を洗いざらいピックアップして、Excelにまとめたりしていましたね。検索も簡単にできるので、Excelにまとめるのは正解でした。トータルで100語くらいになったと思います。

―― シンガポール人スタッフとのコミュニケーションはいかがでしたか?

ある程度は意思疎通できていたと思うのですが、自分がネイティブではないので、相手の言っていることが理解できたとしても温度感が違うと感じることもありました。

特に、仕事上きっちりとした話をしたいのに「something like that」(~そんな感じ)と言われることが、気に入らなかったんです。今考えると口癖みたいなものなので深い意味はなかったんだと思いますが、当時は「そんないい加減なことを言ってもらっては困る」と思っていましたし、僕の英語力もその程度だったんです。

―― 現在はどうやって英語の勉強を?

メキシコ育ちのフランス人の知人が、英語をネイティブ並みに扱うので、彼から週1回英語レッスンを受けています。

レッスン内容は、会話重視。発音を直してもらったり、仕事上の表現を教えてもらったりしています。自分の場合は、スペイン語から英語を考えているので「スペイン語ではこう言うけど、英語ではどうやって言えばいいんだろう?」という常に疑問が出てくるんです。

中には、スペイン語には表現があるけど、英語では適した表現がない場合もあるので、そういった部分を指摘してもらえると腑に落ちやすいんですよね。

もちろん、レッスン中は英語のみの会話ですが、スペイン語を話せる人とレッスンできると理解しやすいです。時には英語で作ったプレゼン資料などをチェックしてもらって、使うべきでない表現を指摘してもらうこともあります。

欧米系の人は、ビジネス上で「Can」を使って質問をしないとか、「Could」と「Would」の使い方の違いなどを、細かく指導してもらっています。

レッスン以外ですと、Web業界の最新情報はやはりアメリカから発信されることがほとんどなので、アメリカの業界ニュースサイト記事やオピニオンリーダーのような人が執筆した記事を読むようにしています。

―― 英語とスペイン語の大きな違いを感じることはありますか?

スペイン語よりも英語の方が、単語の並び(語順)に厳密だと思います。

特に、2人だけで会話をしていても「I」や「You」など主語を言わないといけないところに抵抗を感じたこともありましたね。スペイン語の場合は、動詞が人称に合わせて変換するので、主語がなくても誰の話なのかがすぐに分かりますし。

日本語も、2人で話す時はほとんど主語を入れませんよね? スペイン語も日本語も、単語の順番を入れ替えて文章を組み立てても意味が伝わることも多いですが、英語の場合はそうはいかないのが、なかなか腑に落ちなかったです。

「好きなもの」の動画やインタビューで英語に触れるのが一番

今では英語でのミーティングもそつなくこなせるように

―― 今でも仕事上で英語で苦労していることはあるんですか。

クライアントや外注さんとの打ち合わせは、想定される文言を事前に準備できるので問題ないのですが、電話で新規に問い合わせをいただく時は事前情報がないので、困ることがあります。

それでも、ありがたいことにお問い合わせが増えてくる中で、内容がパターン化されてきて、徐々に対応できるようになってきました。

とはいえ、欧米のネイティブとの会話には苦労しています。どういう話をしているのかは理解できるのですが、アウトプットがなかなか出てこない。

アウトプットが速くておしゃべりな人だと、そのスピードに合わせて会話するのが大変です。

―― 英語学習のモチベーションを保つために何か工夫されていることは?

スペイン語が上達したのは、アルゼンチンという国や人に興味があって、その人たちが話していることを理解できるようになりたい、彼らと同じ次元で話したいという強い思いがまずあったからでした。ですから、英語も同じように好きなものを活用して学びたいと思っています。

例えば、好きなサッカー選手のインタビューを聞いたり、ネコや動物が好きなので「アニマルプラネット」を英語で視聴したりして、訳さなくても話されている内容が頭で直接イメージできるまで聞きます。

自分でも同じように発音できるように、シャドーイングのような練習をすることもありますね。

―― もしもエンジニアがシンガポールで働くなら、要求される英語スキルはどの程度だと思いますか?

業界や職種によって使うスキルも違うと思いますが、開発系の人は営業系の職種に比べ、それほど高い英語スキルは必要でないと思います。

ただし、営業系の場合はクライアント先にヒアリングした時に、相手が言っていることを理解するだけではなく、インサイトを理解できるだけのコミュニケーション力がないと優秀な営業とは言えません。

シンガポールの場合は、アメリカやイギリスで要求されるほどのビジネス英語力がなくても十分仕事はできます。現地に来てから毎日英語を使って、毎日英語で苦労していけば、自然と毎日努力するはずですしね。

―― ありがとうございました。

取材・文/大井 あゆみ(『シンガポール経済新聞』運営Diversolutions.Ptd.Ltd代表取締役)