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思考は英語。フレーズと発音はネイティブからパクる~インテル三浦健豪氏の「議論に負けない」学習法

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エンジニアが仕事で使える英語のtipsをご紹介する本連載。今回は、インテルの日本法人に勤務する三浦健豪氏に話を聞いた。

幼いころから英語に触れる環境で育ち、高校1年生の時にアメリカ留学した経験を持つ三浦氏。世界的半導体メーカーに入社してからも英語をブラッシュアップしながら仕事を続けるための工夫とは――。

プロフィール

インテル株式会社 ソフトウェア&サービス事業開発本部 ISVアライアンス 担当部長

三浦健豪氏

2006年、中央大学を卒業後、インテルへ入社してPCメーカー担当営業部へ配属。その後、海外メーカーの日本市場における事業拡大・販売推進協業を担当する市場開発マネージャー職を務め、中国・上海法人の営業部へ異動。日本メーカーの中国事業支援プロジェクト担当後、シンガポール法人へ短期派遣。担当顧客の東南アジア市場における事業拡大の支援を務めた。現在はソフトウエアメーカーとインテルの協業・アライアンス担当として東京勤務

≪入社前の英語レベル≫
高校1年のときに1年間アメリカに留学。高校生のときに英検2級取得。TOEIC945点(入社時)。バイト先のレストランを訪れた外国人客と英語で日常会話するのに不自由しないレベル。

≪現在の英語レベル≫
ビジネス英語レベル。入社後に、中国に半年。シンガポールに2カ月滞在した経験あり。海外出張も多い。

≪勉強法≫
発音や舌の使い方、フレーズを“パクる”くらい真似する。英語の業界関係記事をチェックする。外国人との議論でも論破できるように、英語で考えて、日本語でアウトプットする訓練をする。

ビジネス英語で「簡潔に言える」レベルになるまでが大変

―― 英語に初めて触れたきっかけを教えてください。

子どもの時から、母とよく洋画を観ていて、特にアメリカの映画にとても興味を持っていました。母の「自分がやっていなかったことを子どもにやらせてあげたい」という思いから、幼稚園に入るころには英会話教室に通わせてもらい、外国人講師と1対1で話す機会を作ってくれました。

小学生に入ってからも早いうちから英語塾に通い、英語塾の先生の勧めで、高校1年生の時にアメリカ・インディアナ州へ1年間語学留学も経験しています。

留学時代に行動を共にしていた、ドイツ人留学生たちと

―― 留学先で苦労したことなどはありましたか?

アメリカのインディアナ州という片田舎の現地校に入学しました。語学学校などなかったので、学校の生徒たちやホストファミリーとのコミュニケーションで英語を学んでいかないといけないのが大変でした。

アメリカの中でも人種差別が激しいと言われる地域だったせいか、アジア人はほとんど見かけません。授業中に隣の人とグループを組んで課題に取り組む時も「日本人と組みたくない」と思い切り言われたこともありました。

留学当時15歳だったのですが、18歳のクラスに編入したので年上の人と話すのも苦労しましたね。

文化的な違いも実感しました。例えば、ダーウィンの進化論について「人間はサルから進化する」という話をすると、「いや、神が創造したんだ」という生徒も少なくありませんでした。同じことを学ぶのに、宗教観やバックグラウンドの違いがあることを学ぶことができました。

―― 帰国後、大学に進学されインテルに入社した経緯を教えてください。

中央大学に進学したのですが、正直就職活動するまで語学を活かした仕事をしたいとあまり考えていなかったんです。というのも、アメリカ系のレストランで3年半アルバイトをしていて、外国人のお客さんと英語でコミュニケーションを取る機会が多く、日常的に英語を使っていたので、仕事ではもう使う必要はないんじゃないかなと思っていました。

ただ、就職活動を進める中で、学んできた英語を使って、日本企業の海外進出を支援する仕事や、海外企業の日本法人で働く仕事をしてみたいという思いに変わっていき、インテルに入社することを決めました。

アルバイト時代に仲が良かったお客さんと

―― 現在は日本法人でお仕事されていますが、英語を使う機会は多いですか?

日本法人には外国人社員もいますけど、日本人が大半を占めます。それでも、英語は日常的に使いますね。

日本にいてもミーティングに外国人がいれば英語で行うこともありますし、自分のお客さんのチームはシンガポールなど海外にいるので、英語でメールしたり、電話したりする機会が多いです。

―― 今のお仕事をする上で、必要な英語レベルはどのくらいだと思いますか?

ビジネス英語は必要ですが、ネイティブである必要はないと思います。相手が言っていることを理解できて、こちらの言いたいことも簡潔に言える能力はあれば十分です。

ただし、海外のお客さんとリアルタイムで議論を重ねていかないと、難しい仕事の場合は話すスキルを持っている人の方が有利ですね。また、メールや社内報、連絡事項が英語なので、英語を読めて理解する能力がないと苦労するかもしれません。

―― 入社後、ビジネス英語に触れたことで「これまでに使っていた英語とは違う」と思ったことはありますか?

入社当初は「簡潔に言う」というのが難しかったですね。

学生時代も日常的に英語を使っていたとはいえ、接客のアルバイトの場合は目の前のお客さんと対面で説明できるので、簡潔でなくても話が伝わるんです。しかし、仕事を始めてからは、メールも極力短く分かりやすく伝えないといけないし、はじめに結論を言ってから「なぜなら~」と言ってあげた方が伝わりやすいといったことを学びました。

シミュレーションを重ねて、話のスピードや転換についていく

現在の三浦健豪氏

―― 中国やシンガポールに滞在された経験もある三浦さんは、アメリカ英語だけではないさまざまな英語に触れる機会も多かったのではないでしょうか。

そうですね。ずっとアメリカ英語を使ってきましたから、シンガポールの英語やインドの英語を理解するのに苦労しましたね。

一時はアジアの人たちとの電話会議に抵抗もありました(笑)。実は、イギリス英語を理解するのも大変だったんです。アメリカ英語とは発音や抑揚の付け方が異なりますからね。場数を踏んで克服するしかなかったです。

中国で学んだのは、相手の立場や感情を考えながら話したり、こちらが理解してほしい時は、物理的に一歩近づいて、諭すように説得することが大切なのだと知りました。

それぞれの国の人によって、英語の発音うんぬんはもちろん、相手との距離感なども含めてコミュニケーションの取り方を変えることが必要なんですよ。

―― 三浦さんの場合、いろんな国の人とのミーティングなども多いと思いますが、そういった場面で活かされる学習法はありますか?

「頭の中では英語で考えて、アウトプットを日本語にする」ということを日常的に訓練しています。

「これはアメリカ人だったらどう思うのか」、「中国人だったら?」、「シンガポール人だったら?」といった感じで、自分がそれぞれの国で経験してきたものを踏まえて英語で考えてみるんです。つまり、「僕がこう言ったら、こう返ってくるだろうな」ということをシミュレーションする訓練なんです。

答えを何パターンか考えておいて、シミュレーションがきちんとできれば、話のスピードや転換についていけますから相手を論破できるようになります。

―― なぜ、日本語でシミュレーションしないんですか?

日本語はいろんな言い回しがあるし、論理の組み立て方もソフト。海外の人とミーティングする場面では、日本語の表現を英語に置き換えて話すと、ソフトになり過ぎてしまって論破するのが難しいんです。

なので、英語で考えて、日本語では訳しづらい表現をどうやって日本語でアウトプットするかという訓練をしています。

―― これまで三浦さんが最も効果的だったと思う学習法を教えてください。

現職でドイツ人の同僚たちと

とにかく「パクる」くらい真似するということですね。テレビや日常会話の中で聞こえるフレーズを記憶してパクると、相槌として使えたりするので、外国人とのコミュニケーションが自然になるんです。

例えば、語学留学した時に、友人から“What’s up!”って声かけられたんです。だけど、僕には意味が分からなかったので、“What’s up!”って返してたんです。後になって、どういう意味で、どうやって返事すればいいのかを理解したのですが、言い方やどういうシチュエーションで使えるフレーズなのかが分かったという意味では真似をしたことは正解だったと思います。

発音については、英語をしゃべっている人の口元と舌を見ながら、恥ずかしくても舌の動きを真似するようにしています。真似をしないと発音やアクセントがうまくならないですし、本物には近づけないんです。

会話の表現や発音だけでなく、メールの中で使う言葉も同じです。海外のお客さんとのやり取りの中で使われている表現を、自分の表現として使うことも少なくありません。

―― 三浦さんはすでに十分な英語力をお持ちだと思いますが、今後も英語力を鍛える訓練は続けられるのでしょうか。

自分としては、もっとライティングを重視した勉強をしたいですね。実際、留学を終えて帰国後、受験勉強に向けて書いて詰め込んでいた時の方が、英語レベルが上がっていたと思うんです。

インプットを高めて、頭の中で単語が自然に出てくるようなレベルにまでスキルアップしたいですね。

―― ありがとうございました。

取材・文/大井 あゆみ(『シンガポール経済新聞』運営Diversolutions.Ptd.Ltd代表取締役)