日本のスタートアップの海外進出が目覚ましい。
3月7日から14日まで開催されたSXSWでもRingやMoff、AgIcなど、日本の企業が多数出展している。弊誌でも取り上げたスケルトニクスに至っては現地のテレビ局『ABC TV』でも取り上げられるなど、大きな話題を呼んでいる。
しかし、海外のイベントに出展したからといって、日本のスタートアップがそこで成功するとは限らない。
大きなネックになるのはやはり「言葉の壁」だろう。
3月17日に丸の内でbtrax主催で開催された「The Future of Language Learning」において『IT化が進む中、英語教育が進むべき方向とは?』というテーマでパネルディスカッションが行われた。
そのパネルディスカッション内で言及された“スタートアップが米国で成功する条件”について、登壇した多摩大学客員教授の本荘修二氏の発言にスポットを当てて、そのノウハウを紹介する。
ディベートで「勝てる英語」を身に付けるためには

「The Future of Language Learning」のパネルディスカッション登壇者(名前は下に記載)
【パネルディスカッション登壇者】
(※記事上写真、左から順に)
・Cooori CEO アルナ・イェンソン氏
・ベネッセ デジタル戦略推進部 星千枝さん
・経営コンサルタント 多摩大学客員教授 本荘修二氏
・レアジョブ COO 中村岳氏
・Japan Timesレポーター 三重綾子さん
スタートアップが海外進出するために重要なのは、ディベートで「勝てる英語」を身に付けることである。
本荘氏は「勝てる英語」を身に付ける上で重要なこととして、次の3つの段階があると話す。
【1】とにかく話すこと
【2】日本語で主張する練習をすること
【3】英語圏出身のスタッフを採用する
「まずは怖がらずに話すことですね。日本人はディベート力が弱い、とよく言われています。ブロークンな英語でもとにかく発言して数をこなさないと上達はしません。また、失敗を恐れて自分の主張を控えがちですが、結局自分の意思を伝えないと自分の思い通りにうまく進むわけがないんですよね。いろいろテクニックはあると思いますが、それは二の次。日本語でもいいので、まずは自分の意見を言う練習をするべきですね」
とはいえ、海外進出の準備で忙しい時に、同時に英語の習得を進めることはコスト的にもなかなか難しい。それを解決する方法として、英語圏のスタッフを採用することだと本荘氏は提案する。
現地スタッフを雇いたいなら自社の説明くらいは完璧にせよ
「完璧なマーケティングをするためには、付け焼刃の英語よりネイティブに英語を話せるスタッフに任せた方が良いに決まっています。ただし、ネイティブなスタッフを雇うためには、自分でプロダクトの内容を英語で完璧に伝えられることが前提です」
少なくない数の日本のスタートアップは、ここが欠けている、と本荘氏は続ける。
「ビジネス英語を習得するには難しいですけど、自分のプロダクトの説明くらいなら、事前に準備して丸暗記しておけばすぐできます。しかし、案外ここが出来ていない。現地の人に自社を魅力的に感じてもらえないと、そもそも相手を口説くことが難しいでしょう。せめて自社の説明くらいは英語で完璧にできないと、英語圏で会社を発展させていくのは厳しいですね」
イベントの最後は、本荘氏が2010年に来日した際のダライ・ラマ14世の言葉を引用してこう締めくくった。
「日本の若者よ、英語を話せるようになって世界に貢献しよう!」
取材・文・撮影/佐藤健太(編集部)