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[対談]ひがやすを×和田卓人×Yoshiori(3/3) 「or」ではなく「and思考」で。限界説をくつがえす、攻めの行動学

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―― そういえば和田さんは新婚ホヤホヤですよね。やはり、仕事と家庭の両立を試行錯誤しているところですか?

和田 試行錯誤なんて、そんなに大げさなことでもないんです。でも、奥さんとは普段から、僕の仕事のこと、進みたい道や、それによって生じるかもしれないリスクを話し合っています。
 

ひが 想定されるリスクを話し合っておくのは、夫婦として大事なことだよね。

和田 そして、僕の奥さんにも夢や実現したいことがあって、それに向けて頑張っていることを僕は知っていますし、支えたい。そうやって情報共有しておけば、どちらかが頑張っている時はサポートできると思っています。基本的には、「攻めの人生」の方が楽しいと思っているので、2人でリスクを分け合ってバランスが取れるようになれれば理想的だなぁと。
 

ひが 充実した人生を歩みたいなら、ある程度のリスクは取らなきゃいけない。でも、一人で勝手にリスクを取るのは単なる自己満足で、奥さんや子どもに迷惑をかける。その点、和田さん夫妻は良い関係だね。お互いのリスクについて納得してるから、いざリスクが顕在化しても一緒に頑張れそうだし。

現場にこだわるなら「マネジャーにはもったいない」と思わせろ

Yoshiori 話は変わるんですが、そもそもひがさんは35歳のころ、何やっていたんですか?

業界きっての技術屋として知られるひが氏も、紆余曲折を経てスペシャリストとしての名声を得た

業界きっての技術屋として知られるひが氏も、紆余曲折を経てスペシャリストを続ける道へ

ひが 『Seasar2』を開発して、オープンソースのプログラマーという仮面をかぶったのが、ちょうど35歳。僕の場合、それがたまたま成功して、マネジャーに昇格せずそのままスペシャリストを続けられることになったんだよね。

Yoshiori へぇー。

ひが 逆に言えば、SIerで働くプログラマーの多くは、35歳前後で「これ以上プログラマーを続けてもお前の人材価値は上がらない。だから、マネジャーになれ」って宣告される。

和田 その背景には、給与の問題がありますね。日本では、年齢に比例して給与が高くなる仕組みの企業が多い。で、ほとんどの場合、プログラマーよりマネジャーの方が職階が上なんですよ。だから、35歳前後になって生活にお金が必要になってきて、昇給したいと思ったら、マネジャーにならなきゃいけない。その構造にも原因がありますよね。
 

ひが 本音を言うと、マネジャーがそんなに大きな価値を生み出しているとは思えないんだよね(笑)。でも、多くの企業はそう考えてない。だからそれを打ち破るには、「アイツをマネジャーにするのはもったいない、コードを書かせておいた方が価値ありそうだ」と会社に分からせなきゃいけないと思うな。

Yoshiori ひがさんって、これまで一度もマネジャーをやった経験ないんですか?

ひが いや、実は1回だけある。ちょうど2005年ころかな。会社に打診されて、「これも経験だ」と思ってやってみたんだよ。大変なんだよね、マネジメントって(笑)。

和田 どの辺が難しかったんですか?

ひが さっきも話したように、マネジャーって縁の下の力持ちで、部下に気持ちよく仕事をしてもらうことが仕事だと思うんです。プログラマーとはまったく違うスキルが必要。これは、かなり難しいですよ。それまで「マネジャーなんてつまんねぇ」ってバカにしてたのが、「こんなに難しい仕事なのかよ」ってなる。

一同 (笑)

ひが 人の評価とかも大変だった。いろいろ気を遣うしね。Yoshioriは人事評価とかしてるの?

Yoshiori 一応やってますよ。でも、オレの場合はちゃんとした管理をあきらめてるところがある。オレ自身が、遅刻とかしちゃう人間だし(笑)。だから僕のチームは、朝礼は16時。しかも、別に出席しなくてもいいって伝えてます。

ひが 16時にやるのに朝礼というのは間違ってるよ。夕礼にすべき(笑)。

Yoshiori (笑)。ただし、何かトラブルが起こった時のために、「とりあえずいつでも電話は取れるようにしておいて。そして、いざとなったらVPにつなげられるようにしろ」って。プログラマーなんだから、作ったものがちゃんと動けばOK。その方針を徹底しています。

エンジニア版「冷静と情熱の間」を楽しめるかどうかがカギ

ひが それはそれで理にかなっているよね。

「経営者」と「マネジャー」それぞれの役割と、「開発者」として錆びないための努力について語り合う

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Yoshiori まぁ、良しあしなんですけどね。みんなが一緒にそろわないと意識の共有がしにくいとか、悪いところもあります。でも、今はそんなやり方をしています。

―― 和田さんは、経営者兼プログラマーというお仕事ですよね。やっぱり立場上、プログラマーとしての仕事を減らさなければならない状況も多いんですか?

和田 Yoshioriと同じで、今も意識してコードを書くようにしていますし、今後も書き続けると思います。もし経営の仕事がもっと面白くなったら、コードを書く頻度は落ちるかもしれませんが。ただ、仲間や顧客先のプログラマーがどんな道具を使って、どういう気持ちでコードを書いているかを感覚で知っておかないと、言葉に説得力がなくなっちゃうと思うんですよ。それに、プログラマーとして腕を上げていくのが、純粋に楽しいという思いもあります。
 

ひが 前回の座談会でも話したけど、常に「楽しい」と思えることにチャレンジしていれば、その人の仕事人生は充実すると思うんだ。ただ、30代くらいになって家庭を持つようになると、冒険しにくい状況が生まれちゃう。その時に、家族、特に奥さんと対話して、どこまでリスクを取れるか共有しておく。そうすれば、35歳だろうが40歳だろうが、楽しいエンジニア人生が送れるんじゃないかな。

和田 「仕事か家庭か」じゃなく、「仕事も家庭も」が良いと思うんです。社長業やコンサル業と、プログラミングも両立できるはず。周囲とうまくコミュニケーションしながら、「楽しい」と「楽」、「リスク」と「安定」のバランスを取ることが大事なんでしょうね。
 

―― ちなみに、ひがさんのご家庭はバランス取れているんですか(笑)?

ひが 多分大丈夫。どれだけリスクを取っても、うちの妻は納得してくれると思う。だって、僕のような人間と結婚すること自体、超ハイリスクな選択じゃん(笑)。僕は平凡な人生は送らないだろうし。

一同 (爆笑)

Yoshiori まぁ、僕ら3人とも、結婚相手としてはリスクが大きそうですからね(笑)。

ひが ただ実際は、「リスクはあるけど相手のこと好きだから結婚した」とか、そんな単純な話じゃないと思うよ。この人と結婚したことで得られるメリットとリスクを天秤にかけて、メリットの方が明らかに大きいと思ったから結婚したんじゃないかな。女性は賢く、したたかですよ。

Yoshiori 仕事の話に戻ると、前に読んだ『情熱プログラマー ソフトウェア開発者の幸せな生き方』には、「アメリカの男性は起きている時間の6割くらい働いている。それだけの時間をかけるんだから、つまらない仕事をするのはもったいない」みたいなことが書いてました。日本人はもうちょっと働いているだろうから(笑)、なおのこと楽しい仕事をしなくちゃもったいないですよ。

ひが ホント、リスクと安定を両立しながら、楽しく働けるといいよね。

―― とても現実的な締めをありがとうございました!

取材・文/白谷輝英 撮影/小林 正

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