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[対談]ひがやすを×和田卓人×Yoshiori(3/3) 結局、デキるプログラマーたちの「仕事のモチベーション」って何?

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和田 世の中のトレンドが変わるたび、自分の価値について思い悩むのは、エンジニアにとって普遍的な問題ですよね。

Yoshiori 昔、ひがさんが『SAStruts』を作り始めた時、飲み会の席で質問させてもらったことがあったんです。「WicketやClickみたいなフレームワークがいっぱいあるのに、何でいまさらStrutsなんですか?」って。

その時ひがさんは、「今、SIのエンジニアを救うためには、WicketやClickを手掛けるより、Strutsを改善する方が絶対に良いんだ! なぜならSIerは保守的で、実績のないほかのフレームワークを選ぶことはほとんどないから」って力説してて、僕はなるほどって納得したんです。

でも、しばらくしたら「SIerはやめた方がいい」って、主張がコロッと変わってた。僕としては、「あの熱かったひがさんはどこにいったんだ!?」って感じでしたよ(笑)。でも、それは熱が冷めたわけじゃなくって、挑戦し続けるために、熱を向ける方向を変えたんですね。それを聞いて、ちょっと感動しました。聞けてよかった。

「日々勉強、日々精進」を地で行くひが氏に対して、Yoshiori氏は「それってツラくならないですか?」

「日々勉強、日々精進」を地で行くひが氏に対して、Yoshiori氏は「それってツラくならないですか?」と質問

ひが 大学生のころから「昨日よりも今日、今日よりも明日、カッコイイ男になり続けたい」と思ってたんだよね(笑)。それは今も同じかも。昨日よりも今日、今日よりも明日、価値のある人間になり続けたい。

Yoshiori でも、ひがさんが言う「昨日より今日、今日より明日」って、やっててツラくないんですか? 実はオレ、週末ごとに新しい技術を覚えないと、「ヤバイ、オレはもうプログラマーとしてダメになる」って強迫観念に駆られていた時期があったんですよ。今振り返ると、ちょっと病んでいましたね。

ひが その気持ち、すごく分かる。オレも人生の大部分、そういう強迫観念で過ごしているから(笑)。

「勉強しなきゃヤバい症候群」を経て、初めて気付く大事なこと

Yoshiori 週末に何もしてなかったりすると、日曜日の夜にあわててオライリーのWebサイトなんかにアクセスして、何か新しい技術書がないかと漁ってみたり(笑)。今はそんなことないんですけどね。

和田 どうやってその「病んでいる状態」を乗り越えたの?

Yoshiori 飲み会でほかのプログラマーの話を聞いて、みんな同じような悩みを抱えていると知ってから、一気に楽になりましたね。逆に、「オレってコードを書く以外のこと、何もやってなかったよな」ってことに恐怖心を覚えるようになった。人生をきちんと楽しまないと、エンジニアとしてもダメだろうと意識が変わりました。

和田 「人生を楽しむ」って抽象的だけど、ものすごく大切かもしれないよね。プログラマーは、コードのことばかりに興味が行きがちだから、開発の視野や発想を広げるという意味でも。

Yoshiori 面白いのが、当時と今を比べると、今の方が技術の勉強をするようになっているんですよ。強迫観念がなくなって、楽しさがモチベーションになってからの方が、「これ楽しそうだから触ってみよう」ってなってインプットは増えたんです。

ひが 僕は今も週末は休めないなぁ。ちょっとは寝坊するけど(笑)、土日でも自分がやるべき課題をこなすようにしてる。今やっているのは、マンガの描き方や、ハリウッド映画の脚本についての勉強をすること。人の心を動かす方法論やヒントが満載なんだよね。そういえば、今もカバンの中に入ってるよ、『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』って本とか。

ひが氏のカバンから出てきた、米・有名脚本家の著書。ほかに、漫画の勉強もしているそう

ひが氏のカバンから出てきた、米・有名脚本家の著書。ほかにも何冊か併読しているそう

―― 映画の脚本ですか!? なぜそんな勉強を?

ひが 人を感動させる方程式が理解できれば、サービス開発にも活かせると思って。人の心を動かす方程式を学ぶのはホントに楽しい。昨年末、『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』ってゲームが出て、すごく面白かったんだけど、4時間くらいでやめちゃった。こっち(マンガの描き方やハリウッド映画の脚本に関する本)を読む方が、ずっと楽しいから。

和田 強迫観念や危機意識だけじゃ、大学時代からずっと続いたりしないですよね。やっぱり楽しくなくちゃダメということですか。

ひが うん、そうなんだと思うよ。

Yoshiori ゲームの話が出たのでそれに乗っかると、僕はRPGなんかで主人公のパラメーターをMaxにするのが好きなんです。それを、仕事の場で、自分自身を使ってやっているのかもしれない。「攻撃力も守備力も最大値」っていうエンジニアになろうと思って。

和田 僕も昔からゲーム好きだったんですが、ネットRPGみたいに「費やした時間に比例して強くなる」ゲームが増えてからは、少し距離を置くようになりました。でも、いまだに『トルネコの大冒険』みたいなローグライクゲームは遊びます。

―― ほぅ、なぜですか?

和田 あれって、数値としての経験値がなくて、プレイヤーの運と経験だけがモノを言うじゃないですか。プレイを重ねるたびに、状況判断力が磨かれて生き残りやすくなる。そういう風に、経験の積み重ねが生きる世界の方が楽しいんですよね。

自分なりの「楽しさ」をどこに見いだすかが、長続きのコツ

―― TDDのお仕事は、ローグライクゲームの世界に通じるものがありますよね。そういうベースがあるから、和田さんは今もプログラマーの仕事を楽しめているのでしょうね。

Yoshiori なるほど~。それぞれ「楽しさ」を感じるポイントは違っても、やはり皆さん、能動的に楽しさを見いだしているってことですよね。オレが最初に言った、今も「Hello, world!」を楽しんでるだけかもって話も、あながち間違ってなかったわけですね(笑)。

座談会終了後のワンショット。この日3人が出した「結論」は、非常にシンプルなものとなった

座談会終了後のワンショット。この日3人が出した「結論」は、非常にシンプルなものとなった

ひが ホンネの話って、言いたいことを言い合うだけだから、「オチ」がないじゃない。でも、今回はそれも良いかなと思っています。

―― はい、良いと思います。

ひが 「結局は楽しいからプログラマーをやっている」、「その楽しさを能動的に見いだしているから長続きする」。これって普遍的なメッセージですよね。どうですか?

和田 すごく良いオチじゃないですかね。さすがひがさん。

―― ところで、一般のプログラマーの多くは組織内で働いているじゃないですか。オトナになればなるほど、「楽しい仕事」ばかり担当するわけにはいきませんよね。会社によっては、30代、40代と年齢を重ねるたび、プログラミングから離れてプロジェクトマネジメントを任されるようになったり。

ひが そうかな? 仕事って自分の問題が大きいでしょ。仕事を楽しくするのは、どんなポジションでも可能なんじゃない?

Yoshiori いや、そうとも言えないと思いますよ。実は、僕自身も社内でリーダーを担当することになって、いろいろ思うところがあるんですよ。自分勝手に動けない歯がゆさがあるというか。

ひが なるほどねぇ。ある程度の年齢になると、外的環境が変わって仕事の進め方にも変化が出るって話は、確かによく聞くよね。じゃあ、次回は「プログラマー35歳限界説」について話そうか。

和田 良いですね。ちょうど僕もその年齢に差し掛かっていて、周りの同年代エンジニアと飲んだりすると、そういった悩みを聞きますから。

―― 次回のテーマ設定までありがとうございます。では、次は「プログラマー35歳限界説」をテーマに座談会をお願いします!

取材・文/白谷輝英 撮影/小林 正

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