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Pythonは人材採用のため? 佐藤社長がビープラウドを「エンジニアのための会社」にできた理由【連載:エンジニアの幸せな職場】

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エンジニアにとって、本当に「働きやすい環境」ってどんなのだろう? という疑問を解消すべく、組織づくりや職場環境に秀でたTech企業にインタビューを敢行するこの企画。インタビュアーは、エンジニアのためのポートフォリオサイト『Forkwell』や、エンジニア目線の求人・転職サイト『Forkwell Jobs』を運営する株式会社garbs取締役おおかゆかさん。エンジニアが「幸せに働ける職場」のあり方を探る!
Interviewer
Forkwell_ooka

株式会社garbs 取締役 Forkwellプロダクトマネージャー
おおか ゆかさん [blog:表参道フォークウヱル別館]

関西学院大学経済学部を卒業後、独立系SIerを経てインフォシーク社に入社。楽天による買収後も含めて、インフォシークのログイン周辺機能や各種コミュニティサービスの開発を担当。その後フリーランスとして活動、業務委託で入ったgarbsで提案したエンジニアのスキルマッチングの企画が採用され、そのサービス『Forkwell』のプロダクトマネージャーとなり現在に至る。公式ブログ『表参道フォークウヱル別館』でエンジニア採用について辛辣に語る記事も評判

おおか 今回から始まる連載「エンジニアの幸せな職場」。その第1回はぜひこの方にお願いしたいということで、ビープラウドの佐藤治夫社長に来ていただきました。本日はよろしくお願いいたします。

佐藤 こちらこそ、よろしくお願いします。

ForkwellJobs_BeProud

『Forkwell Jobs』に掲載されているビープラウドの求人情報

おおか 佐藤さんには弊社のサービス『Forkwell Jobs』にエンジニア求人を掲載していただいているご縁から、今回お越しいただくに至ったわけですが、実は昔、お互い同じ会社(楽天株式会社)で働いていたことがあったんですよね。

佐藤 知らないうちにすれ違っていたかも知れませんね(笑)。わたしは2004年から2006年まで楽天で働いてました。

おおか ビープラウドを設立されたのはそのすぐ後?

佐藤 そうなりますね。

ビープラウドがPythonを使うのは、「ベンチャーとして尖るため」

Javaエンジニアだった佐藤氏が、起業と同時にPythonでの開発を始めたのは戦略的な理由から

おおか ビープラウドはPythonで有名で、Pythonの定番本の著述や翻訳を手掛けているようなPythonistaが多数在籍されていますよね。

ほかの企業から見ればうらやましい限りだと思うのですが、なぜ彼らクラスのエンジニアを多く集めることができたのか、お聞きしてもいいでしょうか?

佐藤 会社でPythonを使い始めたのは2008年からでした。理由はPythonという言語が開発生産性が高く、保守性も優れているということもあったのですが、一番の理由は「優秀なエンジニアを採用するため」です。

わたし自身はずっとJavaを中心にやっていたのですが、設立間もない小さな会社がJavaやPHPで人材募集をかけると、「大手に応募して不採用だったから仕方なく受けに来ました」という人が来てしまいがちです。

おおか えっ、佐藤さんってJavaの人だったんですか? てっきりご自分がPythonを使われていたから、その流れで会社でもPythonだったのかと思ってましたが。

佐藤 実は違うんです(笑)。その当時、業界ではPythonの仕事はほとんどない状況でした。一方で、Pythonのコミュニティは活発で、そこにいる人たちはPythonで仕事をしたいのだけれど、会社ではJavaやPHPを使っているという状況でした。

そこで、ウチがPythonで仕事を作れば彼らのように高い技術力を持ったエンジニアが来てくれるんじゃないかと思い、「Pythonやります!」と宣言したんです。そうしたら、コミュニティの方々がウチの会社に注目してくださいまして。

おおか そうでしょうね。彼らとしては、まさに砂漠の中にオアシスを見たような思い(笑)だったんじゃないでしょうか。

佐藤 1人目が採用できたのは、その宣言から2カ月後くらいでした。彼はそのころ札幌に住んでいたのですが、Pythonコミュニティから推薦されて東京に引越ししてまでウチに入社してくれて。彼は、今でも第一線で会社を引っ張ってくれています。

そこからPythonコミュニティの中心で活動している人たちが数名入ってきて、さらに彼らがやりやすいように環境を整えていくうちに「あそこの会社はイイらしいよ」という評判をいただいて。コミュニティの人が次々と入社してきてくれました。

beproud-HP

ビープラウドのホームページ内の「実績紹介」には、これまで手掛けた幅広い開発案件や技術書の執筆実績が並ぶ

おおか 普通の会社だと、人材の確保のために無難にJavaやPHPといったメジャーな言語を選ぶと思うんですが、ビープラウドではまさに「逆転の発想」ですね。

佐藤 そうなんです。

おおか 生粋のJavaエンジニアだった佐藤さんが、優秀なエンジニアを入社させるためにあえて当時の日本ではマイナーな言語だったPythonを採用したというのがすごい。でも、その当時によくPythonの仕事を取って来れましたね。

佐藤 もちろん、クライアントからPythonでやってほしいという仕事は当時はなくて、ウチの方から「この仕事はPythonという言語で開発しますがいいですか?」と聞くわけですが、ほとんどのクライアントは気にされなかったですね。

どのような技術で作るかより、作り上げる時のコミュニケーションだったりとかフォローが大切で、そこについてはウチはしっかりしていたので。使う技術については任せてもらえました。

おおか なるほど。でも、それってクライアントがPythonがそんなにメジャーな言語ではないってことを知らなかったからじゃ……。

佐藤  そこはとてもラッキーであったと思います。それまで他言語の開発実績があったからこそできたのかもしれません。もし、「Pythonできる人ってどれくらいいるの?」とか、「今後もPythonエンジニアを確保できる確証は?」と質問をされたとして、それに正確に答えたら二の足を踏まれたかもしれません。が、幸いそんなこともなく「責任を持ってやります」ということで任せていただきました。クライアントには非常に感謝しています。

おおか 信頼関係があったからこそできたのでしょうね。

佐藤 あとは「あのGoogleが正式採用している言語なんですよ」とか、「良いサービスを作るためには、こういう尖った技術を使って新しい取り組みをしてみることも大事じゃないでしょうか」みたいなアピールもしましたね。小さい会社が普通のことをやっていたら埋もれてしまうので、尖った技術を採用することで尖った人材を採用し、それにお客さまも巻き込んでいくというのがビープラウドのスタイルです。

大事にしているのはスキルよりビジョンを重視する採用スタイル

優秀なPythonistaが多数集まるビープラウドだが、採用では「技術力以外」の部分も重視している

おおか ところで、採用時の選考についてお聞きしたいのですが、面接はいきなり佐藤さんが行われるのですか?

佐藤 そうです。いきなり役員2人が出てきて、1時間ほど話をする形です。面接としては一次で終わりです。

おおか その面接では、どういったことを聞かれますか?

佐藤 まずは「本人が何をやりたいか、どういう仕事がしたいか」を伺います。今後その人がどうなりたいか、どんなキャリアを積んでいきたいかを伺い、それがビープラウドでできるなら「じゃあ一緒にやれるかもしれませんね」と。

そこが分かってから、これまでどんな仕事や活動をしてきたかを尋ねたり、この人のスキルはどれくらいなんだろうということを知るために話を進めていきます。

おおか ビープラウドは技術力の高い会社というイメージですが、採用では「まずスキルありき」じゃないんですね。

佐藤 スキルも大事ですが、どのような技術が好きで、どのような仕事がしたいかということが重要です。そこが合わないままスキルの高い人が入ってきても、結局はお互い幸せになれません。また、それ以外にも、仕事への責任感がある人かということも重視しています。

おおか エンジニアは面接で落とされると、特にビープラウドのような会社では「自分のスキルが足りなかったんだ」みたいに考えがちだと思うのですが、実はそんなでもないと。

佐藤 面接で見ている半分以上は、方向性や本人が仕事において得意なことが、合っているかどうかですね。

確かに技術的なスキルも大事ですが、仕事はそれだけではありません。取り組むのが面倒な仕事に地道に取り組んでくれる人や、お客さまとのやりとりを綿密にやってくれる人など、さまざまな人がいて、チームが成り立ちます。
(次ページへ続く)