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IVS優勝の「パズルでCAPTCHA認証」Capyは、渋谷から世界を狙う【連載:エンジニアの幸せな職場】

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エンジニアにとって、本当に「働きやすい環境」ってどんなのだろう? という疑問を解消すべく、組織づくりや職場環境に秀でたTech企業にインタビューを敢行するこの企画。インタビュアーは、エンジニアのためのポートフォリオサイト『Forkwell』や、エンジニア目線の求人・転職サイト『Forkwell Jobs』を運営する株式会社garbs取締役おおかゆかさん。エンジニアが「幸せに働ける職場」のあり方を探る!

Interviewer
Forkwell_ooka

株式会社garbs 取締役 Forkwellプロダクトマネージャー
おおか ゆかさん [blog:表参道フォークウヱル別館]

関西学院大学経済学部を卒業後、独立系SIerを経てインフォシーク社に入社。楽天による買収後も含めて、インフォシークのログイン周辺機能や各種コミュニティサービスの開発を担当。その後フリーランスとして活動、業務委託で入ったgarbsで提案したエンジニアのスキルマッチングの企画が採用され、そのサービス『Forkwell』のプロダクトマネージャーとなり現在に至る。公式ブログ『表参道フォークウヱル別館』でエンジニア採用について辛辣に語る記事も評判

おおか 今日は、Webサービスやゲームのログイン時に行うCAPTCHA認証を変えそうな、『Capy CAPTCHA』の岡田満雄さんに話を伺います。遅ればせながら、IVS Fall 2013 Launch Padでの優勝、おめでとうございます!プレゼン拝見しましたが、勝ちに行ってましたね。

岡田 ありがとうございます。アグレッシブに行きました。

おおか パズル型のCAPTCHA認証という斬新さで一気に注目を集めたのもあって、あの直後に「CapyのCAPTCHA認証はすぐに破れる」、「実際に破った」というブログ記事がいくつか立っていましたが、あれらについていかがですか?

岡田 セキュリティの世界は“いたちごっこ”なので、破られるのは考案した当初から想定済みでした。ご指摘のあったような解析方法には、すでに対策済みです。それに、デモを破っても本サービスとは作りが別で、セキュリティレベルも別なので。

おおか 今、どれくらいの会社が導入しているのか教えていただけますか。

岡田 2014年の1月末時点では5社です。

おおか やはり、IVS後に引き合いは増えましたか?

岡田 はい、ありがたいことに。お問い合わせは、動画配信や懸賞、ゲームなどのサイト運営者から多くいただいています。そのうち数件はほぼ採用が決まりましたが、今は恐縮ながらお問い合わせをさばけないほどで……。

「パズル型のCAPTCHA認証」というユニークさで注目を集める『Capy CAPTCHA

おおか Capyや岡田さんについては、今回のIVSで突如表れたという印象を持っている人も多いと思うのでお聞きしますが、岡田さんは、大学はアメリカのオレゴン大で、大学院が京都大学でしたよね?

岡田 ええ。専攻はコンピュータサイエンスで、最初は暗号化の研究をやっていました。が、同じことをひたすら学ぶのに飽きてしまって(笑)、電子透かしに取り組み始めたんですね。そのうち「もっと大きなスケールで世界を変えられそうなテクノロジーはないか」と考えるようになって、現在のCAPTCHA認証サービスにたどりつきました。

おおか 最初から起業しようと?

岡田 そうですね。就職は考えてなかったです。

おおか Capyの創業はいつですか? 確か(アメリカの)デラウェアで法人登記していますよね。

岡田 2012年10月です。投資家からの出資が決まって、あわてて創業しました。

おおか 『Capy CAPTCHA』最大の特徴は、やはり、ビジュアルを使ってCAPTCHA認証を行う点だと思います。最初からパズル形式で作るというアイデアだったんですか?

岡田 いえ、最初はTVの放送終了後みたいな砂嵐の画面上に、また別の砂嵐を重ねると、ある場所でだけくっきり画像が見えるという仕組みを考えていたんです。ただ、それだとユーザビリティに問題があるという指摘を受けて、「ならパズル型はどうか」と考え直しまして。それが2010年でした。

「最初からグローバル展開を見越していた」

暗号化技術の研究者から起業家へ転身したいきさつを話す岡田氏

おおか パズル型のCAPTCHA認証で不正ログインを防ぐというアイデアが、ビジネスとして「イケる」と思ったのはいつごろだったんでしょうか?

岡田 ピッチコンテストで賞をいただくことが続いた時からですね。IEEEとか、マイクロソフトリサーチとか、最初は「エンジニアとしての糧」にしようと応募していたんです。そうしたら、たくさんの賞をいただくことができて、その後は「あのコンテストにも出てみたら!?」と声を掛けてもらえるようになりました。IVS2013もそうでした。

おおか ざっと受賞歴を教えてください。

岡田 IEEE-CCNC2010でベストデモに選ばれたのと、MSR Core projectに採択されたのが2010年です。それから、2012年にサンフランシスコのSF New TechMIT E&Iのピッチコンペで1位になりました。同じ年には、京都市ベンチャー企業目利き委員会からAランクに認定されています。2013年は、シリコンバレーのTiEcon2013でもTiE50 Winnerに選ばれました。また、IVS前日にあった京都のテクノロジー&ビジネスプランコンテスト in KYOTO 2013で1位をいただきました。

おおか すごい受賞歴ですよね。今はパズル型以外のCAPTCHA認証も開発しているんですか?

岡田 はい、ゆくゆくは不正ログイン防止を含めた、セキュリティの総合ソリューションを提供する企業にしていきたいので。最近だと、フィギュアタイプのアバターにモノを持たせて認証するタイプのサービスも作っています。

おおか (岡田氏のPCを覗きながら)あ、これはマイクロソフトのクラウディアさんですよね?

岡田 マイクロソフトさんにお借りしました(笑)。例えばこうやって帽子をかぶせたら、それだけで認証完了です。これまでのCAPTCHA認証は、「文字が読めない」、「入力しにくい」のダブルパンチで、ログイン時の離脱率が高かったんです。それを、『Capy CAPTCHA』のように文字からパズルに変えるだけで、離脱率が10%から2%に減らすこともできます。

おおか そこの離脱率を改善したいと悩んでいるサービス提供者は多そうですね。それにビジュアル認証だと、「読み取って入力してください」みたいな説明文も要らない。

岡田 ええ。どこの国の人が見ても、パッとできるようにするというのは、特にこだわっている部分です。デラウェアで法人登記をしたのも、最初からグローバル展開を見越してのことだったので。

スタートアップが開発者に提供できるのは「自由を奪わないこと」

Capyのオフィス風景。開発陣は国籍がさまざまな混成チームとなっている

おおか さきほど、「問い合わせをさばけないくらい」とおっしゃっていましたが、今、エンジニアの構成はどうなっているんですか。

岡田 3人います。CTOは京大大学院時代の後輩です。もう1人はスーさん。台湾出身のフルスタックエンジニアで、現地企業でCAPTCHAの開発をやっていました。あと、マシューはアルバイトです。アメリカ人で、東大の学生です。僕自身は、最近はコーディングよりBizDevをやるように、意識的に開発から離れています。

おおか 後輩の方はともかく、スーさんとマシューさんはどうやって採用できたんですか?