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クラウドワークスに学ぶ、「サービスを成長させ続けるチーム」の作り方【連載:エンジニアの幸せな職場】

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エンジニアにとって、本当に「働きやすい環境」ってどんなのだろう? という疑問を解消すべく、組織づくりや職場環境に秀でたTech企業にインタビューを敢行するこの企画。インタビュアーは、エンジニアのためのポートフォリオサイト『Forkwell』や、エンジニア目線の求人・転職サイト『Forkwell Jobs』を運営する株式会社grooves取締役おおかゆかさん。エンジニアが「幸せに働ける職場」のあり方を探る!

Interviewer
Forkwell_ooka

株式会社grooves 取締役 Forkwellプロダクトマネージャー
おおか ゆかさん [blog:表参道フォークウヱル別館]

関西学院大学経済学部を卒業後、独立系SIerを経てインフォシーク社に入社。楽天による買収後も含めて、インフォシークのログイン周辺機能や各種コミュニティサービスの開発を担当。その後フリーランスとして活動、業務委託で入ったgroovesで提案したエンジニアのスキルマッチングの企画が採用され、そのサービス『Forkwell』のプロダクトマネージャーとなり現在に至る。公式ブログ『表参道フォークウヱル別館』でエンジニア採用について辛辣に語る記事も評判

おおか クラウドワークスさんは今年1月に大場さんが入社し、CTOに就任されましたが、あれはけっこう象徴的な事件だったと思います。ちなみにわたしと大場さんはかなり前からRubyの勉強会とかで顔見知りですし、さらに今回同席してもらった田中さんは、前々職の楽天時代にわたしがメンターだったという浅からぬ縁ですので、今日は他メディアでお話しされているようなタテマエは抜きにして(笑)、正直なところをざっくばらんにお話しいただきたいと思います。

まず、新CTOの大場さんに伺います。前職はグリーでしたよね。転職のきっかけは何だったんですか?

新CTOとして入社した大場氏(左)と、前職でCTOを務めていたという田中氏(右)

大場 人づてに「次のCTOを探している」と聞いて、興味を持ったんです。クラウドワークスのことは、Rubyのイベントで吉田(浩一郎・代表取締役社長兼CEO)さんと知り合ったこともあってよく知っていたんですが、まだそのころは「良い会社なんだなー」という印象くらいしかありませんでした。

おおか 吉田さんとはどうやって知り合われたんですか?

大場 2012年のRubyWorld Conference 2012の後に、吉田やmrknさん(Ruby commiter)と飲みに行ったんですが、4次会くらいまで盛り上がりまして。最後に皆で(松江の)宍道湖でとれたしじみ汁を飲みながら、「クラウドワークスって良い会社なんだなー」って。酒が回っていたからかもしれません(笑)。

おおか (笑) 一方、田中さんはいつクラウドワークスに入社したんですか?

田中 2012年です。

おおか その前は楽天時代の同期が立ち上げたスタートアップのキラメックスでCTOをしていたのは知っていますが、クラウドワークスさんに転職した理由って何だったんですか?

田中 キラメックスが事業を転換するタイミングと、20代最後の年とが重なっていて、再びチャレンジするなら今しかないと思いまして。色々と次の仕事を探していた時にこの会社を紹介してもらって。社長の吉田と会って話したところ、事業にかける熱い想いに打たれたと言いますか。

チームに「波平とフネ」を置く理由

クラウドワークスCEOの吉田浩一郎氏(※写真は2012年4月の取材時のもの)

おおか お2人とも、CEOの吉田さんとのご縁がきっかけなんですね。どんな第一印象でしたか?

田中 話の説得力に圧倒されたというか。「クラウドソーシングはこれからの働き方を変える」と熱く話していて、ロジカルだし、なぜか開発のこともよく知っていて……。

大場 そうなんですよ、吉田って、けっこうすごいんですよ。僕らが言うとすごく手前味噌ですけど。

おおか 具体的には?

大場 吉田はエンジニアじゃないのに、RubyWorld Conferenceをはじめ、愚直にエンジニアコミュニティに足を運ぶんですよね。とにかく「エンジニアと知り合おう」、「理解しよう」という気持ちが強い。それに、クラウドワークスの起業前に自ら創った会社で挫折を経験したりしているので、苦労してきた分、言葉に重みがあるんです。

田中 吉田が社長じゃなかったら、今回のCTOの交代もうまくいかなかったのではと思います。

おおか 次は、そのCTO交代について伺わせてください。スタートアップのCTOが交代する時って、前任者が“卒業”するタイミングや、事業そのものが方向転換するようなタイミングが多いじゃないですか。なのに、クラウドワークスさんは今も前CTOの野村真一さんが取締役として残っていらっしゃる。珍しいですよね。

大場 そうかもしれないですね。

おおか 先に社内にいた田中さんは、CTO交代の話を聞いた時どう思いましたか?

田中 大きな不安はなかったですけど、当時は大場のことをよく知らなかったし、今後の開発チームがどうなるのかな……とは思っていました(笑)。

大場 僕は田中にとっての“黒船”だったので(笑)。でも、僕自身は特に心配はしていなかったです。というのも、吉田は初めて会ったころから「会社の成長フェーズに合わせて、そのポジションに最適なCXOを選んで据えていくべき」と言っていたんですね。もし、自分の器が成長フェーズに合わなくなったら自らCEOを退くと明言しているくらいだから、今回のCTO交代もスムーズにいくだろうと。

前CTOの野村氏(写真左)との業務の棲み分けとは?(※写真は2012年4月の取材時のもの)

おおか 新CTOと生え抜きの元CTOはぶつかったりしないのかという疑問もあるんですが、今の野村さんと大場さんの役割分担はどうなっているんでしょうか?

大場 僕が今後の事業拡大を見据えた開発基盤づくりを進めていき、野村が既存のサービス開発全般の統括を続ける、という分担です。

野村は創業メンバーなので、やっぱり馬力があってサービス指向。ゼロを1にする、作ったサービスを軌道に乗せるのが得意なんです。一方の僕は、どちらかというと1を100にする方が向いていると思います。よく言うのは、野村が波平さんで、僕がフネ。オトンとオカンの役割分担ができているんです。

おおか 「波平」と「フネ」の違いについて、もう少し詳しく聞きたいです。

大場 黎明期のスタートアップで必要なのは、ユーザーや営業サイド要望に応じて、どんどんフロントをいじって、使いやすいシステムにしていくことだと思います。でも、それをやり続けると、どうしてもコードは汚くなるし、密結合なシステムになりやすい。

おおか 確かに。

大場 そこで、“コードのかたまり”がある程度大きくなったら、メンテナンスのしやすさや、開発者の働きやすさを考えながら“かたまり”を切り分け、疎結合にしていく必要が出てくるんですよね。

おおか ただ、それって言うほど簡単じゃないですよね。

大場 そうなんです。1人のCTOがサービス開発を統括しながら、同時に基盤整備までやるのは難しいので、僕がその役割を務めることになったわけです。まずはテストを自動で回す体制を作るとか、ChatWorkを使って情報共有をやりやすくするとか、少人数のチームでもより高速で柔軟にサービス改善を行えるような開発基盤の整備を進めていっています。

おおか 大場さんはそういう役目が好きなんですか? グリーの時もCTO室で同じようなことをされていたと聞いてますし。直接のサービス開発に比べると地味な印象があるので、やりがいはどのあたりにあるのかなぁと。

大場 もちろん、僕もサービス開発にかかわりたいという気持ちはありますし、今もまったくやっていないというわけではありません。それに、若いころは旬な技術を追いながらプログラムだけを書いていたくて、ドキュメントを書く作業などは嫌いでした。

でも、皆が「楽しく開発」をし続けるには、サービスが順調に伸びるための下地を誰かが作ったり、チームの皆のためにドキュメントをきちんと整理したりする作業もやっぱり必要で。そういうことに、オッサンになってから気が付きました(笑)。

全員がCTO的マインドを持つために、「課題解決を楽しむ」

サービスの成長を加速させるために「裏方仕事」の切り出しを買って出た形の大場氏

おおか 誰かにやってもらえばいいや、ではないんですね。

大場 僕がグリーで環境整備的なことをするようになったのは、あまりに皆がそれをやらないからなんです。仕方なくやってみたら、案外、楽しかった。

おおか いろんな会社を見てきた中で、CTOには周りのエンジニアがやりたがらないことを、自分がやらざるを得ないと思ってしまう人が多い印象です。ポジションを自らつかんだというより、自然と押し上げられたというか。

大場 僕も同じことを思っていて、実は就任前に、伊藤直也さんにCTOの心得を教わったんです。