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ビットコインについてどうのこうの言っている日本人は、中2病に近いと思う【連載:村上福之】

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村上福之のキャラ立ちエンジニアへの道

株式会社クレイジーワークス 代表取締役 総裁
村上福之(@fukuyuki

ケータイを中心としたソリューションとシステム開発会社を運営。歯に衣着せぬ物言いで、インターネットというバーチャル空間で注目を集める。時々、マジなのかネタなのかが紙一重な発言でネットの住民たちを驚かせてくれるプログラマーだ

ビットコインについて、どうのこうの言ってる日本人は、中2病だと思うんですよ。

From BTC Keychain
Mt.GOXの一件で一気に注目が集まったビットコイン

中学2年生くらいの思春期って、エッチなことをいろいろ考えたり、議論したりするじゃないですか。それなのに、自分も、周りの友だちも、性行為をしたことがない。情報だけが入ってきて、大騒ぎする。

ビットコインについても、今のところ、そんな感じだと思うんですよ。

Mt.GOXの債権者は約12万7000人いるんですが、そのうち日本人は0.8%程度で、1%もいません。今回のMt.GOX閉鎖事件の日本国内での被害者は、メディアが騒いでいるほどいないわけです。

被害者のほとんどが、日本国外のパソコンの前に座っているギークだと思うんですよね。

もともと、Mark Karpelesさんの作るサービスはみんな、日本語版はテキトーで、英語版はきっちり作っています。特に、Mt.GOXの親会社であるtibanne社のWebサイトは、日本語はかなりテキトーなのに、英語版はそこそこマジメです。

■日本語サイト:http://www.tibanne.jp/

Web1.0感……

■英語サイト:https://www.tibanne.com/


ギリギリ「コーポレートページ」っぽさはある

Mt.GOXは、マーケティング的にも日本人が意図的に寄ってこないように作っていたように思います。そんなわけで、日本人に被害者があんまりいないのに、日本政府がいきなりこういうことを言い出すのも、不思議な気持ちです。

政府、仮想通貨に取引指針 ビットコインに課税

確かに、Mt.GOXの社員の多くは日本人ではないことが知られていました。会員も多くは日本人でないです。会社のコーポーレートページを見ると、採用情報は日本語はやる気ない文言が並んでいるのに、英語はガチでハイスペックエンジニア募集しているような熱い文言が並べられていて、明らかに「日本語で応募してきた奴は採用しない」雰囲気でした。

それなのに、日本の渋谷に本社があるのが不思議でたまりませんでした。

ただ、今回の事件は、報道の通りならば、単に取引所がハッキングにあっただけなので、Mt.GOXに預けていないビットコインは、盗まれてませんし、存在しています。

そのため、ビットコイン推進派の方々は、今回の事件は一つの取引所がクラッキングに遭っただけであり、ビットコインの未来は変わらないと言います。

しかし、そもそもビットコインに未来はあるのでしょうか?

個人的にはリスペクトしている、ビットコインの設計思想

中途半端に聞きかじった人が思っている「ビットコインの普及」と、ある程度使っている人の感じている「ビットコインの普及」には、少しギャップを感じます。今日、ビットコインを中途半端に聞きかじった編集者の小禄さんに「ビットコインは円やドルのように普及するの?」と聞かれましたが、今の実装では難しいと思ってます。

少なくとも、スマホでアプリを起動して今のQRコードをいちいち撮影してどうのこうのするというのは、非常に面倒くさいですし、ネットがつながらないと払えない通貨が一般の人が考える「通貨」の代用になるようには思えません。ただの実装の問題なので、NFCやBLEなどを用いて、将来大幅に改善される可能性はあると思います。

しかし、今のビットコインアプリやPCクライアントでは、あまり普及しそうに見えません。

ただ、ビットコインがダメかというとそうではなくて、個人的に設計思想はリスペクトしています。そもそも、ドルの相場が不安定だったり、キプロスショックなどを見ていると、政府はちゃんと国民のことを考えて、緻密な計算の上で通貨を刷っているということはまったくないということを僕らは知ってしまったからです。

そんな、政府の行き当たりばったりの貨幣よりも、国を超えて、コンピューティングの計算量に基づいて、トランザクションが公開されて、匿名で使えるビットコインの方が、正常に、かつ、セキュアに運営されれば、理想としてすばらしいです。

それでは、ビットコインがそんなにすばらしい熱意と信条をもって作られたものかというと、組織的には、そうではない部分も垣間見えます。

ビットコインで最初に購入したもので有名なのは、一般的には、ピザということになっています。しかし、実際は、シルクロードなどの違法薬物売買サイトが早期に対応しており、その密接な関係は多くのメディアで疑問視されています。

違法薬物サイト「Silk Road」が仮想通貨「Bitcoin」に与えた影響とは?

一方で、政治的な問題もあります。中国やキプロスなど、政治的な問題で、通貨が不安定だったり、制限があったりする国では、これほど重宝することはありません。しかも、匿名が保障されているわけです。

ビットコインの課税で日本はどうなるのか?

昨日5日、こういうニュースが出ました(再掲)。

政府、仮想通貨に取引指針 ビットコインに課税

この内容を読む限りでは、ある意味、ビットコインは金融商品ではないということになりましたので、ビットコインを使った投資信託などは金融業の免許がなくても売れるということになりますね。うまくやれば、節税に使えそうです。

「法律的な制限をつけて日本はケシカラン」という面もありますが、個人的には、日本はビットコインを使っている人が少ないのに、法的な方向性を、いちばんリーガルコストが少ない形で出したので、頭のいい人にはいろいろできるようになったように思います。

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