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「この仕事、ずっと続けられる!?」と思った時に読みたい、先輩女性エンジニアが長く働く上で大切にする3つのこと~Tokyo Girl Geek Dinnersレポ

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「もっと多くの女性がテクノロジーに親しみ、活躍できるように」をテーマにした、ギークな女性たちのミートアップイベント『Tokyo Girl Geek Dinners #5 Sponsored by Evernote』が、5日、東京都・渋谷にて開催された。

同イベントは、主催者である藤田里香さんがロンドン在住時に出会ったイギリスの『Girl Geek Dinners』にインスパイアを受け、2009年に1回目を開催。今回のディナーイベントで5回目の開催となった。

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金曜日19:00の開始前から、すでに会場は熱気に包まれていた

趣旨にある通り、参加者のほとんどが女性プログラマーやデザイナー。当初80人規模を想定していた同イベントだが、当日の参加者は100人超。Evernote社が協賛していたことも相乗効果となり、これまで以上の盛り上がりを見せた。

プログラムは大きく分けて3部構成で行われ、最初に日本マイクロソフトの執行役でエンタープライズサービス ゼネラルマネージャーの佐々木順子さんや、株式会社万葉の代表取締役大場寧子さんなどのゲストスピーカーによる講演が行われた。

今回は、「女性が長く働く上で大切な3つのこと」と題して、2人が「ギークな女性」として長く楽しく働くため、どのようなことを大切にしてきたのか? を紹介しよう。

【1】「コミュニケーションの取り方」を工夫してみる

これは株式会社万葉の大場さんのお話から。

「男女問わず、長く楽しく働ける会社を作りたい」と会社を設立した大場さん。起業前の体験から、「開発が好きでも、職場環境にストレスを感じるようでは楽しく働くのは難しい」と思った大場さんは、一緒に働く人に理解を示し、理解されることの大切さを痛感。現在はコミュニケーションの仕方にこだわりを持つことで、働きやすい環境づくりをしている。

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大場さんがイベントの趣旨に合わせてオフレコで語った「エンジニアのジェンダー論」も、多くの共感を得ていた

例えば、「この案件は、××で△△で大変だったんです」と話しかけられたとすると、あなたなら、どのような返答をするだろう?

「それは、○○を使ったら良かったんじゃない?」とアドバイスする人もいれば、「わー!大変でしたね」と共感を示す人もいるだろう。

しかし、「どちらの応え方をした方がよいかは、話をしている相手によって変える必要がある」というのが、大場さんの考えだ。「問題解決を求める人には、問題解決をする返答を。共感を求める人には、共感を示した返答を」することが、上手なコミュニケーションを考えた際に最も大切なのだそう。

大場さんが作った万葉では、女性エンジニアと男性エンジニアの考え方の違いを探ることで(参考リンクはこちら)、周りのエンジニアとどのようにコミュニケーションを取るべきなのかを常に考え、より働きやすい環境づくりをしているという。

【2】「向いていることをやる。好きなことをやる」

続いて、日本マイクロソフト執行役・佐々木さんのお話から。

大学では文系学部を卒業後、SE職として活躍をしていた佐々木さん。その際、自身の書くコードが、周りのエンジニアたちに比べて汚いことを自覚したことが、エンジニアとしてのキャリアを見直すきっかけになったという。

そのため、佐々木さんは徐々にPMとしてのキャリアを志向するように。

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日本マイクロソフトの佐々木さん(写真中央)。女性エンジニアとしての経験則を、実体験を交えて話した

「ITに関する専門的な内容を、お客さまに対してうまく翻訳して伝えることで、人と人をつなぐ役割の方がわたしには向いていることに気が付いたんです」

ただ、人と話すことが得意だからといって、開発現場から離れて営業職にキャリアチェンジしようとは思わなかったそうだ。

「エンジニアの素晴らしい技術を、技術に詳しくないクライアントにも伝えることに、一番やりがいを感じたからです。エンジニアたちが、お客さまのために難しい課題を颯爽と解決していく姿。その側で働けることに喜びを見出していました」

「好きなことを仕事にする」と書くとありていに聞こえるが、何をやるのが長続きしそうか、という視点は案外大事なのだ。

【3】あえて「違う立場」で仕事してみる

女性執行役員として、「ずっと働きたいけれど、マネジャーをするのは嫌なんです」という相談を頻繁に受けるという佐々木さん。しかし佐々木さんは、「マネジャーをやれる機会があるのなら、まずはやってみた方がいい」とアドバイスする。

理由は2つ。1つは、「自分のことは、意外と分からない」ということ。前項で、自分の向いていることをするべきと記載したが、「向いているかどうかはやってみないと分からない」と主張する。

そしてもう1つは、「自分の中に新しい視点が加わるから」だと話す。

マネジャーを経験すれば、エンジニアとして開発に注力していた時とは、まったく別の世界が見えてくる。「その視点は、たとえマネジャーの仕事が肌に合わず再度SEとして開発現場に戻ったとしても、広い視点からプロジェクトを見ることができてプラスになる」のだ。

それと同様に、「ある1つの技術を軸に持つことができれば、ほかの開発環境にもチャレンジするべき」であることを付け加えた。

「1つの技術を突き詰めることも大切ですが、市場価値というのはそれだけでは上がりません。別の技術を経験すれば、それらの相違点を見出すことで、システムへの理解が深まります。そうすれば、どんな開発環境においても対応できる力が付きます」

こうして、【縦軸】にさまざまな環境に適応できる技術力、【横軸】にマネジメントなどの技術プラスアルファの能力を身に付けられれば、どのような開発環境でも対応できる、マーケットバリューのある技術者へと成長できるのだと締め括った。

出産などのライフイベントでキャリアが断絶してしまうこともある女性エンジニア。「ずっとエンジニアリングにかかわっていたい」、「長く働き続けたい」といった希望をかなえるために、少しでも参考にしてみてほしい。

取材・文/溝口昌治 撮影/伊藤健吾(編集部)