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今後、海外のスーパー理系学生を新卒採用するIT企業が増えていく!? 「世界選抜逆求人フェスティバル」に潜入取材

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学生が企業を訪問するのではなく、企業担当者が学生に話を聞きに行く。学生が企業の説明を聞くのではなく、企業が学生にPRポイントを質問する。

今年も始まった就職活動シーズン、解禁となった12月1日(日)に東京・墨田区のとあるホテルで開催された「世界選抜逆求人フェスティバル」では、一般的な就職説明会とは真逆の光景が繰り広げられた。

主催する採用支援会社ジースタイラスは、「逆求人フェスティバル」という名称で、以前から学生が採用担当者に1対1でプレゼンする場を作ってきた。12月1日の“世界選抜”は、文字通り海外学生版として開催。過去に3度開催された世界選抜イベントには、中国、韓国、シンガポールなどアジア圏を中心とする学生が参加してきたという。

参加企業も、人員構成のグローバル化や優秀な学生の確保を目的に、大手からベンチャーまで幅広い顔ぶれがそろう。過去にはYahoo! JAPANやGREEなどの有名企業が、このイベントで海外の学生を採用してきた。

今回はエンジニア採用を目的とした逆求人ということで、ジースタイラスによる事前選考(100名弱の応募があったという)を経た中国の理系学生および大学院生17名が来日。自らの専攻・研究内容や制作物、これまで行ってきたインターン経験などを日本企業に向けてプレゼンしていたが、そのレベルの高さは新卒採用とは思えないものだった。

複数言語を習得し、大手でインターン経験を持つ学生が多い

学生が準備したプレゼン資料を事前に採用担当者が読み、会いたい学生の下へ訪れるというスタイルで会が進む

参加学生の所属校リストを見ると、清華大学、北京大学、浙江大学など中国トップクラスの大学と大学院がズラリと並び、技術面では複数のプログラミング言語を習得しているのは当たり前。

アリババ、ファーウェイ、百度(Baidu)、新浪(SINA)など中国大手IT企業から、インテル、オラクルといったグローバル企業でインターンを行ってきた学生が多く、中にはすでに起業経験を持つ学生、特許技術を持つ学生も見られた。

日本語ができない、または不得手な人が多いという点を除けば、まさに「即戦力」として活躍できるレベルの学生が多く、参加した採用担当者の中には「これほど優秀な人材であれば、語学もすぐに習得するだろうと感じる」と舌を巻く人もいた。

そんな学生たちは、なぜ、日本企業への就職を視野に入れて逆求人フェスティバルに参加しているのか。

ジースタイラス代表取締役社長・折阪佳紀氏や営業部マネージャーの高橋洋平氏の話によると、多くは「日本文化に興味を持っていたり、中国よりも発展しているITサービスの開発現場で学びたいという学生」だそう。

ほかに、「先輩や彼氏が日本で働いているから」、「ソーシャルゲーム開発のノウハウを学びたい」という学生もいたが、日本で学んだ後に中国へ帰国するというキャリアプランを持つ人は比較的少なく、純粋に日本企業のテクノロジーに興味を持つケースが多い様子だった。

企業側は、技術力に加えて「ハングリーさ」を高く評価

参加企業によっては、この逆求人フェスの翌日に採用したい学生を自社に招き、役員面接まで行うというところもあり、採用意欲の高さがうかがえたが、それは「海外の学生だから」という理由とは少し違うところにあるようだ。

ソーシャルアプリ事業を手掛けるモバイルファクトリーの担当者は、「純粋に良い学生を採用したい」という思いで初めて参加したそうだが、参加学生の技術レベルの高さや地頭の良さに驚いたと語る。

また、グローバル企業として以前より国籍を問わず新卒採用を行ってきたSAPジャパンの担当者は、「日本の理系学生と比べて、中国のトップ校で学ぶ学生全員が優秀とは限らないが、図抜けて優秀な学生がいることも事実。海外で働こうという気構えも、彼らのタフさを示すという意味で強みだと感じる」という。

同じくケンコーコムの中国事業展開室から来た担当者も、「一人っ子政策が施行された後に生まれた学生は、以前ほどのハングリーさがないように感じるものの、逆求人フェスティバルに参加する学生は皆優秀でハングリーだった」と話す。

ほか、英語を社内公用語にするなど、組織のグローバル対応を進める楽天は、「インターンなどを通じて実社会でのプロジェクトを経験している外国人学生が多い点が魅力だった」とコメント。

これらの話を総合すると、優秀なエンジニアを採用する上で「国籍不問」の流れは徐々に当たり前になっており、学生側も国外の学生との就職競争にさらされる時代になっていくのかもしれない。

取材・文・撮影/伊藤健吾(編集部)