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「東京×京都の開発拠点で、開発をさらに加速する」はてな近藤淳也氏らが語る、東京開発センター開設の意図

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このエントリーもはてブも200を超えるなど、多くの注目を集めた

2012年10月下旬、「はてなブックマーク」や「はてなダイアリー」でおなじみのはてなが、東京オフィスの表参道移転に伴い、東京開発センターを開設することを発表した。

そして、去る9月26日、技術者に向けた「東京開発センター開設セミナー」が表参道の新オフィスで開催された。

定員30名に対し参加希望者が約140名と、予想をはるかに上回る応募が来たため、定員を急遽70名に拡大。ネット黎明期の2001年から人気サービスを作り続けるはてなの新たな動向に、多くの技術者が注目していることが窺える。

はてなエンジニアたちが語る、技術者オリエンテッドな世界

アプリケーションエンジニアの山家雄介(id:yanbe)氏による「はてなにおけるアプリケーションエンジニアの役割」の紹介として、検索ミドルウエア「Apache Solr」導入のエピソードや、B!KUMAガールズの企画から開発までの流れなどを語った。

また、システムプラットフォーム部のDevOps(インフラ)エンジニアである田村嘉久氏(id:shoichimasuhara)からは、同社のインフラエンジニアは、インフラの設計・構築・管理・運用までを横断的にかかわるDevOpsエンジニアとして重要な基盤を支えていると、熱く語ってくれた。

今回のセミナーを通して、スピーカーたちが強調していたのは、「開発チームの裁量の大きさ」や、(撤退難易度によって異なるが)新たな技術の採用に積極的」という点。求められる技術力や知見は高いかもしれないが、技術者の働きやすさや仕事のやりがいなどに十分配慮した環境が整備されているようだ。

執行役員CTOの田中慎司氏は、イントロダクション的に「はてな創業から今までの変遷」や、「はてなのWebサービス開発に掛ける思い」について話を展開した。

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「複雑になりがちなサービスたちを、もっと”はてならしい”形にシンプルにしていく」と、CTOの田中氏

「現在、自分たちの中では数十週連続リリースをするなど、開発サイクルは加速しつつあると自負しています。サービスの機能追加なども、積極的に新しいものを作り、スマッシュヒットも出るようになってきました。

これからは、そのスマッシュヒットの確率をさらに高めていきたい。ただ、機能を追加していくだけでは、サービスがどんどん複雑になってしまうという認識も少なからずあります。今後はサービスがシンプルな状態を保つ必要があります」(田中氏)

そう話しながら、現在の開発手法に言及する。

「開発手法については、仮説、計測、検証の基本サイクルを回すようにしています。現在も取り組んでいるところですが、例えばiPhoneアプリの開発では、紙の一枚一枚に画面遷移を書いて検証していくペーパープロトタイピングを行い、周りの社員とともに導線設計を行い、開発の精度を高めていく。その上で、開発やABテストの数字だけに頼るのではなく、はてなのサービスラインアップとして間違った方向に進んでいないかを判断軸として大切にしていきます」(田中氏)

地方と都市部の魅力を掛け合わせる、はてな的開発

そして、話は今回同社がセミナーを開催した最大の理由とも言える、東京開発センター設立に及んだ。

「これまでも、わたしたちは開発環境や職場環境にはこだわりを持ってきました。今回表参道に開設する東京開発センターも、デザイナーとエンジニア、ディレクターなどがワンセットとなり活動できるような場所にしていきたいという思いで開設しています」(田中氏)

開発拠点の中心が京都であることには変わりないそうだが、「今後さらに開発サイクルを上げていくためにも、東京オフィスで一つのサービスを企画・開発・運用できるような体制を作れるのが理想」(田中氏)という。そこでできたのが、今回の東京開発センターなのだ。

イベントに急遽登場した代表の近藤淳也氏も、開発拠点に関してこのように補足している。

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近藤氏は、「はてなが目指す方向性」について改めて触れながら、東京開発センター開設の意気込みを語ってくれた

「家賃が安い、開発に集中できる環境が整っているといった京都の良さと、最新トレンドをすぐにキャッチできたり、技術者同士の情報交換が活発に行える東京の良さを上手く取り入れ、シナジーを生み出すことに大きなメリットを感じたために、拠点を2つ作るという結論に至った。それだけです」(近藤氏)

よく、「開発拠点が京都だけだと限界か」、「地方では技術者不足か」という話を耳にすることがあるが、そうした開発拠点一元論ではない。2つの開発拠点を構え、両者の良さを上手く融合することで、新たなサービス開発に貢献していきたいそうだ。

ネット好きによる、ネットで世界を驚かせられる会社を目指す

さらに、広報の山田聖裕氏によると、「東京開発センターの開設は、開発体制を強化するという意味も大きいが、既存の広告営業やマーケティングといったビジネス系の人員増加の影響も少なくない」と話す。

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山田氏も、「インターネットが好きなエンジニアの方にぜひ来てもらいたい」と話す

「東京開発センターで働くエンジニアの数や、開発体制については、現在構想段階にあります。現段階では採用計画は未定ですが、新サービス や新機能はこれまでもコンスタントに出しているので、開発者としても刺激のある環境を提供できるのではと考えています」(山田氏)

現在行っているエンジニアの採用活動については、「インターネットが好きで、Webサービスを通して新しいことに挑戦したいという方と、一緒に働きたい」と話してくれた。このポイントについては、セミナーの最後に近藤氏が話したはてなのビジョンにも通じるものがある。

「創業当初からのビジョンでもある、『インターネットで人の生活を豊かにしたい』という思いは変わりません。インターネットの可能性はまだまだあります。はてなダイアリーが後のブログブームを生み出したように、僕らが新たなWebサービスを作ることで世の中に新たなムーブメント作り、世界を驚かせられるようなものを作っていきたいですね」(近藤氏)

このビジョンを実現させるためにも、東京開発センターは拠点として重要なファクターであることは間違いなさそうだ。Web2.0以降、IT業界をけん引してきた同社の今後に、目が離せない。

取材・文・撮影/小禄卓也(編集部)