エンジニアtype - エンジニアのシゴト人生を考えるWebマガジン

SEOのプロ渡辺隆広氏に聞く、「年末年始でこれだけはやっておきたい6つのこと」

タグ : Google, SEO, アイレップ, スパム, ハミングバード・アップデート, 渡辺隆広 公開

 

米Googleは今年9月26日、「Hummingbird」(ハミングバード)と呼ばれる新しい検索アルゴリズムを導入していたことを発表した。このような大規模アップデートに加え、小規模なものを含めると、Googleは年に500回以上のアップデートを行っている。

日々進化し続けるGoogleの検索メカニズムと、それに伴って常に流動的なSEOの世界。Webビジネスをやっている以上、その潮流を見逃すわけにはいかないと考えるのは至極当然のことだろう。

そこで、SEO分野で日本の第一人者であるアイレップ取締役兼SEM総合研究所所長の渡辺隆広氏に現状を聞いたところ、「2013年最大のトピックスはGoogleのハミングバード・アップデートではない」と看破。その理由はどこにあるのか、なぜハミングバード・アップデートがあれほど注目されたのか、それらの解説に加えて、年末年始にWeb制作者がじっくり考えるべきポイントを聞いた。

プロフィール

株式会社アイレップ 取締役 SEM総合研究所 所長
渡辺隆広氏

1974年生まれ、明治学院大学卒業。1997年よりSEOサービスを開始し、2002年に会社設立(株式会社イー・プロモート)後、2005年4月より株式会社アイレップにてSEM総合研究所所長を務める。日米欧の検索業界にも詳しく、SEO分野の第一人者として執筆や講演にも活躍中。主な著書に『検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書』(翔泳社刊)など

<Web担当者が年末年始にやっておきたい6つのこと>
【1】スパムリンクを外す手を打つ
【2】サイトが達成したい「ゴール」を改めて整理する
【3】ユーザーの欲求に基づいたキーワードを決める
【4】自サイトのコンテンツやURL、被リンクを活かす施策を考える
【5】自サイトに関係のない情報を捨てる
【6】SEO施策としてやろうとしていることを、「本当にSEOでやることかどうか」分類する

今すぐやるべきは「スパムリンクを外すこと」

株式会社アイレップ取締役兼SEM総合研究所所長の渡辺隆広氏

―― 今年、と言っても日はあとわずかしかありませんが、SEO施策として2013年のうちに最低限やっておかなければならないことを挙げるなら?

早急にやってもらいたいのは、スパムリンクを外す手続きを取ることです。

今年、SEOの世界ではハミングバード・アップデートという検索エンジンの大規模なアップデートがありましたが、それよりもGoogleが、有料リンクの取り締まりを強化したことの方がインパクトが大きかったですね。

取り締まられたのは、多くのディレクトリ型の検索サイトと、そのディレクトリに掲載をしていたサイトです。これまで、多くのディレクトリ型検索サイトは、登録を希望するサイトから審査料を徴収していました。ポイントは、審査料です。登録してもらうためのお金ではなく、あくまで審査のためのお金ということで、「これは有料リンクではありません」というスタンスを取っていました。

ところが、多くのディレクトリ型の検索サイトは、実際には審査をしていませんでした。実質的に、審査料は「リンク料」だったわけです。また、審査を十分に行っていないために、全体的に見ればユーザーに価値のない、低品質なサイトばかりを掲載したディレクトリサイトになってしまったのです。

これに対してGoogleは、スパムサイトを並べていた多くのディレクトリ型検索サイトを「低品質のサイト」だと判断したのです。

―― スパム的なディレクトリ型検索サイトのほかに、影響を受けたサイトはありますか?

バックリンク

by ivanpw
配信の際にリリース内にリンクを張れるようなプレスリリースサイトも取り締まりの対象となった

いくつかのプレスリリース配信サイト、それから、あまりに多くのスパムサイトを放置していた無料ブログ運営会社なども影響を受けています。

例えば、「ワードサラダ」と呼ばれる意味の通らない日本語記事を自動生成し、そこにリンクを添える自動投稿ツールが市場に出回っていますので、誰でも手軽にスパムブログを作ることができます。このため、無料ブログサービスはスパムの温床になっている側面もありました。

こうした不適切なリンクを中心にSEOをしてきたサイト運営者には、Googleから「あなたのサイトはガイドライン違反をしていますよ」という通知が届いているはずです。

これをそのままにしておくのは危険です。また、Googleの管理は、厳しくなることはあっても緩くなることはないので、Googleがスパムとみなすサイトからのリンクは、早めに外してもらうように対応するなど、対策は一刻も早く打つべきです。

ハミングバード・アップデートにより、「検索」は「質問」になった

―― ハミングバード・アップデートも話題になりましたが。

これは、別の意味でのインパクトをもたらしましたね。

実は、SEO的にはほとんど影響がなかったんです。ところが、Googleが「ハミングバード・アップデートをしました」ということ以上の情報公開をしなかったこともあって、多くの人が深読みして勘違いをし、さまざまな憶測が飛び交いました。

先日、GoogleのWebスパムチームトップであるマット・カッツも、「誤解が多い」というような発言をしていました。

実際のところ、この改変は、「新宿駅の近くの駐車場」と入力したら、言葉は違っても同じ意味である「新宿付近のパーキング」も検索結果として表示するというような、主に口語で音声入力をするユーザーにメリットをもたらすものであって、Web制作者側が特別な対策を採るという種類のものではありません。

―― では、Web制作者側は、何に注意したらいいのでしょうか?

重要なのは検索キーワードよりも、その裏側にあるユーザーの意図である

by Camera Eye Photography
重要なのは検索キーワードよりも、その裏側にあるユーザーの意図である

ユーザーが何を考えてそのキーワードを入力したのかをよく考えて、分析し、来てほしいユーザーに来てもらいやすくすることです。そして、迷っている人の背中を押すコンテンツを作ることです。

例えば、水回りのトラブルが起きた時、ユーザーはどんなキーワードで検索するでしょう。「水 トラブル」、「水道 ストップ」、「蛇口を修理したい」など、いろいろあります。検索キーワードは違っても、ユーザーの求めていることは「今すぐ水回りのトラブルを解消したい」ということでしょう。

であれば、水回りのトラブルを即時に解消するサービス提供者は、「水 トラブル」、「水道 ストップ」、「蛇口 故障」などの同じ検索意図を持つさまざまなキーワードでユーザーに自サイトを見つけてもらうようにするべきで、決して「水回りのトラブル」などという思い込みで決めたキーワードでページランクを1位にすることに一生懸命になるべきではありません。

口語調で検索されやすくするためには、普通に文章を書いたコンテンツを作ればいいのです。自然に文章を書けば、同じ意味の言葉でも、言い回しを変えたりして相手に伝わりやすいように書くはずです。いかに相手のことを思ってコンテンツを作るかが重要です。

検索エンジンのために文章を書くのではなく、ユーザーにとって読みやすい文章を意識する、ごく当たり前のことを実行すれば良いのです。

―― ユーザーが求めるキーワードはどのようにして決めたらいいのでしょうか?

GoogleやYahoo! JAPANが提供しているキーワードの検索回数を調査できるツールから始めることです。Googleの検索窓のオートコンプリート(キーワード入力補助)を使って、ユーザーがどんな組み合わせのキーワードを使っているのかも合わせて調べるとよいでしょう。周りの知人に「こんな時になんて検索する?」と聞いて回るのも良いかもしれません。

世の中のユーザーは、思いもかけないキーワードで検索していることがあります。自分の思い込みは捨て去り、データを見ながら考えることをおすすめします。

また、ある商品やサービスを購入すると仮定した時に、その最終決断をする前にユーザーがどんなことを調査するのかも考えてみましょう。それらの検索キーワードで来訪してくるユーザーにどんなコンテンツを提示すべきかも一緒に考えます。

例えば、「フレッツ光 ADSL」と検索してくるユーザーは、光ファイバー回線とADSL回線を価格面や速度で比較して悩んでいるかもしれません。「フレッツ 工事 日数」は、契約してから導入完了までの期間を知りたいのでしょう。

検索キーワードの背後にある意図を考えて、そのユーザーが欲しいと思っていた答えは何かを考えるのです。

(次ページへ続く)