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[特集:ITエンジニアの価値って何? 3/3] 「知識の裏にある仕組み」を理解しない人から消えていく

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「興味を行動に移せる人」は全体の1割にも満たない

八反田 天羽さん、池田さん、前田さんとのお話から、エンジニアには技術力、情熱、論理的思考力が求められていることが分かりました。では、これらの能力を高めるためには、どうしたらいいのでしょうか? まずは、技術力の磨き方・アピール法について教えてください。

池田 まずは、自ら行動することが大切ですね。面接では、ほぼ全員が「○○に興味があります」などと口にします。でも、実際に情報を集めたり勉強会に参加したりしている人は、1割くらいしかいない印象です。口だけで終わらせず、行動に移すこと。それが、エンジニアとしての価値を高める唯一の道ではないでしょうか。仮に毎日0.1%成長できたとすれば、1年後には大きな差が出ます。

前田 同感ですね。そして、行動した結果を発信することも大事だと思います。今はインターネットを通じて、誰もが発信できる時代。『GitHub』などを使い、作ったモノを公開するのが一番でしょう。僕も昔、『Mashup Awards』にGoogle Maps関連の作品を出して受賞した経験があります。自分では大したことがないと思っていても、実際に行動すると、認めてくれる人が現れるものですよ。

八反田 Mashup Awardsは登竜門的な感じになっていますね。そこで見つけた発想の良い優秀なエンジニアには、いろいろな企業がとりあえずツバを付けに来るという(笑)。ちょうど、8月20日には、『LL Planets』というWebエンジニア300〜400人規模のイベントがありますが(編集部注:2011年時)、弊社はそちらに協賛しています。こういうところで発表したりプレゼンする人、一日中あれこれ聴講している人は良い方が多いですね。ほかに、技術力を磨く方法はありますか?

前田 勉強会やコミュニティに参加するのもいいですね。技術への理解が深まるのも貴重なんですが、それより、スゴイ人たちと出会えるのが大きい。そして、そこで得られた人脈を通じて仕事が生まれたりすることもあるんです。

調べれば分かる知識より、「なぜ?」を考える姿勢を持て

八反田 エンジニアには論理的思考力を求めるという天羽さんに伺います。論理的思考力を鍛えるには、どんな方法がありますか?

天羽 抽象的な表現になるのですが、考えることを大事にしてほしいですね。世の中には、「幅広い知識を持っていれば技術力が高い」と思っている人が少なくありません。でも、知識は検索したり隣の人に聞いたりすれば、簡単に見つかるものです。それより、「なぜ失敗したのか」、「どうしてこれでうまくいくのか?」と考え抜き、理解できる力を持っている人の方が、ずっと思考力が高まると言えるでしょう。

八反田 なるほど。問題を発見し、解決する能力ですね。

あああ

エンジニアの人生を左右するのは、「日常を客観的に見直せるか」(天羽氏)

天羽 日々の生活には、金の卵が転がっているんじゃないかな。プログラムを書いてエラーが出たときだけじゃなく、イベントがコケちゃったとき、デスマっちゃったときにも、「どうしてこうなったんだろう? ボトルネックは何だったんだろう? オレは何に何時間かけてたんだろう?」と考えることが、個人や企業の成長を左右すると思います。

前田 考えるための材料はその辺にたくさん散らばっているという考え方は、ものすごく共感できますね。そういう意味では、転職志望者はチャンスかもしれません。転職を目指しているということは、現状に不満があったり、何らかの問題意識があるわけですよね。それを突き詰めていけば、いろいろな発見ができるんじゃないかな。

八反田 先ほど池田さんが話していたように、この先、開発環境が整備されると、作業はだんだん簡単になりますよね。そこでは、考える能力こそが、他者との差別化を図るカギだというわけですね。

池田 開発が楽になることに甘えている人は、どんどん置いて行かれるんだろうなあという感覚はあります。ちょこちょこっとモノを作って、それで終わりという態度ではまずい。このままでいいのかと危機感を持つ人の方が、エンジニアとして成長できます。考えてみれば、10年前にWeb業界で常識だとされたことって、今では知らなくてもまったく問題ないですよね。表面的な知識を覚えるだけで満足せず、その背後にある仕組みを理解することが、10年後、20年後も生き残るためには必要なんです。

いくらアイデアマンでも形にできなければ「優秀なエンジニア」ではない

八反田 皆さんの話を伺っていると、要は「優秀なエンジニア=優秀な社会人」だという気がしてきますね。

天羽 極論、頭が良ければどの業界でも通用する事が多いでしょう。

前田 エンジニアの仕事って、毎日が論理的思考の積み重ねですよね。だから、ここで優秀な結果が出せる人は、他の業界に行っても、恐らく優秀なんですよ。例えば、SIerのエンジニアとして優れていた人は、ソーシャルアプリに移ってきても、すぐに素晴らしいモノを作ったりしますね。

八反田 ただ、他業界との違いもありますよね。この業界は、変化のスピードが段違いに早い。それだけに、変化に対する柔軟性は強く求められるでしょう。それから、自ら手を動かしてものづくりができる点も、エンジニアならではの特徴です。問題を定義するだけじゃなく、自力で問題解決まで持っていけるんですね。

PDCA

エンジニアにおいても、「PDCAサイクル」が重要なことは間違いない(池田氏)

池田 特に、われわれが手掛けているソーシャルゲームの分野では顕著ですね。モノを作ってユーザーに提供すると、何らかのリアクションが生まれる。ですから、実データを基にしたPDCAっていうのがやりやすいんです。GMSでは、実行されないアイデアは何の価値もありません。アイデアを実際に形にして、初めて優秀なエンジニアと見なされます。

前田 仮説を立て、それに沿って行動する。企画するだけじゃなく、手を動かしてモノを作り、しかもユーザーの反応を受けてさらに修正する。そういうエンジニアの仕事って、本当に楽しいですよね。ぜひ、多くの人に応募してもらい、一緒に働いて欲しいです(笑)。

八反田 皆さんが所属している会社は、膨大なユーザーのデータをいじり倒せる環境。さらに、仮説思考を行動に落とし込むチャンスがふんだんにあります。エンジニアにとって、これ以上ない醍醐味を感じられる場所だと思いますね。

取材・文/白谷輝英、桜井 祐(編集部) 撮影/柴田ひろあき

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