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CA藤田晋氏が「今後は英語よりプログラミング教育が大事」と語る理由~キッズプログラマーアプリ発表会レポ

公開

 

イギリスでは今年9月から5~16歳の全児童を対象としたプログラミング学習が義務化され、フィンランドも2016年からの義務教育化を決定。今、世界では幼少期からプログラミング教育を提供していく流れが加速化している。

そんな中、民間として小学生に向けたプログラミング教室を展開してきたサイバーエージェントが、10月25日にApple Store銀座で「キッズプログラマーアプリケーション発表会」を開催した。

この発表会は、同社が今年3月、小学生を対象に開始した「サイバーエージェント キッズプログラマー奨学金」制度の第1期生の中で、成績優秀だった4人の小学生が自作のアプリを公開するというもの。

(写真左から)自作アプリをプレゼンした小野塚智美さん、中馬慎之祐くん、菅野楓さん、冨永知嵩くん

奨学生には、プログラミング教室『Tech Kids School』などを運営するCA Tach Kids(サイバーエージェントグループ)が授業を無償提供。今年4~9月まで毎週4時間、計100時間のプログラミング学習を受けた子どもたちが、自作アプリの特徴をプレゼンした。

中にはYahoo! JAPAN提供のAPIを独学で調べて使う学生も

登壇した4人の小学生が作ったiPhoneアプリ(※1名のみWebサービス)の概要はこうだ。

【1】小野塚 智美さん(小学4年生)作 『心の一言日記

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50文字限定の日記アプリ。日記が三日坊主で終わらないように発案。「普通の日の日記」と「重要な日の日記」を分けて保存でき、あとで検索も可能だ。

また、1日の気分を「100点満点」で点数をつけることで、どの日の満足度が高かったかも分かるようになっている。

小野塚さんは授業のほか、「1日2時間、プログラミングする」と決めて開発。自らストーリーボードも書いてプログラミングしたという。

【2】中馬 慎之祐くん(小学5年生)作 『TIME is MONEY

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宿題や勉強の量に応じて「勉強の目標時間」を設定し、目標より早く終わったら賞金(お小遣い)がもらえるというアプリ。保護者が宿題をやる時間の目標タイムを設定、子どもが終わらないとタイマーが鳴る仕組み。

・保護者用パスワード設定
・タイマー設定
・賞金設定

の3つに関しては、iOS上でデータを永続的に保存できるようにするNSUserDefaultsを駆使して開発している。

「宿題はサクサク終わるし、ママも『宿題やったの?』とイライラしなくなるので、みんながハッピーになるアプリだ」と中馬くんは話す。

【3】菅野 楓さん(小学5年生)作 『元素図鑑

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「元素周期を学ぶのをもっと楽しく」という発想で作られたこのアプリは、118種類ある元素記号を自筆のキャラクターや自分で録音した英語発音などを織り交ぜて解説。

また、「元素パズル」、「元素かるた」などの機能も搭載し、さまざまな角度から勉強ができるように工夫されている。

開発面で工夫したのは、アイコンを「押した時」、「動いている途中」、「動き終わった時」それぞれをfor文で書き分けることで、挙動のぬるぬる感を演出した点。for文や配列については、スクールで学んだのをきっかけに、自分で改めて調べながらコーディングしたそうだ。

【4】冨永知嵩くん(小学6年生)作 『Wallet Manager

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海外旅行に行くと、買い物で散財して「結局いくら使ったのか分からなくなる」という親の姿を見て思い付いたというサービス。海外通貨で表示されている価格を瞬時に日本円に換算し、旅行中に購入した商品リストを日付順やカテゴリー順に表示することができるようになっている。予算をあらかじめ入力しておけば、残金までシミュレーションしてくれるという便利機能も。

為替レートは毎日変動するので、Yahoo! JAPANが提供しているAPI経由で当日のレートを自動で取得。このAPIについては、冨永くんが独自に調べて活用したそうだ。

プログラミング能力だけでなく「アイデアを形にする力」を養う

小野塚さんや菅野さん、冨永くんの開発話にもあるように、プレゼンしたみんなが授業で学ぶ以外に独学で調べながらコーディングに取り組んでいたのが印象的だった。

また、「開発時に参考にしたアプリは?」と聞くと、4人全員が「特になかった」と回答。自分の生活や実体験から、本当に「あったらいいな」と思うアプリを企画・実装したという。

こうした自主性も含め、「アイデアを形にする力を持つ者=21世紀人材と定義して育成を心掛けている」とCA Tach Kids代表の上野朝大氏は語る。

加えて、発表会に先駆けて行われた講演で、サイバーエージェント代表の藤田晋氏はプログラミング教育の必要性をこう述べている。

「ITがいろんなビジネスのベースになりつつある中で、プログラマー不足はますます顕著になっている。今後のグローバル社会では英語教育が必須と言われて久しいが、英語よりもプログラミング能力が求められるフィールドの方が幅広いのではないか」

「シリコンバレーでイノベーションをけん引してるベンチャーは、ほとんどのCEOがプログラマー出身。日本では自分も含めてまだまだそういう社長が少ないので、今後は『プログラミング+経営』ができる人材の育成が急務になる」

プログラミングのみならず、アプリの企画やプレゼンでも大人顔負けの結果を示した小学生たち。こういった児童がもっと増えれば、日本の未来も明るいかもしれない。

取材・文・撮影/伊藤健吾(編集部)