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「LINEはこれからもゲリラ戦をやっていく」舛田淳氏が語る、ユーザー3億を支えるチーム運営の不文律

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LINE株式会社執行役員の舛田淳氏

2013年11月25日に3億人のユーザーを突破した無料通話・メールアプリ『LINE』。2013年1月の1億人突破から、わずか10カ月で新たな大台を突破したことになる。

また、音楽事業やeコマース事業への進出を予定するなど、プラットフォーマーとしての動きも積極的。2013年11月7日付けのCNET JAPANの記事では『LINE GAME』の売上げの高さを取り上げられるなど、既存サービスも順調だ。

そんな飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を続ける『LINE』の開発チームは、どのような組織なのか?

『LINE』全体の戦略を指揮する舛田淳執行役員に、LINE開発チームが3億ユーザーを獲得できた理由について聞いた。

今でも3カ月先の計画は決めていない

あくまでも、コミュニケーションを円滑にすることが「LINEらしさ」であると語る舛田氏

あくまでも、コミュニケーションを円滑にすることが「LINEらしさ」であると語る舛田氏

―― 『LINE』ユーザー数が3億人を突破しました。eコマースサービスである『LINE MALL』や、新たなO2Oマーケティングサービス『LINEコラボアカウント』などコンテンツプラットフォーマーとしての展開も目立ちます。『LINE』の活動の軸は変わってきているのでしょうか?

いえ、『LINE』の軸となるのは最初から変わらず、「コミュニケーション」です。『LINE』が世の中に存在するのは、人と人をつなげるため。家族や友だちなど、日常生活でかかわりの深い小さなグループ間のコミュニケーションを豊かにしたいとわれわれは考えています。

それを実現するため、メッセージレスポンスのスピードや音声通話の品質向上など、コミュニケーション機能の開発には今でも一番多くのリソースを割いています。

―― 以前の取材時(2012年5月16日公開)に『LINE』の未来像を伺った際、「3カ月先の計画は立てない」と言っていました。それは開発体制の規模が大きくなった今でも変わらないのでしょうか?

はい、今でも3カ月より先のことは決めていないですね(笑)。未来を創るには、現時点のベストを尽くす以外に道はないと思っているので。

もちろん、グランドデザインとして「LINEはこういう方向で成長していく」というのは決めていますが、内容は先に挙げたような「クローズドコミュニケーションの先頭を行く」といったようなものです。

最近はSnapchatの話題しかり、クローズドコミュニケーションサービスに注目が集まるシーンが増えていますよね? LINEは今後もこの分野で先頭を走りたいんです。今では『LINE』にかかわる人間が、運営やマーケティングのチームも含めると500人ほどに増えましたが、そこは変えるつもりがないです。

理由は前回と同様、変化のスピードが速い今のスマートフォンマーケットで、3カ月、半年先のことを考えても意味がないからです。

われわれや競合サービスのアクションによって環境は変わるし、ユーザーの気持ちも変化していくもの。そうした変化を的確に感じながら開発を行うことが大切だと考えています。

わたしがLINEチームのメンバーに求めるのは、流れの中で物事を考えて、走りながら開発を進行するということです。こうしたスタンスが、激しい変化の中にチャンスが隠されている今の時代には適していると考えています。

時代の流れにマッチしなければ開発が済んでいてもリリースしない

LINEが新たに始めたQ&Aサービス『LINE Q

―― 先日は、友だち同士で疑問を解消するQ&Aサービス『LINE Q』もリリースされましたね。“流れ”を考えながら開発を行い、新サービスをリリースしていく中で、『LINE』がコンテンツプラットフォーマーとしての道を選んだきっかけは何だったのでしょうか?

プラットフォーム化については、当初よりイメージしていました。

大きく進めたきっかけは、2012年4月に始めた有料スタンプの受けが良かったことが背景の一つとしてあげられます。『LINE』上でユーザーとコンテンツが出合う仕組みができるのでないか、という発想がそこから生まれました。

その先にあったのが、『LINEマンガ』や『LINE GAME』などの派生サービスです。

もともと「このサービスはニーズがありそうだ」と準備を進めていた複数のシナリオのうち、実際にヒットしたサービスの要素と数字を自分たちなりに分析して、結果論で次のサービスリリースをセレクトしていくといったイメージです。

―― 数あるサービスの中でゲームやマンガといったジャンルを選択した、取捨選択の基準は何でしょうか?

一つは、『LINE』ユーザーのニーズに合っているかどうか。もう一つはわれわれがその業界、市場に参入することでイノベーションを起こせるかどうか。この2つを判断基準として取捨選択を行っています。

―― どちらもコンテンツを共有することでコインを獲得するなど、既存のサービスにはないシステムを導入することでイノベーションを起こそうとしていますね。

そうですね。今挙げた判断基準をクリアした上で、時代の流れにマッチするかどうかを見て、リリースの時期を決めています。

『LINE GAME』や『LINEマンガ』に関しては、どちらもリリース時にはすでに市場の入り口は見えていて、流れという意味では問題ありませんでした。

―― 判断基準を満たしていても、流れが来ていないという理由でリリースを遅らせるケースもあるのでしょうか?

はい。2013年12月にリリース予定の新しいサービス『LINE MALL』などがそうでした。1年以上前からeコマース事業をやりたいというアイデアは出ていたのですが、何度も企画を立てては壊す、ということを続けていました。

それを繰り返すうちに、スマホでのeコマースサービスとして、今までのeコマースとは違う価値観を打ち出せるアイデアが固まり、リリースが決まりました。

また、サービス面だけでなく、機能面でも時流を見て、実装を待つケースもあります。ビデオ通話機能などがそうでしたね。開発が終わってから1年ぐらいはリリース時期を待ちました。

最終的には今年9月にリリースしたのですが、LINEが世界で拡大したことや、世界各国のネットワーク環境がよくなったこと、モバイル端末の基本性能が上がったことなどが大きな要因です。

―― すでにリリースされたサービスは、ユーザーの志向や環境の変化に合わせ、どのようなチューニングを加えているのでしょうか?
(次ページへ続く)